朝、血圧計の数字を見て「また高い…」「このまま脳梗塞になったらどうしよう」と不安になることはありませんか。この記事では、そんな「脳と心臓が心配な人」に向けて、家庭での“朝の血圧”の見方と、受診を考えたいサイン、そして今日からできる守り方を整理していきます。数字だけに振り回されず、「ここだけ押さえておけば大丈夫」という目安を一緒に作っていきましょう。

1. 「朝だけ血圧が高い気がする」不安が増えている背景
最近、「病院で測るとそうでもないのに、朝の家庭血圧が高くて心配」という声がとても増えています。
スマホのニュースやテレビでも「朝は脳梗塞・心筋梗塞が起こりやすい時間帯」と繰り返し流れるので、数字を見るたびにドキッとする方も多いはずです。
朝の血圧が気になりやすい場面を挙げると、
- 起きてすぐ測ったら、上が140〜150くらいになっている日が続く
- 頭痛や肩こりがある朝だけ、何となく血圧計を出してしまう
- 寒い季節になると、トイレの前後で数字が一気に跳ね上がる
こうした“朝のゆらぎ”は、ストレスや睡眠不足、冷え、塩分のとり方など、いろいろな要素が重なって起こります。
大事なのは、「どんな数字なら様子を見てよくて、どんな状態なら受診を考えたほうがいいのか」という“物差し”を持つことです。
この記事では、その物差しを「脳梗塞・心筋梗塞をできるだけ遠ざける」という視点から、一緒に整えてみます。
2. 朝の血圧が高いと脳梗塞・心筋梗塞が心配になる理由
まず、「朝の血圧」と一口に言っても、いくつかの言葉が出てきます。
- 朝の家庭血圧:起床後1時間以内、朝食や薬を飲む前に自宅で測る血圧
- 朝だけ高血圧(モーニングハイパーテンション):診察室ではそれほど高くないのに、朝の家庭血圧だけ高い状態
- モーニングサージ:寝ている間の血圧から、起床後にかけて血圧がぐっと上がる現象
日本の高血圧ガイドラインでは、「家庭で測った血圧の平均が135/85mmHg以上だと、高血圧の範囲に入る」とされています。RACGP+1
また、高血圧の人では、家庭血圧の目標を125/75mmHg未満にしましょうという目安も示されています。PMC+1
少しややこしいので、ざっくり整理するとこうなります。
| 用語 | 家庭血圧の目安(上の血圧) | イメージ |
|---|---|---|
| 正常〜やや高め | 125mmHg未満〜135mmHg未満 | リスクはゼロではないが、生活習慣の見直しが中心 |
| 高血圧の目安 | 135mmHg以上 | 原則として医療機関での相談対象 |
| かなり高い状態 | 180mmHg前後以上 | 状況によっては救急受診を検討するレベル |
※あくまで一般的な目安であり、個々の病気や年齢によって目標値は変わります。
朝の血圧と脳・心臓イベントの関係
日本の大規模研究では、朝の家庭血圧が高い人ほど、脳梗塞や心筋梗塞などの発症リスクが高くなることが示されています。AHA Journals+1
また、別の研究でも、家庭で測った朝の血圧が高い人は、診察室での血圧よりも、将来の心血管イベント(脳卒中や心臓病)との関連が強いことが報告されています。Wiley Online Library+1
つまり、「病院ではそこまで高くないから大丈夫」と安心してしまうと、朝の家庭血圧が教えてくれる“隠れたリスク”を見過ごしてしまう可能性がある、ということです。
3. からだの中では何が起きている?朝の血圧が上がる仕組み
朝の血圧が上がりやすいのには、からだのしくみとしての理由があります。
体内時計と自律神経のスイッチ
人間の血圧は、1日の中で波のように上下します。
朝6〜10時ごろにかけて、交感神経(アクセル役)が急に働き始め、心臓の拍動が強くなり、血管も少しキュッと締まるような状態になります。Verywell Health+1
このとき、
- 目を覚ます
- 布団から起き上がる
- トイレに行く
- 冷たい空気に触れる
といった行動が重なると、血圧はさらに上がりやすくなります。
寒い季節のトイレや脱衣所で血圧が跳ね上がりやすいのは、この組み合わせのせいです。J-STAGE
血管と心臓の「朝の負担」
血圧が急に上がると、血管の内側には強い圧力がかかります。
とくに動脈硬化が進んでいる血管では、この“圧の変化”が、プラーク(血管のコブ)の傷つきやすさに関わると考えられています。PMC+1
- 動脈硬化がある
- 高血圧や糖尿病、脂質異常症がある
- 喫煙歴が長い
- 家族に脳梗塞・心筋梗塞の人がいる
こうした条件が重なっている人では、とくに**「朝の血圧が高い状態を放置しない」ことが、脳と心臓の守りにつながる**と考えられます。
数字だけでなく「パターン」が大事
研究の世界では、「朝の血圧の平均値」だけでなく、ピーク時の血圧や、朝と夜の差も、将来のリスクと関係する可能性が指摘されています。Nature+1
とはいえ、家庭でそこまで細かく気にしようとすると、かえって疲れてしまいます。
生活者目線では、
- 「朝だけ明らかに高い日が多いか」
- 「高い日がどのくらいの期間続いているか」
- 「頭痛・胸の痛み・息苦しさなどの症状を伴っていないか」
このあたりを“ざっくり確認する”くらいで十分です。

4. 生活パターンと“受診を考えたいサイン”を整理する
ここからは、「よくある朝のパターン」と「受診を考えたいサイン」をセットで整理していきます。
パターン1:いつもバタバタ起床+すぐカフェイン
- 目覚ましで飛び起きる
- すぐに濃いコーヒーを飲む
- 朝食は一口二口で終わり、あとはスマホを見ながら身支度
こんな朝が習慣になっていると、交感神経のスイッチが急激にオンになりやすく、血圧も一気に上がります。
目安として、
- 起床後1時間以内に落ち着いて測った家庭血圧が、135/85mmHg前後を超える日が1〜2週間続くようなら、一度医療機関で相談しておくと安心です。RACGP+1
パターン2:寒いトイレや浴室とのセットで上がりやすい
冬場は、暖かい布団から出て、冷えた廊下やトイレに行くだけでも、血圧が急に上がります。
このときにいきむ・力むクセがあると、血圧はさらにアップします。
- トイレの後に測ると、毎回140〜150mmHg台になる
- 入浴前後で、ふらつきやドキドキ感が出る
こうした場合も、「数字+症状」のセットで考えるとよいです。
パターン3:夜更かし・飲酒・睡眠不足が続いている
- 深夜までスマホや仕事
- 寝酒が習慣になっている
- 睡眠時間が4〜5時間の日が続いている
睡眠不足やアルコールは、血圧を上げやすい代表的な要因です。
研究でも、睡眠時間が短い人ほど高血圧や心血管病のリスクが高いという報告が複数あります。ish-world.com+1
受診を考えたい“数字”と“症状”の目安
個別の事情で変わりますが、一般的には次のようなサインがあれば、「早めに医療機関に相談」をおすすめします。
- 朝の家庭血圧(上)が135mmHg以上の状態が、1〜2週間続いている
- すでに高血圧と診断されていて、薬を飲んでいるのに、朝の家庭血圧が140mmHg台以上で安定してしまっている
- 数字に関わらず、
- 片側の手足の力が入りにくい
- ろれつが回らない
- 突然の強い頭痛
- 胸の締めつけ感や息苦しさ
こうした症状が出た場合は、救急を含めた受診を迷わないでほしいラインです。
また、各国のガイドラインでは、一般に180/120mmHg以上の高血圧は、緊急受診を検討すべき数値の一つとして扱われています(症状の有無によって対応は変わります)。Verywell Health+1
自宅でこのレベルの数字が出たときは、
- 深呼吸をして数分休み、もう一度測る
- 頭痛・胸痛・息苦しさ・麻痺症状などがあれば、迷わず救急相談窓口や医療機関へ連絡
という流れを、家族とも共有しておくと安心です。
Q&A:朝の血圧でよくある疑問
Q1. 朝の血圧が135/85を少し超える日がときどきある程度なら、様子見でも大丈夫ですか?
たまたま1〜2日だけ高い、風邪気味や寝不足の日にだけ上がる、といったパターンなら、すぐに受診が必要とは限りません。
ただ、「たまたま」なのか「続いている」のかは、自分の感覚だけでは判断しづらいところです。
- 起床後1時間以内
- 朝食・薬の前
- 座って1〜2分休んでから
という条件をそろえて、7〜10日くらい記録をとってみると傾向が分かりやすくなります。そのうえで、高い日が多いようなら、受診を検討してみてください。
Q2. 朝だけ高くて、昼間や病院では正常な場合でも、相談したほうがいいですか?
はい、「朝だけ高い」は放置しないほうが安心です。
日本の研究では、「診察室では正常だけれど、家庭血圧が高い“隠れ高血圧(マスクドハイパーテンション)”」の人は、そうでない人に比べて脳卒中のリスクが高いと報告されています。ジャマネットワーク+1
「朝の血圧だけが高い」という情報は、医師にとって治療方針を考えるうえでとても重要なヒントになります。記録を持って一度相談してみる価値は大きいです。
Q3. どの程度つらくなったら、救急を含めて早めに受診したほうがいいですか?
次のような場合は、数字にかかわらず、迷わず「救急レベル」を疑ってください。
- 片側の手足が動かしにくい・しびれる
- 顔の片側がゆがむ、ろれつが回らない
- 今まで経験したことのない強い頭痛
- 胸の強い痛み、締め付け感、息苦しさ
このような症状は、脳梗塞や心筋梗塞などのサインの可能性があります。
血圧が高くても症状が軽かったり、逆に数字はそこまで高くなくても重大な病気が隠れていたりすることもあるので、「血圧の数字だけで判断しない」ということも大切です。
5. 今日からできる、“朝の血圧”との付き合い方
最後に、脳梗塞・心筋梗塞が心配な人が、「ここだけ押さえておきたい」ポイントを整理して終わります。
1) 自分なりの「測り方ルール」を決める
- 起床後1時間以内、朝食や薬の前に測る
- 椅子に座って1〜2分休んでから測る
- 1回ではなく、1〜2分あけて2回測り、その平均を記録する
こうして条件をそろえると、「昨日より高い・低い」の意味がぐっと分かりやすくなります。雑誌やニュースの目安値も、自分のデータに重ねて見られるようになります。RACGP+1
2) 「数字」と「体調」をセットでメモする
数字だけを見ていると、どうしても一喜一憂しがちです。
記録に、
- 眠れたかどうか
- 飲酒・夜ふかしの有無
- 頭痛や胸の違和感の有無
などを一言添えておくと、「この日は飲み会明けだから高い」「眠れた翌日は落ち着いている」といったパターンが見えやすくなります。
受診時にも、医師との会話がとてもスムーズになります。
3) すべてを完璧に変えなくていい
塩分・体重・運動・睡眠…。
高血圧対策というと、たくさんのことを言われがちですが、最初から全部を完璧にやろうとしないことも大事なポイントです。
- 夜のスマホ時間を30分だけ短くしてみる
- 寒いトイレに小さな暖房器具を置いてみる
- 味噌汁の塩分を減らし、具材を増やして満足感を上げる
こんな“小さな一歩”でも、積み重なれば、朝の血圧の波をなだらかにしてくれます。
「朝の血圧は、脳と心臓からの手紙のようなもの」と私はよく感じます。
数字を見て不安になる時間が、少しずつ、「自分のからだと対話する時間」に変わっていくといいなと思います。
そのための一歩として、
- 自分なりの測り方ルールを決める
- 1〜2週間、数字と体調をセットで記録する
- 気になる数字が続くときは、無理をせず早めに相談する
この3つから、できそうなところを選んでみてください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事があなたのより良い生活のための一助になりますように。
