「今年の風邪は◯◯が多いらしい」「この症状は危ないかも」…。そんな情報を見かけるたびに検索が止まらなくなり、画面を閉じた頃にはからだより心がぐったりしている。そんな冬を過ごしていないでしょうか。この記事では、情報に振り回されて疲れてしまう流れをいったん整理しながら、「どこまで追いかけて、どこで手放すか」という情報との距離感を一緒に考えていきます。

1. 今年の風邪情報を追いかけるほど、心だけ先に消耗していく
ここ数年、「今年の風邪」や「新しい感染症の流行」が話題になるたびに、SNSやニュースのタイムラインが一気に騒がしくなります。
「〇〇の症状が出たら要注意」「今年は子どもの間でこういうケースが増えている」など、半日スマホを見ているだけでも、かなりの量の“体調ネタ”が流れてきます。
私のところにも、こんな声が届くことがあります。
- 家族の誰かがくしゃみをするたびに、頭の中で“今年の風邪”の情報がよぎる
- 夜になると、「この咳は大丈夫なのかな」と検索が止まらない
- ニュースを見ると不安になると分かっているのに、つい最新情報をチェックしてしまう
気がつくと、「からだのしんどさ」よりも「情報に振り回されているしんどさ」の方が大きくなっていることもあります。
この記事では、
- なぜ“今年の風邪”情報が不安を強くしやすいのか
- 情報疲れ・検索疲れが自律神経や睡眠にどう影響するのか
- 感染症シーズンを乗り切るための、情報とのちょうどいい距離感
をやわらかく整理していきます。全部を完璧にやる必要はありません。「これならできそうかも」というものを、ひとつ拾ってもらえたら十分です。

2. 「今年の風邪」の情報が不安を膨らませやすい理由
「今年の風邪」という言葉には、なんとなく“いつもと違う、よく分からないもの”というイメージがくっつきがちです。ここにはいくつかのポイントがあります。
「レアケース」が目につきやすい
テレビやネットニュースは、人の注意を引きやすい「重症例」「珍しい症状」を取り上げることが多くなります。
ところが現実には、感染症の多くは「軽く済む人」「通常の経過でよくなる人」が圧倒的多数です。
疫学調査でも、多くのウイルス感染は数日〜1週間程度で自然に回復するケースが大部分を占めるとされています。重症化する人は、基礎疾患がある方・高齢の方など、ごく一部の層に偏ることが多いと報告されています。
それでも、連日「重症」「後遺症」といった言葉を目にしていると、頭の中では「重いケース=よくあるケース」のように錯覚しやすくなります。
「最悪のケース」を先にイメージしてしまう
人の脳には「ネガティブな情報の方を強く覚えやすい」というクセがあります。心理学では「ネガティビティ・バイアス」と呼ばれますが、
- ほっとする情報よりも、怖い情報
- 大丈夫という説明よりも、「見逃すと大変」という警告
の方が記憶に残りやすく、不安を強く感じやすいのです。
これに「今年の風邪」「よく分からないウイルス」といった、あいまいで正体がつかみにくい言葉が重なると、頭の中では“ぼんやり怖いもの”として大きく育っていきます。
「何度も見ること」で、危険度を実際より高く感じる
同じようなニュースやSNSの投稿を何度も目にすると、「そんなに多いなら、自分にも起こりそう」と感じやすくなります。
実際の発症率や重症化率がそれほど高くなくても、「頻繁に目にする=頻繁に起こっている」と錯覚してしまうのです。
ざっくり言うと、
・強い言葉で語られたレアなケース
・何度も繰り返し目にする情報
・“よく分からないけど怖そう”というあいまいさ
これらが組み合わさると、「今年の風邪 情報」を見れば見るほど、不安が上乗せされていきます。
3. 情報疲れ・検索疲れで、からだの中では何が起こっているのか
では、「今年の風邪 不安」や「症状の検索ループ」にハマっているとき、からだの中では何が起きているのでしょうか。構造・神経・感覚の3つの視点からイメージしてみます。
自律神経:常に“警戒モード”が続く
不安なニュースや検索結果を見続けると、脳は「何か危険があるかもしれない」と感じやすくなります。
この「危険かもしれない」というサインは、自律神経のうち“交感神経”を刺激します。交感神経が優位になると、心拍数が少し上がったり、呼吸が浅く速くなったり、筋肉がこわばりやすくなったりします。
ストレス研究では、ニュースなどのストレス刺激を見たあと、心拍数や血圧が一時的に上がることが確認されています。短時間なら問題ありませんが、それが毎日・何度も続くと、からだは「軽い警報状態」が長く続くことになります。
感覚:からだの小さな変化を「危険のサイン」と受け取ってしまう
自律神経が緊張し続けると、
- のどの違和感
- 胸のドキドキ
- 軽い頭痛やふらつき
といった、もともと大きな病気とは関係のない変化も「何かの異常かも」と感じやすくなります。
心理学では、「身体感覚に対する注意が過度に向きやすい状態」を“健康不安”の特徴のひとつとして説明しています。
少し咳き込んだだけで、「今年の変な風邪かもしれない」「ニュースで見た重症例の始まりかも」といった連想が一気に広がる。
するとまた不安になり、検索したくなる。このループが、検索疲れの正体です。
脳のエネルギー消費:考えすぎで“脳のスタミナ”が削られる
情報を集めて、危険度を判断して、対策を考えて…。
これらはすべて、「前頭葉」と呼ばれる脳の“考える担当”が背負う仕事です。
研究によると、集中して情報処理を続けると、数十分〜数時間のあいだに主観的な疲労感が高まり、意思決定の質も下がることが報告されています。
つまり、長時間の検索やSNSチェックは、脳にとってかなりの消耗戦。
- 日中の集中力が続かない
- 夜になってどっと疲れが出る
- 眠りにつくまでに時間がかかる
といった「なんとなく不調」にもつながりやすくなります。
4. こういう生活パターンのとき、情報疲れがたまりやすい
ここからは、日常の中でどんなときに「検索疲れ」「情報疲れ」がたまりやすいかを、いくつかのパターンで見ていきます。当てはまる部分があれば、「このあたり、少しだけ緩めてみようかな」と眺めてみてください。
パターン1:家族の体調に敏感で、すぐ検索に手が伸びる
家族想いの人ほど、こうなりやすいです。
- 子どもが咳をするたびに、“今年の風邪”のニュースが頭をよぎる
- 「夜中に悪化したらどうしよう」と考えて、眠る前に症状を検索する
- 安心したくて調べているのに、ページを移るたび不安が増えていく
家族を守りたい気持ちは、とても大切なものです。
ただ、1日に何度も検索を繰り返していると、そのたびに自律神経が「警戒モード」に入り、あなた自身の体力とメンタルが削られていきます。
ある調査では、「家族の健康情報を頻繁に検索する人ほど、主観的なストレスや不安のスコアが高い」という傾向も示されています。
守りたい相手のために行動しているつもりが、自分の心身の余裕を削ってしまうこともある、ということです。
パターン2:寝る前の“情報チェック”がルーティンになっている
夜の静かな時間帯は、不安が膨らみやすい時間帯でもあります。
- 布団に入ってから、今日の感染症ニュースをチェック
- SNSで「今年の風邪」「インフル」というワード検索をしてしまう
- 不安になる投稿を見て、さらに詳しい情報を探しに行く
この流れに入ると、寝る前の1時間が「検索と不安」であっという間に過ぎてしまいます。
睡眠医学の分野では、寝る前の強い光・刺激的な情報が、メラトニンという睡眠ホルモンの分泌を妨げ、睡眠の質を下げることが多数報告されています。
つまり、“夜の感染症ニュースチェック”は、メンタルと睡眠の両方に負担がかかる習慣になりやすいのです。

パターン3:仕事の合間の“ちょっと一息”がニュースアプリになっている
休憩時間にスマホを開くと、自然とニュースアプリやSNSに指が伸びてしまう。
そのトップに「今年の風邪」「新しい感染症」という見出しが並んでいれば、ついタップしてしまいます。
こうした細切れの情報チェックは、一見すると“数分だけ”ですが、1日トータルではかなりの時間とエネルギーを使っています。
仕事自体の疲れに加えて、「情報処理の疲れ」が知らないうちに積み重なり、
- 帰宅した頃にはヘトヘト
- 家に帰ってからもスマホが手放せない
という流れになりやすくなります。
Q1. 「今年の風邪」が怖くて、症状が出たらすぐ検索したくなります。全部やめるべきでしょうか?
全部やめる必要はありません。
「情報を集めること」自体は、自己防衛や適切な受診に役立つ大事な行動です。
ポイントは、
- 検索するタイミングを決める(1日◯回まで、時間帯を決める)
- 使うサイトを絞る(公的機関や信頼できる医療サイトなど)
この2つです。
「不安になった瞬間に検索する」のをやめて、「決めた時間に、決めたサイトだけ見る」に変えるだけでも、心の負担はかなり減ります。
Q2. SNSを見ると不安になると分かっているのに、やめられません…
それは意志が弱いからではなく、脳の仕組みとして“そうなりやすい”からです。
SNSは、「新しい情報」「刺激的な投稿」を次々と見せて、ドーパミンと呼ばれる“もっと見たい”を誘う物質を少しずつ出させる設計になっています。
いきなり完全にやめるのではなく、
- 感染症シーズンだけ、「体調に関するワードのミュート」を設定する
- 寝る前1時間だけ、SNSのアイコンを別フォルダに退避させる
など、「物理的にクリックしづらくする工夫」が有効です。
「見ないように我慢する」より、「触れにくい環境を作る」方が、心理的な負担が少なく続けやすくなります。
Q3. どの程度不安や症状が続いたら、医療機関や専門家に相談した方がいいですか?
目安として、
- 発熱・強い倦怠感・息苦しさが続くとき
- 子どもや高齢の家族で、ぐったりして食事や水分が取れないとき
- 不安や眠れなさが2週間以上続き、日常生活や仕事に支障が出ているとき
こういった場合は、自己判断だけで抱え込まず、医療機関や専門家に相談してほしいタイミングです。
「重症ではない気がするけれど、ずっとモヤモヤしている」という場合も、一度相談することで安心材料が増え、検索ループから抜けやすくなります。
5. 情報に振り回されないための、小さな「ルールづくり」
最後に、今日から試せそうな小さなヒントをいくつかまとめます。全部ではなく、「これはやってみてもいいかな」と思えるものを1〜2個だけ拾ってみてください。
| 行動のヒント | イメージ・ポイント |
|---|---|
| 検索する時間を決める | 「朝と夕方の10分だけ」「1日2回まで」など、“いつでも”検索できる状態をやめる |
| 使う情報源を3つまでに絞る | 公的機関や信頼できる医療サイトなどをブックマークし、検索結果をさまよわないようにする |
| 寝る前1時間は「感染症ニュース休み」にする | 寝る前は“からだを休ませる時間”と位置づけ、ニュースアプリの通知をオフにしておく |
| 不安になったときは「からだの今の状態」を確認する | 体温、呼吸のしやすさ、水分が取れているかなど、事実ベースのチェックに意識を向ける |
研究でも、「ニュースやSNSに触れる時間を意識的に減らすと、1〜2週間ほどでストレスや不安のスコアが低下した」という報告があります。
いきなり完璧を目指さなくても、“情報との付き合い方を少しだけ変える”ことで、自律神経や睡眠の質が穏やかに整っていくことは珍しくありません。
感染症シーズンは、どうしても不安になりやすい時期です。
それでも、「必要な情報」と「手放していい情報」をゆっくり仕分けていくことで、心とからだの余白は少しずつ戻ってきます。
スマホの画面を閉じたあと、「今日はよくやったな」と自分にひと言かけてあげる。そのくらいのやさしさを、自分にも向けてあげてください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事があなたのより良い生活のための一助になりますように。
