「ながら食べ」が習慣になると起きること ~スマホを見ながらの食事と太りやすさ・だるさの関係~

スマホ画面を見ながら食事をしている人が、食後にだるさや太りやすさを感じている様子をイメージしたイラスト

夕飯の時間なのに、ついスマホを片手にSNSや動画をスクロールしながら「気づいたらお皿が空になっていた」という経験はありませんか。こうした「ながら食べ」が積み重なると、太りやすさや食後の強いだるさにつながりやすくなります。今回は、スマホを見ながらの食事でからだの中で何が起きているのかを、できるだけやさしい言葉で整理してみます。


目次

1. 「気づいたら食べ終わっている」食事が増えていませんか

ここ数年、「ごはんのとき、気づいたらスマホを見ていて」「食べた量のわりに食後がしんどい」という相談が増えています。リモートワークや一人暮らしが当たり前になり、食卓にスマホやタブレットがあることが“ふつう”になってきました。

  • 一人での食事は寂しくて、動画を流しっぱなしにしてしまう
  • 子どもが静かになるから、つい動画を見せているうちに自分も画面を見る
  • 「ながら」で食べているうちに、お菓子やデザートまで手が伸びている

こんな日々が続くと、「なんとなく太りやすくなった」「食後はいつも眠気とだるさがセット」という状態になりやすくなります。

この記事では、
「ながら食べのどこが負担になるのか」
「からだの中でどんな変化が起きているのか」
「今日からできる、小さな軌道修正」
を整理していきます。全部を完璧に変える必要はありません。一つでも「これならできそう」と思えるヒントが見つかれば十分です。


2. 「ながら食べ」とは何か。よくあるイメージと本来の食事との違い

「スマホを見ながら」「テレビをつけっぱなしで」の食事

ここで言う「ながら食べ」は、

  • スマホを触りながら
  • テレビや動画を見ながら
  • パソコン作業をしながら
    といった、“画面への集中”と同時に食事をしている状態を指します。

誰かと会話を楽しみながらの食事と決定的に違うのは、「注意の向き」です。会話をしながらの食事は、お互いの表情やその場の空気、食事の味に注意が行き来します。一方で、スマホやテレビに意識が持っていかれる食事では、「食べていること自体」をほとんど意識できていないことが多いのです。

研究で分かってきた「画面とながら食べ」の影響

最近の研究では、食事中のスマホやテレビが「摂取カロリーを増やしやすい」ことが繰り返し報告されています。

  • スマホを使いながら食事をした若年者は、そうでないときよりも摂取カロリーが増えた、という報告がありますサイエンスダイレクト+1
  • テレビを見ながらの食事は、総エネルギー摂取量を増やし、特に次の食事でも食べ過ぎにつながりやすいとするレビューもありますPubMed+1
  • 子どもや若者では、「食事中のテレビ視聴」や「長いスクリーンタイム」と、肥満リスクの上昇との関連が、複数のメタ分析で示されていますWiley Online Library+2Ovid+2

数字で見ると、例えば「画面を見ながら食べる子どもは、そうでない子どもに比べて、超加工食品からのエネルギー摂取が数%多い」といった報告もあり、じわじわと差がついていくイメージですWiley Online Library+1

「ながら食べ=悪」ではなく、クセの強さが鍵

とはいえ、「一度テレビをつけた状態で食べたらアウト」という話ではありません。ポイントは、

  • ほとんど毎食、スマホやテレビを見ながら食べている
  • 食事より画面の内容が主役になっている
  • 「どれくらい食べたか覚えていない」ことが多い

といった“習慣化”です。からだへの負担は、単発ではなく「積み重ね」で大きくなっていきます。


3. からだの中で何が起きている?注意・ホルモン・感覚の変化

ここからは、スマホを見ながらの「ながら食べ」で、からだの中で起きていることを少しだけ深掘りしてみます。

(1) 注意が画面に奪われると、「満腹サイン」が届きにくくなる

私たちが「そろそろお腹いっぱいだな」と感じるとき、

  • 胃のふくらみ
  • 血糖値の上昇
  • 腸から分泌されるホルモン(GLP-1 など)
  • 脳の満腹中枢への情報
    といった、いろいろな信号が同時に脳まで上がってきています。

ところが、スマホの通知やSNSの更新、動画の音声に意識を持っていかれていると、脳は「画面の情報」を優先的に処理しがちです。その結果、本来ならキャッチできるはずの「そろそろ十分だよ」という満腹サインが、後回しになってしまいます。

実際に、画面や音声などの“強い注意の分散”があるときには、そうでないときに比べて食事量が増えたという実験結果も報告されていますe-jnh.org+1

(2) 「何をどれだけ食べたか」を覚えていないと、次の食事にも影響

「ながら食べ」の厄介なところは、その食事だけでなく「次の食事」にも影響が残りやすい点です。

テレビを見ながら食事をした人は、その後の軽食での摂取量が増えた、という研究もあり、これは「さっきどれくらい食べたか」の記憶があいまいなほど、後の食事を抑えにくくなるためではないかと考えられていますPubMed+1

スマホでSNSや動画を見ながら食べていると、

  • 食べるスピードが速くなる
  • 噛む回数が減る
  • 味や満足感を感じる前に、量だけが増える

といった状態になりやすく、「食べた実感」が薄いまま食事が終わってしまいます。その結果、「さっきしっかり食べた」という記憶が弱くなり、間食や夜食に手を伸ばしやすくなるのです。

(3) 血糖値の“ジェットコースター”と食後のだるさ

ながら食べは、血糖値の上下にも影響を与えやすいと考えられます。
集中して味わうことなく早いペースで食べると、特に白ごはんや麺類、甘い飲み物などでは血糖値が急上昇しやすくなります。

血糖値が急に上がると、膵臓からインスリンが多く分泌され、その後に血糖値が急降下しやすくなります。このジェットコースターのような変化が、

  • 食後の強い眠気
  • 頭の重さ
  • イライラ・集中力低下

といった「だるさ」の原因の一つになることがわかっています。

一方で、「食べるスピードをゆっくりにし、味や食感に意識を向ける“マインドフルイーティング”」は、摂取カロリーの減少や、食べ過ぎのエピソードを減らす可能性が示されていますサイエンスダイレクト+2PubMed+2

(4) 報酬系がフル稼働しやすい環境

スマホの通知、SNSの「いいね」、動画の刺激。それらはすべて、脳の「報酬系」を刺激します。ここに“おいしいもの”が重なると、脳はダブルで快楽刺激を受けている状態になりやすく、

  • 甘いもの・脂っこいものに手が伸びやすい
  • 「もう一口…」が止まりにくい

といった状況が生まれがちです。スマホとながら食べがセットになると、「気持ちよさ優先」のモードになりやすく、からだの声(満腹感や疲れ)に気づきにくくなってしまうのです。


4. よくある「生活パターン」と、ながら食べの関係

ここからは、日常でよく見かけるパターンをいくつか取り上げながら、「ながら食べ」が太りやすさやだるさにどうつながっているかを整理してみます。

パターン1:一人ごはん=スマホ時間になっている

  • 一人暮らしで、毎食スマホを見ながら食べる
  • 食卓ではなく、ソファやベッドの上で食べるのが習慣

このパターンでは、「食事の区切り」があいまいになりやすく、食べ終わったあとも、
・お菓子
・甘い飲み物
へとそのままつながりやすくなります。

スマホやテレビを見ながら食べる人ほど、超加工食品(スナックやジャンクフードなど)からのエネルギー割合が高い、という報告もありWiley Online Library+1、「ながら食べ」と「選びやすい食べ物」の組み合わせが、じわじわと体重増加に効いてきます。

パターン2:仕事の合間の「ながらランチ」

  • デスクで資料を見ながら、メールを返しながらランチ
  • 昼休みも短く、早食いがクセになっている

このパターンでは、食べるスピードが速く、噛む回数も少なくなりがちです。注意が仕事に向いているため、満腹感に気づく前に食事が終わります。血糖値の急な上下と相まって、午後の強い眠気や集中力の低下につながりやすくなります。

パターン3:子育て中の「とりあえずスマホで静かに」

  • 子どもが静かになるから、食事中は動画をつける
  • その横で、自分もスマホを触るのが当たり前になっている

忙しい毎日の中で、「静かに食事時間を確保する」ための工夫としてスマホを使うのは、ある意味で仕方のない部分もあります。ただ、これが毎食の習慣になると、

  • 子ども側:食事=画面、のセットが強くなる
  • 親側:自分の食べ方も“ながら”がデフォルトになる
    という二重の影響が出てきます。

子どもに関しては、「食事中のテレビ視聴や長いスクリーンタイムが、肥満や不健康な食習慣と関連する」というデータが多く出ておりWiley Online Library+2Ovid+2、成長してからもそのクセが続きやすいとされています。


Q1. 週に何回くらいまでなら、「ながら食べ」でも大丈夫でしょうか?

明確な“回数の線引き”はありませんが、

  • ほとんどの食事がスマホ・テレビ付き
  • 「ながら」のない食事が思い出せない
    といった状態であれば、からだへの影響は無視しにくいレベルになっていると考えて良いと思います。

目安としては、「1日のうち1食だけは、画面なしで食べる時間をつくる」ことから始めるのがおすすめです。週に数回、画面なしの食事時間を意識的に増やしていけると、からだの感覚も変わってきます。

Q2. 家族でテレビを見ながらの食事も、全部やめた方がいいですか?

家族で同じ番組を見て笑い合いながらの食事は、“コミュニケーションの時間”としての価値もあります。ポイントは、

  • 食事中の主役が「テレビ」になっていないか
  • 何をどれだけ食べたか、誰も覚えていない状態になっていないか

というあたりです。例えば、

  • 平日は画面なしで、週末の一食だけ「テレビをつける日」にする
  • テレビをつける場合も、「食事の最初の5〜10分は画面オフ」にして、味や会話を楽しむ時間を確保する

といった「折り合いのつけ方」も現実的です。

Q3. ながら食べがやめられないのは、心の問題でしょうか?病院に行く目安は?

「なんとなくスマホを触ってしまう」レベルであれば、多くの場合は習慣の問題です。ただ、

  • 食べる量のコントロールが効かない
  • 満腹でも食べ続けてしまい、つらい
  • 体重増加や健康診断の結果に大きな影響が出ている

といった場合は、単なる習慣を超えて、摂食行動の問題を抱えている可能性もあります。そのときは、内科・心療内科・精神科などの医療機関や、栄養の専門職(管理栄養士)に相談してみるのも一つの選択肢です。


5. 今日からできる「ながら食べ」卒業への小さなステップ

最後に、今日から試せる現実的な工夫をいくつか挙げてみます。すべてを一度に変える必要はありません。できそうなものから、1つか2つだけ選んでみてください。

行動のヒントをざっくり整理

行動のヒントイメージ
最初の5分だけ画面オフで食べる一口目〜数口分だけは、味や温度、香りに意識を向ける
食べるときはスマホを「裏返して」少し離す通知が視界に入らないだけでも、注意の分散が減る
一口ごとに箸・フォークを置くペースを落として、満腹サインをキャッチしやすくする
「ながら食べOKの時間」を決める週末の一食だけ、ドラマを見ながらにするなど、メリハリをつける
食後のだるさ日記をつけてみる画面あり/なしで、だるさや眠気の違いを感じてみる

マインドフルイーティングの研究では、「味や食感に注意を向けながら、ゆっくり食べたグループの方が、総カロリー摂取が少なくなる」傾向が報告されていますサイエンスダイレクト+2PubMed+2
一方で、スマホやテレビなどの画面に意識が向いていると、摂取カロリーが増えやすく、糖代謝にも影響する可能性が指摘されていますf6publishing.blob.core.windows.net+2PMC+2

大事なのは、「ながら食べをゼロにする」ことではなく、

  • 画面ありの食事を、少しずつ減らしていく
  • 食べているときのからだの感覚に、ちょっとだけ意識を向けてみる

という、小さな軌道修正を重ねていくことです。

きっと、食後のだるさやお腹まわりの変化にも、少しずつ違いが出てくるはずです。無理のないペースで、ご自身のスタイルに合った「ちょうどいい付き合い方」を探してみてください。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事があなたのより良い生活のための一助になりますように。

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この記事を書いた人

からだトレンドラボを運営している、理学療法士のテラサワです。
病院やクリニックでのリハビリに長く関わる中で、
「もっと早く知っていれば楽になれたのに」という声を
何度も聞いてきました。

このブログでは、からだや健康にまつわる“トレンド情報”を、
医学的な視点でていねいに噛み砕いてお届けします。
難しいことはできるだけやさしく。
読み終わったときに、ちょっとだけ不安が軽くなっていたら嬉しいです。

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