常に通知が鳴っている人ほど“疲れやすい”のはなぜ? ~スマホ通知・SNSと脳のエネルギー消費~

デスクでスマホ通知に気を取られながら疲れた表情で座るビジネスパーソンの様子を描いたイメージ画像

「LINEもメールも社内チャットも、ひっきりなしにピコンピコン。気づけば一日じゅうスマホに振り回されている気がする」。そんな生活が続くと、体力的にはそこまで動いていないのに、妙にぐったりしませんか。今回は、スマホ通知やSNSとの付き合い方が、脳のエネルギー消費や“なんとなく疲れやすい”感覚とどうつながっているのかを、一緒に整理してみます。


目次

1. 通知に追いかけられる毎日、「なんとなく疲れる」の正体

ここ数年、「特別忙しいわけじゃないのに、常に頭が重い」「仕事終わりは思考がからっぽになっている」という相談が増えてきました。話を聞いていくと、多くの人に共通しているのが「スマホ通知が一日中鳴っている生活」です。

仕事用チャット、プライベートのグループLINE、SNSのお知らせ、ニュースアプリの速報…。気づけば、数分おきに画面が光り、「今度は何だろう?」と目と意識が持っていかれます。

こうした状況が続くと、次のような感覚を訴える人が多くなります。

  • 集中しているつもりなのに、作業が終わるとぐったりする
  • 夜ベッドに入っても、頭の中がざわざわしている
  • 休日なのに「何もしていないのに疲れている」感じがする
  • 人と会話していても、どこか上の空で楽しめない

この記事では、こうした「通知に追いかけられるような疲れ」の背景にある、脳のエネルギーの使われ方を見ながら、「全部やめるのは無理でも、ここを変えると少しラクになる」というポイントを探していきます。


2. 「スマホ通知疲れ」とはどんな状態か整理してみる

まず、「スマホ通知で疲れている状態」をざっくり言葉にしてみましょう。

スマホ通知疲れのよくあるパターン

  • 作業をしていても、通知が鳴るたびに手が止まる
  • 気づけば、用事もないのに画面を開いてしまっている
  • SNSやニュースを見たあと、妙なモヤモヤや不安が残る
  • 何もしていない時間でも、何かをチェックしていないと落ち着かない

外から見ると「ただスマホを触っているだけ」ですが、脳の中では小さな“タスク切り替え”がひっきりなしに起きています。

「単なる怠け」ではなく、“脳の疲れ”に近い

周りからは「スマホ見過ぎだからでしょ」と軽く見られがちですが、実際には、集中を保つための前頭葉(注意や判断を司る部分)が何度も中断を受けている状態です。

  • 仕事をする
  • 通知で意識がそちらに向かう
  • 内容をチェックするか迷う
  • 開くか・閉じるかの判断をする
  • やっと元の作業に戻る

この「小さな判断の積み重ね」を一日中繰り返していると、体力は余っていても、脳のエネルギーはどんどん消耗していきます。

「通知=小さなストレス刺激」になりやすい

通知が鳴るたびに「今すぐ対応したほうがいいのかな」「また仕事の連絡だったらどうしよう」と、軽い緊張状態になる人も多いです。こうした“プチ緊張”が重なっていくと、自律神経的には交感神経がじわじわ優位になり、「一日が終わるころにはヘトヘト」というパターンにつながります。


3. スマホ通知とSNSが、どうやって脳のエネルギーを削っていくのか

ここからは、もう少しだけ中身をのぞいていきます。「構造」「神経」「感覚」の3つの目線で、通知が多い生活で何が起きているかをイメージしてみましょう。

3-1. 「視覚+聴覚+注意」のマルチタスク状態

通知が鳴るとき、私たちの身体ではこんな動きが起きています。

  • 目:画面の光や文字情報に反応する
  • 耳:音・バイブレーションに反応する
  • 脳:今やっていることから意識を切り替え、情報の重要度を判断する

視覚と聴覚から一気に情報が入り、注意システムが引っ張られます。すると、「今やっている作業」に割けるリソースが瞬間的に減り、効率が落ちてしまうことに。

ある研究では、「スマホが机の上に見えているだけ」で、記憶力や問題解決のパフォーマンスがわずかに低下するという報告もあります。
通知が鳴っていなくても、“いつでも鳴るかもしれない”状況自体が、注意の一部をスマホ側に持っていってしまうわけです。

3-2. 何度も“中断と再開”を繰り返すコスト

メールやSNSの通知が来るたびに作業を中断し、また元のタスクに戻る。この「タスク切り替え」は、思っている以上にエネルギーを使います。

  • 今どこまでやっていたかを思い出す
  • 作業モードに気持ちを戻す
  • 集中が深まるまで、再び数分かかる

こうしたプロセスが一日中続けば、“なんとなく頭がスカスカになる”のは自然なことです。

タスク切り替えを頻繁に行う人ほど、生産性が40%以上低下する場合がある、という報告もあります。
効率が落ちると、同じ量の仕事をこなすのに余計な時間とエネルギーが必要になり、結果的に「毎日ずっと疲れている」感覚につながっていきます。

3-3. 小さなストレスが積み重なり、自律神経が休みにくくなる

通知の内容も厄介です。

  • 仕事の急ぎ連絡
  • 人間関係の微妙なメッセージ
  • 不安になりやすいニュースや炎上情報

こういった情報は、ほんの数秒見ただけでも、心拍数が少し上がったり、お腹がキュッとするような“うっすらストレス反応”を引き起こします。

ストレスに関する研究では、「強いストレスが一度ドンと来る」よりも、「小さなストレスが細かく続く」ほうが、慢性的な疲労感や睡眠の質低下と結びつきやすいとされます。

通知が多い生活は、まさにこの「小さなストレスの連続」になりやすい環境です。自律神経のブレーキ役である副交感神経が入りにくくなり、

  • 寝つきはいいのに眠りが浅い
  • 朝起きた時点で、すでに軽くだるい
  • 休日も頭がゆるく緊張している感じが残る

といった状態へとつながっていきます。

3-4. 「比較」と「取り残され不安」でメンタルも消耗する

SNSの通知には、「誰かの投稿へのいいね」「フォロワー数の変化」「誰かの成功報告」なども含まれます。これらは、私たちの中の「比較スイッチ」を押しやすい情報です。

  • あの人はこんなに頑張っているのに、自分は…
  • こんなに楽しそうにしているのに、自分は疲れてばかりだな
  • 自分だけ話題から取り残されている気がする

こうした感情がじわっと膨らむと、それだけで脳の“感情処理”にエネルギーが使われてしまいます。感情は悪者ではありませんが、「通知のたびに比較モードへ引きずり出される」状態は、心にも体にもなかなかハードです。


4. こんな生活パターンは要注意。通知と疲れのつながり

ここからは、日常でよくあるパターンをいくつか挙げて、「この組み合わせは、脳のエネルギーを取りこぼしやすい」という例を見ていきます。

4-1. 朝起きてすぐ通知チェックから始まる一日

目覚ましアラームを止めたあと、そのままLINEやメール、SNSをチェックする習慣がついていませんか。

朝一番の脳は、まだぼんやりしていて、一日のペースを決めていく“ウォーミングアップ中”です。このタイミングで大量の情報と「返さなきゃ」というタスクが流れ込んでくると、スタート直後からアクセルを踏みすぎてしまい、そのまま夕方まで踏みっぱなし…というパターンになりがちです。

4-2. 作業中も「通知を見ないと落ち着かない」

仕事や勉強中でも、机の上にスマホを伏せて置き、「いつでも確認できる状態」にしている人は多いと思います。不思議なことに、通知を見ていなくても、「鳴ったかも?」「光った?」と気になってしまう瞬間があるはずです。

研究でも、「スマホが視界にあるだけで、集中力テストの成績が少し下がる」という結果が報告されています。
“いつでも見られる状態”は、安心感ではなく、「いつ鳴るかわからない緊張感」になりやすいのです。

4-3. 夜、寝る直前までSNSをスクロール

一日頑張ったあと、「ちょっとだけ」とSNSやニュースを見始めて、そのまま30分、1時間…という経験は、多くの人にあるはずです。

夜遅くに刺激的な情報や感情が揺さぶられる内容を見続けていると、脳は「まだ活動モード」と勘違いしてしまいます。その結果、

  • 布団に入っても頭の中の映像が流れ続ける
  • 眠れているはずなのに、翌朝の回復感がいまいち

という状態になり、「寝ても疲れが抜けない」という感覚を強めてしまいます。


Q1. 通知が多いときは「自律神経の乱れ」を疑ったほうがいいですか?

「通知が多い = 必ず自律神経が乱れている」と決めつける必要はありません。ただ、

  • 頭痛や肩こりが増えた
  • 寝つきは悪くないのに、朝だるい
  • 休日も気持ちが落ち着かない

といったサインが続いていて、なおかつ「一日中通知に追いかけられている感覚」があるなら、自律神経の休む時間が足りていない可能性は高いです。まずは通知の量やタイミングを調整してみる価値は十分にあります。

Q2. 仕事の連絡もあるので、通知を切るのは難しいです…

仕事の連絡がある以上、「全部オフ」は現実的ではないですよね。ポイントは「常にフル開放にしない」ことです。

  • 時間帯を決めて“通知が鳴るゾーン”と“鳴らないゾーン”を作る
  • 重要な相手だけ通知オン、その他はまとめて見る
  • パソコンで見られる連絡は、スマホ側の通知を減らす

など、「ゼロか100か」ではない調整が役に立ちます。

Q3. どのくらいしんどくなったら、医療機関や専門家に相談した方がいいですか?

通知やSNSを調整しても、

  • 不眠が続く
  • 強い不安感や落ち込みが長引く
  • 動悸や息苦しさ、めまいなどの身体症状が強い

といった場合は、メンタルクリニックや心療内科、かかりつけ医などに早めに相談してみましょう。「スマホの使い方を見直しても、生活に支障が出るレベルで続いているかどうか」が、一つの目安になります。


5. 今日からできる「通知と上手く距離をとる」小さな工夫

最後に、「全部やめる」のではなく、現実的に取り入れやすい工夫をいくつか挙げてみます。

工夫の例イメージ・ポイント
朝30分は“通知フリータイム”にする起きてすぐは、スマホではなく水を飲んだり、軽く伸びをするところからスタート。脳のウォーミングアップ時間を守る。
仕事中に“通知が鳴らない作業ブロック”を作る例えば25〜50分だけ通知オフにして、一区切りついたらまとめて見る。タスク切り替えの回数を減らす。
夜のSNSは「ここまで」と時間で区切る「寝る1時間前にはスマホから離れる」など、自分なりのラインを決めて、情報の洪水に飲み込まれないようにする。

すべてを一気に変える必要はありません。
「朝だけ変えてみる」「寝る前だけ意識する」といった小さな一歩でも、脳のエネルギーの減り方は少しずつ変わっていきます。

通知やSNSは、私たちの生活を便利にも、忙しなくもしてくれる存在です。「悪者だから切り捨てる」のではなく、「ここだけは自分を守るために線を引いておく」という感覚で付き合えると、心身の疲れ方がだいぶ違ってきます。

あなたの一日に、少しだけ「通知に追いかけられない時間」が増えますように。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事があなたのより良い生活のための一助になりますように。

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この記事を書いた人

からだトレンドラボを運営している、理学療法士のテラサワです。
病院やクリニックでのリハビリに長く関わる中で、
「もっと早く知っていれば楽になれたのに」という声を
何度も聞いてきました。

このブログでは、からだや健康にまつわる“トレンド情報”を、
医学的な視点でていねいに噛み砕いてお届けします。
難しいことはできるだけやさしく。
読み終わったときに、ちょっとだけ不安が軽くなっていたら嬉しいです。

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