1. はじめに
冬が近づくと、「急に肌がカサカサする」「顔がピリピリしやすい」「いつも使っている化粧品なのに、しみるようになった」といった声が一気に増えてきます。
40〜60代の方からは、**「保湿してもイマイチ追いつかない」「前よりも回復に時間がかかる」**という相談もよく聞きます。
ある企業の調査では、冬の肌不調を感じる人の多くが、その原因を「乾燥」にほぼ一本化して捉え、「とにかく保湿を強化する」という対策に走りがちだと報告されています。繊研新聞
ただ同じ調査の中で、「忙しい・疲れている時に肌の不調を感じる」という人も3割以上いた、という結果も出ています。繊研新聞
つまり、「冬=乾燥=保湿」という図だけでは、からだのサインを見落としてしまうことがある、ということです。
この記事では、検索ワードでいうと 「冬 肌トラブル 乾燥以外」 というお悩みに近い方に向けて、
- 疲労・ストレス・睡眠不足・自律神経の乱れ
- ビタミンC・Dなどの栄養状態
- 冬特有の生活リズムの変化
と肌の関係を、できるだけやさしい言葉でほどいていきます。
「肌って、からだ全体のメーターみたいなものなんだな」と感じてもらえたらうれしいですし、
読み終わるころには 「じゃあ、ここだけ少し変えてみようかな」 という小さな一歩が見つかるはずです。
尚、睡眠不足についてはこちらの記事も参考になるかもしれません。

2. いま話題の「冬 肌トラブル 乾燥以外」って、結局なんなのか?
もし今この記事を読んでいるあなたが、検索欄に
冬 肌トラブル 乾燥以外
と打ち込んだとしたら、それはきっと、
- 保湿しているのに改善が追いつかない
- 40代以降、かゆみ・赤み・ゴワつきが年々強くなっている
- 「乾燥だけが原因」と言われても、どうもしっくりこない
こんなモヤモヤがあるからではないでしょうか。
冬の肌トラブルは「外側」と「内側」の両方から起こる
一般的に言われる冬の肌トラブルの原因は、
- 外気の乾燥
- エアコンの風
- 長時間の熱めの入浴やシャワー
といった「外側」の刺激です。これらが角層の水分を奪い、いわゆる乾燥肌・敏感肌状態を招きます。アラガン・エステティックス・ビューティー
ただ、最近の調査や研究では、ストレス・疲労・睡眠不足・運動不足といった「内側」の要因も、肌バリアを弱らせる大きな理由として注目されています。PubMed+1
冬の肌トラブルを少し整理すると、こんなイメージになります。
| 視点 | 主な要因の例 | コメント |
|---|---|---|
| 外側 | 低温・低湿度、エアコン、摩擦、洗いすぎ | 生活環境とスキンケアで調整しやすい部分 |
| 内側 | 疲労の蓄積、ストレス、自律神経の乱れ、睡眠不足、栄養の偏り | 自覚しにくいが、じわじわ肌に影響する |
| 年齢 | 40代以降の皮脂量低下、ホルモン変化 | 「乾燥肌 かゆみ 40代」が増える背景 |
多くの人は、「外側」のケア(保湿・バリア系のスキンケア)だけを強化します。
もちろん、それもとても大切です。ただ、
・疲れが抜けない
・眠りが浅い
・仕事や家のことが頭から離れない
こうした状態が続くと、肌の土台そのものの回復力が落ちてしまうことが、医学的な研究でも示されています。PubMed+2SCIRP+2
ざっくり言うと、
「冬の肌トラブル=乾燥+からだの疲れ・ストレスの総合結果」
と捉えてあげると、見えてくる対策が変わってきます。
3. からだの中で起きていること
ここからは少しだけ、からだの中の話をします。難しい言葉は、できるだけ生活のイメージに言い換えていきますね。
3-1. 肌は「バリア」と「センサー」を兼ねた臓器
肌は、外から見ると一枚の膜のようですが、実際にはレンガとセメントのような構造でできています。
- レンガ:角質細胞
- セメント:細胞のすき間を埋める脂質(セラミドなど)
この二つがきちんと並んでいると、水分は逃げにくく、刺激は入り込みにくい状態になります。
逆に、バリアが乱れると、水分はすぐ蒸発し、外からの刺激に敏感になり、かゆみや赤みが出やすい状態になります。
最近の研究では、心理的ストレスや睡眠不足が続くと、このバリア機能が落ちることがわかってきました。オビッド+3PubMed+3Nature+3
- ストレス → ストレスホルモン増加 → 皮膚の炎症やバリア低下
- 睡眠不足 → 肌の修復・再生に使われる時間が減る → 傷ついたままの角層が増える
「肌荒れ ストレス 自律神経」という検索が多いのも、この辺りのメカニズムを体感している人が増えているからだと思います。
3-2. 自律神経と血流:冬は「冷え」とセットで考える
自律神経は、簡単にいうとからだのアクセル(交感神経)とブレーキ(副交感神経)のようなもの。
- 交感神経:戦闘モード/緊張・活動
- 副交感神経:休息モード/回復・消化・修復
冬の冷たい空気や寒暖差は、この自律神経にかなり負荷をかけます。冷えが続くと交感神経が優位になりやすく、末梢の血流が落ち、手足や肌への血液供給が減りがちだと報告されています。ヒロクリニック+3hisesshoku-derm.com+3ポーラ+3
血流が落ちると、
- 肌へ酸素や栄養が届きづらい
- 老廃物が流れにくく、くすみ・ざらつきが増える
- 傷ついた肌を修復する材料が届きにくい
といったことが起きやすくなります。
「冬に肌が荒れる原因」として乾燥は確かに大きいのですが、同時に「冷え+自律神経の緊張」による血流低下も、静かに影響していると考えられます。
3-3. 睡眠と肌:夜の修復時間が削られるとどうなるか
皮膚は、夜間の睡眠中に集中的に修復・再生が進むと言われています。
睡眠が足りなかったり、質が低下したりすると、肌の回復力が落ちるという研究結果が複数あります。サイエンスダイレクト+4PubMed+4SCIRP+4
ある研究では、睡眠不足が続くと、皮膚の水分量が減り、バリア機能の指標である経表皮水分蒸散量(TEWL)が増えることが確認されています。SCIRP+1
イメージとしては、
「夜の修復工事の時間が削られる → 工事しきれなかったダメージが翌朝以降も残る → 日中の乾燥や刺激がさらに乗る」
という、じわじわ効いてくる悪循環です。
冬はどうしても、
- 布団に入ってからもスマホを見る時間が長い
- 暗くなる時間が早く、運動量が落ちる
- 忙しい時期(年末年始・年度末など)と重なる
といった理由で睡眠のリズムが乱れやすい季節。
「冬になると肌の調子が落ちる」背景には、この睡眠リズムの乱れもかなり関わっていると考えられます。
3-4. ビタミンC・Dと肌のバリア
内側のケアとして忘れたくないのが、ビタミンC・Dなどの栄養です。
- ビタミンC:コラーゲン生成、抗酸化作用、肌の修復に関与
- ビタミンD:皮膚のバリア機能と免疫調整に関わる
日本のデータでは、ビタミンDが不足している人ほど皮膚の水分保持量が少なく、乾燥肌になりやすいことが報告されています。ダイヤモンド・オンライン+1
また、厚生労働省が示している「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18歳以上のビタミンDの目安量は1日9.0μg、耐容上限量は100μgとされています。長寿科学振興財団+1
実際の摂取量は平均でこの目安より少なめという報告もあり、不足しがちな栄養素として注意喚起されています。「 健康食品 」の安全性・有効性情報 -+1
冬は日照時間が短くなり、日光からビタミンDをつくる機会も減ります。
「乾燥肌 かゆみ 40代」という悩みの裏側には、こうした栄養状態の変化や日光量の低下が隠れていることもあるのです。
ちなみに、ビタミンC,Dについてはこちらの記事でも詳しくお話しています。

4. 日常のクセと冬の肌トラブルの関係
ここからは、もう少し生活に近づけた視点で見ていきます。
冬の生活パターンのどこが、**「冬 肌トラブル 乾燥以外」**の要因になりやすいのか、一緒に振り返ってみましょう。
4-1. 冬の「当たり前」が、肌から見れば負担になっていることも
たとえば、こんな冬の日常が続いていないでしょうか。
- 寒いので、どうしても家の中でじっとしている時間が増える
- 布団に入ってから、スマホでSNSや動画を長く見てしまう
- 年末・年度末に向けて仕事が忙しくなり、気づけば睡眠時間が短くなる
- 疲れた日は夕食が軽くなり、甘いものやパン・麺類で済ませがち
- 熱めのお風呂で一気に温まり、つい長風呂になる
どれも「よくあること」ですが、積み重なると、
- 交感神経優位が続き、からだが休まりにくい
- 睡眠の質が下がる
- 栄養バランスが乱れ、肌の材料が足りなくなる
- 皮脂やセラミドの回復が追いつかず、バリアが弱い状態が続く
といった流れに繋がりやすくなります。
私自身も、寒い時期はつい長風呂と夜更かしのコンボをやってしまい、「あ、これやると翌朝の肌が全然違うな…」と身をもって感じることがあります。
4-2. 生活習慣と肌の関係を示すエビデンス
生活習慣と肌の状態の関係を見た研究はいくつかあります。
- 心理的ストレスや睡眠不足が続くと、肌バリアの回復が遅くなることが、女性を対象とした研究で示されています。サイエンスダイレクト+1
- 別の調査では、睡眠の質が悪い人ほど、肌の老化サインやバリア機能の低下が強いことも報告されています。PubMed+2OUP Academic+2
また、冬は運動不足になりやすく、自律神経のバランスが乱れ、末梢血流が悪くなりやすい季節だと、化粧品会社などの研究でも指摘されています。ポーラ+2株式会社ETERNAL BEAUTY GLOBAL+2
「冬 スキンケア 見直し」というキーワードが増えている背景には、化粧品だけでなく、生活全体を見直す必要があると気づき始めている人が増えていることも関係していそうです。
4-3. ここを1〜2割変えるだけでもラクになりやすいポイント
完璧を目指す必要はありません。
むしろ「ここだけ1〜2割変えてみる」という意識の方が続きやすく、結果として肌にとってもプラスになります。
例として、
- 入浴の見直し
熱すぎるお湯(42℃以上)で長く入ると、皮脂やセラミドが流れやすくなります。湯温を1〜2℃下げ、入浴時間も少し短めにするだけでも、角層へのダメージは減っていきます。 - 夜のスマホ時間を10〜15分だけ削る
就寝前のブルーライトは、睡眠ホルモンの分泌を妨げやすいと言われています。
ベッドに入ってからのスマホ閲覧時間を、毎日10分だけでも減らせると、睡眠の質の改善に繋がり、その先で肌の回復力アップにもつながっていきます。MDPI+1 - ビタミンC・Dを意識した「一品だけプラス」
夕食に「鮭やサバなどの青魚」「キノコ」「柑橘類」などを一品足すだけでも、ビタミンC・Dやオメガ3脂肪酸の摂取量は少しずつ積み上がります。CLINIC FOR (クリニックフォア) 内科・アレルギー科・皮膚科+2ダイヤモンド・オンライン+2
「冬 肌が荒れる 原因」を探すと、あれもこれも気になってしまいますが、一度に全部変えようとしないことも大切なポイントです。
4-4. よくある疑問Q&A
ここからは、「肌荒れ ストレス 自律神経」などでよく見かける疑問を、3つだけピックアップしてお答えしていきます。
Q1. 保湿を頑張っても冬の肌荒れがよくなりません。何から見直すべき?
A. 「塗るもの」よりも前に、「削りすぎていないか」をチェックするのがおすすめです。
- クレンジングが強すぎる
- ダブル洗顔で皮脂を取りすぎている
- 熱いシャワーを顔や体に直接長時間当てている
こうした「洗いすぎ・温めすぎ」があると、どんなに保湿しても追いつかないことがあります。アラガン・エステティックス・ビューティー
そのうえで、
- 洗浄力を少しマイルドなものに変える
- 湯温を1〜2℃下げる
- すぐに保湿(お風呂上がり5〜10分以内)を意識する
この3つを最初の見直しポイントにしてみてください。
外側の負担が減ると、内側のケア(睡眠・栄養・ストレス対策)の効果も出やすくなります。
Q2. ストレスが多い時期は、どんなセルフケアが肌にやさしいですか?
A. 自律神経を「休ませる時間」を、1日のどこかに意図的につくることです。
難しいことをしなくても、例えば、
- 深呼吸を3〜5回ゆっくり行う
- お風呂上がりに首・肩・胸周りを軽くほぐす
- 湯船に浸かる時間だけはスマホを持ち込まない
こうした行動は、交感神経一辺倒になりがちな状態から、少しだけ副交感神経寄りにギアを戻してくれます。
ストレスと肌バリアの関係を調べた研究では、ストレスが高い人ほどバリア回復が遅く、炎症も起こりやすいことが示されています。PubMed+2Nature+2
「ストレスをゼロにする」のは現実的ではないので、
「ストレスがある前提で、1日の中に“回復の小さなポケット”を作る」
くらいのイメージがちょうど良いと思います。
Q3. ビタミンDのサプリは飲んだ方がいい? 日光浴はどのくらい必要?
A. 人によって答えが変わる部分なので、「基本の目安」と「注意点」だけお伝えします。
- 日本人の食事摂取基準(2025年版)では、18歳以上のビタミンDの目安量は1日9.0μg、耐容上限量は100μgとされています。長寿科学振興財団+1
- ただ実際の平均摂取量はこの目安より少なめで、不足しがちな栄養素とされています。「 健康食品 」の安全性・有効性情報 -+1
日光に関しては、季節や地域、肌質によっても大きく異なりますが、
- 「顔と手の甲に、日焼けしない程度の短時間の日光をあびる」
- 「食品から鮭・サバ・卵・きのこ類などをとる」
といった「日光+食品」でコツコツ補うのが基本です。CLINIC FOR (クリニックフォア) 内科・アレルギー科・皮膚科+2ダイヤモンド・オンライン+2
サプリメントについては、
- 持病の有無や他のお薬との飲み合わせ
- 既にサプリを複数飲んでいるかどうか
なども関わってくるため、自己判断で大量にとるのではなく、一度かかりつけ医に相談してから始めるのがおすすめです。
5. おわりに 〜「全部やる」より「ひとつだけ続ける」〜
冬の肌トラブルは、「乾燥」というわかりやすい敵がいる一方で、
- 疲労の蓄積
- ストレスと自律神経の乱れ
- 睡眠の質低下
- ビタミンC・Dなどの不足
といった、「目に見えないけれど、じわじわ効いてくる要因」がいくつも重なっています。
最後に、今日からできる小さな一歩を表にまとめてみます。
| 行動のヒント | イメージ |
|---|---|
| 湯温を1〜2℃下げて、入浴時間を少し短くする | 肌の“油膜”を守りながら温まる |
| 寝る前のスマホ時間を10〜15分だけ減らす | 肌の修復工事の時間を少し増やす |
| 夕食に「魚 or きのこ or 果物」を1品足す | ビタミンC・Dとオメガ3をコツコツ補給 |
| 深呼吸や軽いストレッチの時間を1日3分つくる | 自律神経に「休んでいいよ」と合図を送る |
全部一度にやろうとすると、どうしても続きません。
**「この中から1つだけ選んでやってみる」**くらいが、ちょうどいいスタートラインです。
ポイントを3つに絞ると、
- 冬の肌不調は、乾燥だけでなく「疲労・ストレス・睡眠・栄養」とセットで起きやすい。
- 自律神経と血流、睡眠の質が、肌のバリア機能や回復力に大きく関わっている。オビッド+5hisesshoku-derm.com+5ポーラ+5
- スキンケアだけで頑張るのではなく、生活の中の「1〜2割の見直し」を積み重ねることが、遠回りなようでいちばん確実なケアになる。
冬の肌の不調は、「からだがちょっとお疲れですよ」という静かなサインでもあります。
そのサインに気づいてあげられた時点で、もう一歩、回復に向かって動き出しています。
無理なくできることから、ひとつだけ拾って、今日からゆるっと始めてみてください。
肌が少し楽になると、気持ちもふっと軽くなります。その逆もまた、ちゃんと起こってくれます。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
