寝ても寝ても眠い…それって“自律神経だけじゃない”サイン?受診を考えたいチェックポイント

寝ても寝ても眠くて一日中だるさが続き、自律神経だけでは説明できない不調に不安を感じている大人が、病気の可能性や受診の目安を知ろうとしている様子

「ちゃんと寝ているつもりなのに、いつも眠い」「休みの日も一日中だるくて動けない」。そんな状態が続くと、「自律神経が乱れてるのかな」と考えたくなりますよね。
たしかに自律神経の影響も大きいのですが、実は「自律神経だけでは説明できない眠気」に、別の病気が隠れていることもあります。今回は、受診を考えたいチェックポイントを整理しながら、「どこまでが様子見で、どこからが医療機関レベルなのか」を一緒にたどっていきます。


目次

1. 「自律神経かな」で終わらせがちな“ずっと眠い”という相談

ここ数年、「とにかく一日中眠い」「何時間寝てもスッキリしない」という相談はかなり増えています。季節の変わり目や天気の不安定さ、スマホ時間の増加など、自律神経に負担がかかる要素はたしかに多いですよね。

実際、日中の強い眠気(専門用語では「過度の昼間の眠気」)を感じる人は、一般の成人の中で数%という報告もあります。日本の大規模調査では、強い日中の眠気を訴える人は約2〜3%というデータがあり、ストレスや睡眠不足、いびき・呼吸の乱れなどとの関連が指摘されています。PMC

とはいえ、その中には

  • 「寝不足が続いているだけ」の人
  • 「生活リズムを整えたら改善する人」
  • 「そもそも眠りの質を邪魔する病気が隠れている人」

が混ざっています。

特に気をつけたいのは、次のようなパターンです。

  • ここ数か月〜1年以上、「常に眠い・だるい」が続いている
  • 休日にたっぷり寝ても回復した感覚がない
  • 体重の変化、動悸、冷えやほてり、息苦しさなど「眠気以外のサイン」も増えてきた
  • 家族から「いびきがひどい」「寝ている間に呼吸が止まっている」と言われたことがある

このあたりまで来ると、「自律神経の乱れ」だけにしてしまうには情報が足りません。
からだ全体からのメッセージを、「眠気」という一つの症状にまとめてしまっている可能性もあるからです。

この記事では、特に

  • 甲状腺機能低下症
  • 鉄不足・フェリチン低値
  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
  • 隠れ糖尿病

といった、「大人の強い眠気やだるさ」によく紛れ込む病気のサインを一度整理します。
心配を煽りたいわけではなく、「ここまで当てはまるなら一度検査しておいた方が安心だな」という“線引き”を持ってもらうことが目的です。


2. 「寝ても寝ても眠い=自律神経」だけではもったいない理由

「寝ても寝ても眠い」と検索すると、「自律神経」「ストレス」「睡眠の質」といったキーワードがずらっと並びます。
もちろんどれも大切ですが、それだけを読んでいると、次のような誤解が生まれやすくなります。

  • 眠いのは自律神経のせいだから、病院に行っても仕方ない
  • ストレスのせいだから、もう少し頑張るしかない
  • 年齢のせいかな、と諦めてしまう

しかし、医療の現場では、「強い眠気」を入口に別の病気が見つかるケースを少なからず経験します。

たとえば、強い日中の眠気を評価するときによく使われるのが「エプワース眠気尺度(Epworth Sleepiness Scale:ESS)」というチェック表です。複数の場面(座っているとき、テレビを見ているとき、車の助手席に乗っているときなど)で「どれくらい眠くなりやすいか」を点数化し、合計11点以上になると「過度の昼間の眠気」と判断されることが多いです。Cleveland Clinic+1

このスコアが高い人の中には、

  • 単純に睡眠時間が足りていない人
  • いびきや無呼吸のために「眠りが分断されている」人
  • ホルモンや血液の状態が原因で「そもそも覚醒しにくい」体になっている人

が混在します。

自律神経ももちろん関係しますが、「ホルモンの調整役」「心臓や呼吸のリズム」「血糖や血圧のコントロール」など、多くの仕組みが同時に働いて、ようやく私たちは「普通に起きていられる」状態を保っています。

つまり、
強い眠気は、自律神経の乱れ“だけ”で完結しないことも多いということです。

そこで第3章では、「眠気の裏に隠れやすい4つの病気」を、からだの中で起きていることと一緒に眺めてみます。


3. 眠気の裏に隠れていないか確認したい4つの病気

3-1. 甲状腺機能低下症:体のスイッチがずっとスローモード

首の前側にある小さな臓器・甲状腺は、からだの“代謝スイッチ”を握っています。ここから出るホルモンが足りなくなると、全身のスピードがゆっくりになってしまいます。

よく見られる症状として

  • ひどい疲れやすさ・眠気
  • 体重増加しやすい
  • 便秘
  • 冷えやすい
  • 皮膚の乾燥、髪のパサつき
  • 気分が落ち込みやすい・ぼーっとする

などが挙げられます。nhs.uk+1

症状はゆっくり進行することが多く、「年齢のせいかな」「更年期だからかな」と片づけられやすいのが難しいところです。
欧米のデータでは、甲状腺機能低下症は特に中高年の女性に多く、女性では男性の約10倍という報告もあります。患者情報+1

血液検査で甲状腺ホルモン(FT4など)とTSH(甲状腺刺激ホルモン)を調べることで、かなりの部分がわかります。「最近、寒がり・便秘・むくみ・眠気がまとめて増えた」という場合、一度チェックしてもよい領域です。


3-2. 鉄不足・フェリチン低値:酸素を運ぶ力がじわじわ落ちる

鉄は、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンの材料です。
不足してくると、からだのすみずみまで酸素が届きにくくなり、「ガソリンが薄い状態のエンジン」のように、動きが重たくなります。

世界保健機関(WHO)は、鉄欠乏により疲労・無気力・運動能力低下などが起こるとし、貧血に至る前の「隠れ鉄不足」も問題視しています。世界保健機関+1
近年の研究では、鉄の摂取量が少ない人ほど、日中の過度の眠気と関連していたという報告もあり、「睡眠の質」とは別に、覚醒を支える材料としての鉄の役割が注目されています。PubMed

ポイントは、「ヘモグロビンだけ正常でも、“貯金”であるフェリチンがかなり減っている人がいる」ということです。
フェリチンは体内の鉄のストック量を反映する指標で、ガイドラインや研究によって基準値が違うものの、20〜50 ng/mLを切ってくると鉄欠乏を疑うことが多くなります。Royal Children’s Hospital+1

次のようなサインが重なってきたら、フェリチンも含めた血液検査を考える目安になります。

  • 疲れやすさ・眠気が数か月〜年単位で続いている
  • 階段や坂で息切れしやすい
  • 髪が抜けやすい・爪が割れやすい
  • 月経量が多い、ダラダラと長引く
  • 氷を無性にかじりたくなる、などの「鉄不足あるある」が出ている

私自身、臨床で「うつかな?」と心配して受診した方が、実は強い鉄欠乏だったというケースを何度か見ています。
「気持ちの問題」だけにしてしまう前に、材料が足りているかどうかを確認しておく価値は大きいです。


3-3. 睡眠時無呼吸症候群(SAS):夜中の“気づかれない窒息”

いびきが大きい、寝ている間に呼吸が止まっていると言われる、朝起きると頭痛や喉の渇きがある。
このあたりが揃っているとき、疑いたいのが睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。

最近のまとめでは、程度の違いはあっても、成人の約1〜3割が睡眠時無呼吸を抱えている可能性があるとされています。中等度以上にしぼると、男性の中年層で最大約50%、女性でも25%程度に認められたという報告もあります。PMC+2ERSnet Publications+2

呼吸が止まるたびに、脳とからだは「酸素が足りない」と判断し、交感神経がフル稼働します。
その結果、

  • 夜中に何度も浅い覚醒が起きて眠りが分断される
  • 血圧・心拍が何度も乱高下する
  • 心臓や血管への負担が増える

といったことが繰り返され、朝になっても「熟睡した感覚」が得られません。
周囲から見ると「たくさん寝ているように見える」のに、本人は常に眠い・だるい。
ここに「寝ても寝ても眠い 自律神経 病気」の代表例が潜んでいることがあります。

こんなサインがあれば、一度SASの検査(簡易検査・睡眠ポリグラフ検査)を検討する価値があります。

  • 家族に「息が止まっているみたいで怖い」と言われたことがある
  • いびきが非常に大きい、あるいは途中で止まって“静寂+むせる”を繰り返す
  • 朝起きたときに、眠ったはずなのに頭痛・だるさが強い
  • 日中、会議・運転・座っているだけでも強い眠気に襲われる

3-4. 隠れ糖尿病・血糖のゆらぎ:血液の“ベタつき”が眠気を呼ぶ

糖尿病やその手前の「境界型(予備群)」でも、眠気やだるさが前面に出ることがあります。
血糖値が高い状態が続くと、血液がやや“ベタついた”状態になり、細かな血流が滞りやすくなります。結果として、脳や筋肉へのエネルギー供給が不安定になり、「なんだか頭がぼんやりする」「集中が続かない」という感覚が出てきます。

また、食後に血糖が急上昇・急降下するタイプの人では、

  • 食後1〜2時間で強い眠気が襲ってくる
  • 甘いものや白いごはん・パンを食べたあと、急にだるくなる
  • 間食をしないとイライラ・ふらつきが出やすい

といったパターンも見られます。

空腹時血糖・HbA1c(ヘモグロビンA1c)に加えて、場合によっては食後血糖や75gブドウ糖負荷試験などで詳しく調べることもあります。
「体重増加・のどの渇き・尿の回数が増えた」などのサインが、眠気と一緒に現れていないか、一度ふり返ってみてください。


4. 生活パターンと「受診を考えたい眠気」の線引き

ここまで読んで、「ドキッとするところがあった」という方もいれば、「どれも当てはまるような、当てはまらないような…」という方もいると思います。
そこで、生活パターン別に「様子見でいい眠気」と「受診を考えたい眠気」をゆるやかに分けてみます。

4-1. 生活リズムが明らかに乱れているケース

  • 就寝はいつも0時〜2時台、睡眠時間は5〜6時間程度
  • 寝る直前までスマホ・PCを触っている
  • 週末と平日で起床時間が2時間以上ずれている

このような場合、まずは睡眠時間の確保・光やカフェインの調整でかなり改善することがあります。
研究でも、短時間睡眠や社会的時差ボケ(平日と休日の睡眠リズムのズレ)は、日中の眠気と強く関連することが報告されています。PMC+1

このパターンでは、

  • 睡眠時間を合計7時間前後に近づける
  • 起床時間をできる範囲で毎日そろえる
  • 寝る1時間前はスマホを手放す

などの工夫を数週間試してみたうえで、まだ「エプワース眠気尺度」で11点以上の強い眠気が続くようなら、受診を考えるラインと言えます。Cleveland Clinic+1


4-2. 生活リズムを整えても眠気が続くケース

  • 睡眠時間は6.5〜8時間ほど確保している
  • スマホ時間やカフェインも見直したが、やはり眠い
  • ここ数か月〜1年以上、同じような眠気・だるさが続いている

このタイプは、「自律神経+別の要因」が絡んでいる可能性が高くなります。
特に、

  • 体重が急に増えた or 減った
  • 冷え・便秘・むくみ・脱毛など、甲状腺を連想させるサイン
  • 経血量が多い・貧血と指摘されたことがある
  • いびき・無呼吸を家族から指摘された
  • 食後にだけ強く眠くなる、のどの渇きや頻尿が気になる

といったポイントがある場合は、「寝ても寝ても眠い 自律神経 病気」という検索ワードに含まれる“病気側”を、一度疑ってみてもよいタイミングです。


4-3. Q&A:よくある疑問にざっくりお答え

Q1. どのくらい眠気が続いたら、受診を考えた方がいいですか?

目安として、

  • 生活リズムの見直しを2〜4週間続けても改善しない
  • エプワース眠気尺度(ESS)で11点以上になりそうな強い眠気がある
  • 仕事や運転に支障が出はじめている

といった条件があれば、一度相談しておく方が安心です。
特に、運転中や階段・高所で眠気が出ている場合は、安全面からも早めの受診をおすすめします。Asthma + Lung UK+1

Q2. どの診療科に行けばいいか迷います…

入り口として多いのは「内科」「呼吸器内科」「睡眠外来」などです。

  • いびき・無呼吸が気になる → 睡眠外来・呼吸器内科
  • 冷え・むくみ・便秘・急な体重変化 → 内科から甲状腺ホルモンの検査
  • 貧血・月経量が多い → 内科・婦人科での鉄・フェリチンチェック
  • 食後の強い眠気・のどの渇き → 内科で血糖検査

というように、「どの症状が一番気になるか」で決めてしまって大丈夫です。

Q3. 忙しくてなかなか病院に行けません。どれから優先すべきでしょうか?

優先度の目安は、

  1. 安全に関わるもの(運転中の眠気、無呼吸の疑い)
  2. 体重変化・強いむくみ・息切れ・胸の苦しさを伴うもの
  3. だるさ・眠気が「メンタルの不調」と見分けがつかないくらい強いもの

です。
オンラインで問診や結果説明をしてくれる医療機関も増えてきています。「全部完璧に調べる」ではなく、「これだけは確認しておきたいところから一つずつ」というスタンスで大丈夫です。


5. 今日からできる“小さな確認”とセルフケアのヒント

最後に、「いきなり大きく生活を変える」のではなく、今日からできる一歩をいくつか並べてみます。

行動のヒントイメージ・ねらい
① ESS(エプワース眠気尺度)を一度つけてみる自分の眠気を“なんとなく”から“数字”にして眺める
② 最近の体重・便・月経・髪・肌の変化を書き出す甲状腺・鉄不足などのサインをざっくり見える化
③ 平日・休日の睡眠時間と起床時間を1週間メモ生活リズム由来かどうかの切り分けの材料にする

そのうえで、できそうな範囲で

  • 睡眠時間を「あと30分だけ」増やしてみる
  • 夜のスマホ時間を、布団に入る1時間前でいったん区切る
  • 主食をドカ食いするより、「食物繊維を一品足して血糖の急上昇を防ぐ」

といった工夫を重ねていくと、からだは少しずつ「起きていられる力」を思い出してくれます。

そして、「どうもそれだけでは説明がつかない」「何かが噛み合っていない感じが続く」ときには、
検査で“異常がない”とわかることも、立派な安心材料になります。

  • 甲状腺はだいたい大丈夫
  • 鉄やフェリチンも、ひとまず問題ない
  • 睡眠時無呼吸の程度も把握できた
  • 血糖も今のところは大きな問題なし

ここまでわかれば、「じゃあ、自律神経と生活リズムのほうを中心に整えていこう」と、次の一手を考えやすくなります。

眠気やだるさは、“サボっているから”ではなく、からだからのSOSであることがほとんどです。
「気のせい」「年齢のせい」と自分を責めずに、必要な検査とセルフケアをうまく組み合わせていきましょう。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事があなたのより良い生活のための一助になりますように。

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この記事を書いた人

からだトレンドラボを運営している、理学療法士のテラサワです。
病院やクリニックでのリハビリに長く関わる中で、
「もっと早く知っていれば楽になれたのに」という声を
何度も聞いてきました。

このブログでは、からだや健康にまつわる“トレンド情報”を、
医学的な視点でていねいに噛み砕いてお届けします。
難しいことはできるだけやさしく。
読み終わったときに、ちょっとだけ不安が軽くなっていたら嬉しいです。

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