朝だけ血圧が高いのはなぜ? ~モーニングサージと生活習慣の関係メモ~

朝だけ血圧が高くて不安そうに血圧計を見つめる人と、モーニングサージや生活習慣の関係をイメージしたイラスト

朝に血圧を測ると高い数値が出るのに、夜はそこまででもない。そんな日が続くと「このままで大丈夫かな…」と不安になりますよね。この記事では、いわゆる「モーニングサージ」や早朝高血圧を、睡眠・ストレス・塩分といった生活習慣の目線から整理していきます。怖がりすぎず、でも見逃さないための“ちょうどいい向き合い方”を一緒に整えていきましょう。


目次

1. 朝だけ血圧が高い…そんな相談が増えています

冬場になると、「朝だけ血圧が高いんです」という声がぐっと増えます。
起きてすぐ測ると上が140を超えるのに、夜は120台に落ち着いている。そんなギャップに戸惑う方は少なくありません。

背景には、

  • 外気温が下がって血管が縮みやすい
  • 寒さで交感神経が刺激される
  • 年末年始のストレスや睡眠リズムの乱れ

といった要素が重なります。冬はもともと心筋梗塞や脳卒中が増える季節で、その一因として「朝の血圧上昇」が注目されてきました。オムロンヘルスケア+1

とはいえ、「朝にちょっと高い=即アウト」ではありません。
問題は、

  • どのくらいの高さが続いているか
  • 他のリスク(年齢・喫煙・糖尿病など)と重なっていないか

といった「全体のバランス」です。この記事では、モーニングサージの正体を整理しつつ、「どこから気をつけたらいいのか」を生活の目線から見直していきます。


2. 「モーニングサージ」と「早朝高血圧」を整理しておきましょう

まず、用語をゆるく揃えておきます。

日本薬学会の解説では、モーニングサージは起床前後に起こる一過性の血圧上昇とされています。血圧はもともと日内変動があり、睡眠中は下がり、起きる前後に交感神経が働いてスイッチが入る。その「立ち上がり部分」がモーニングサージです。日本薬剤師会

一方で、ガイドラインや研究では、朝の家庭血圧が135/85mmHg以上で続いている状態を「早朝高血圧」や「morning hypertension」と定義し、心血管イベントのリスクが高まると報告されています。clinicalhypertension.org+1

ざっくり整理すると、こんなイメージです。

用語ざっくりイメージ代表的な目安・ポイント
モーニングサージ起床前後の血圧の“立ち上がり”誰にでもある生理的な上昇。ただし上がり幅が大きすぎると問題になりうる。日本薬剤師会+1
早朝高血圧朝の血圧そのものが高めで続く状態家庭血圧の朝の平均が135/85mmHg以上だと高血圧と診断対象。日本高血圧学会+1
「朝だけ血圧が高い」朝は高いが、夜や診察室では比較的正常「仮面高血圧」や「isolated morning hypertension」として、動脈硬化との関連が指摘されている。J-STAGE+1

日本のデータでは、家庭で測った早朝血圧が高い人は、脳卒中などのリスクが2〜3倍になるという報告もあります。日本高血圧学会+1

ここで大事なのは、

  • モーニングサージ「そのもの」は生理的な現象
  • でも「朝の血圧が高い状態」が続くと、将来のリスクがじわじわ上がる

という2つを切り分けて考えることです。


3. からだの中で何が起きているのか

― 体内時計・神経・血管の視点から

血圧は、1日のなかで波を描くように変化します。
一般的には、

  • 深夜〜明け方:いちばん低い時間帯
  • 起床後〜午前:体が動き出す準備で上昇(モーニングサージ)
  • 日中:活動量に合わせて高め
  • 夜:リラックスとともに低下

というリズムです。これは自律神経とホルモンの「体内時計」の働きによるものです。Verywell Health

交感神経とホルモンの“朝スイッチ”

起きる頃になると、からだの中ではこんな変化が起きています。

  • 交感神経がオンになり、心拍数と血圧が上がる
  • ストレスホルモンの一種であるコルチゾールが分泌ピークに向かう
  • レニン・アンジオテンシン系が働き、血管を収縮させる

これ自体は“出勤前のエンジン始動”のようなもので、正常な反応です。
ところが、血管が硬くなっていたり、もともと血圧が高めだったり、塩分やストレスの負担が重なっていると、この立ち上がりが**「グッ」と急カーブ**になりやすくなります。医学書院+1

モーニングサージと心血管リスク

日本を含む多数の研究で、

  • モーニングサージが強い人ほど、脳卒中や心筋梗塞を起こしやすい
  • 診察室の血圧が正常でも、朝の家庭血圧が高い人はリスクが高い

といった結果が繰り返し示されています。AHA Journals+2PMC+2

ある大規模研究では、「睡眠中の最低血圧からの朝の上昇幅」が10mmHg増えるごとに、脳卒中の発症リスクが有意に上がることが報告されています。AHA Journals+1

また、日本のJ-HOP研究では、80歳以上の高齢者で早朝の家庭血圧が高いほど脳卒中リスクが直線的に増えることも示されています。CareNet.com

「血管側の事情」も大切

早朝には、

  • 血小板が固まりやすい
  • 血管のけいれん(スパズム)が起こりやすい
  • 線溶系(血栓を溶かす仕組み)が一時的に働きにくくなる

といった、血管側の事情も重なります。そこに急な血圧上昇が加わると、動脈硬化のプラークが破れたり、血栓ができたりしやすくなると考えられています。医学書院+1

つまり、「朝だけ血圧が高い」は、単なる気まぐれな数値変動ではなく、心臓や脳への負担サインになりうるということです。


4. 生活パターンと「朝だけ血圧が高い」のつながり

ここからは、よくある生活パターンとモーニングサージの関係を整理していきます。

睡眠の質が落ちている/いびきをかく

睡眠不足や浅い睡眠が続くと、交感神経のブレーキが効きづらくなり、起床前後の血圧上昇が強くなりやすくなります。
特に、

  • 大きないびき
  • 夜中に何度も目が覚める
  • 日中の強い眠気

がある場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が隠れていることもあり、「朝だけ血圧が高い」の一因となりやすいとされています。AHA Journals+1

夜遅い食事・塩分とアルコール

日本人は塩分感受性が高い人が多く、**「しょっぱい夕食+夜の飲酒」**が続くと、翌朝の血圧が上がりやすくなります。J-STAGE+1

  • ラーメン・鍋・漬物
  • おつまみ系のスナック
  • 寝る直前までの晩酌

こうした組み合わせは、夜のうちに血管内の水分量を増やし、朝のモーニングサージを押し上げやすくします。

冬の寒さと「いきなりフルスロットル」の朝

冬は、それだけで血圧が上がりやすい季節です。

  • 寒い脱衣所やトイレに移動する
  • 暖房が効いていない部屋で着替える
  • 起きてすぐに全力で動き出す

こうした場面では、末梢血管がキュッと縮み、血圧が一気に上がりやすくなります。冬のモーニングサージが心筋梗塞や脳卒中に関係すると注意喚起している資料も多く、特に中高年では意識しておきたいポイントです。オムロンヘルスケア+1

メンタルストレスと「月曜の朝」

仕事や家事のプレッシャーが強い時期は、それだけで交感神経が優位な状態が続きます。
研究では、高齢者の早朝高血圧が「寒い地域」「喫煙・飲酒」「睡眠時間が長い」「月曜日」などと結びつきやすいという結果もあり、生活リズムと心の負担がモーニングサージに影響していることが示唆されています。PMC+1


Q1. 朝の血圧が140/90mmHgくらいの日がときどきあります。すぐ受診したほうがいいですか?

家庭血圧では、**135/85mmHg以上が「高め」**の目安とされています。日本高血圧学会+1

  • 数日〜1週間、決まった条件(起床後1時間以内・排尿後・朝食前・服薬前・1〜2分安静)の測定を続けてみて、日本高血圧学会+1
  • 平均して135/85mmHgを超えるようなら、受診を検討する

という流れがおすすめです。

ただし、

  • 上が180mmHg以上または下が110mmHg以上
  • 強い頭痛・胸の痛み・息苦しさ・ろれつが回らないなどの症状

がある場合は、ためらわずに早めの受診や救急相談を考えてください。

Q2. 朝だけ血圧が高くて、夜は正常です。どちらの数値を重視すればいいですか?

「朝だけ血圧が高い=isolated morning hypertension」は、動脈硬化の指標(頸動脈IMT)とも関連しており、夜も高い「持続性の高血圧」と同様に注意が必要とされています。J-STAGE+1

診察室での血圧が正常でも、家庭で測る朝の血圧が高い「仮面高血圧」は、見逃されやすいのにリスクが高いタイプです。日本高血圧学会+1

ですので、

  • 夜が正常だから安心、ではなく
  • 「朝の平均値」をしっかり記録して主治医と共有する

ことがとても大切になります。

Q3. 血圧の薬を飲んでいます。朝だけ高いので、自己判断で薬の時間を変えてもいいですか?

薬の時間帯や種類によって、「朝の上がり方」をどこまでカバーできるかが変わります。
ただ、自己判断で

  • 服用時間をずらす
  • 飲む量を増減する
  • 余っている薬を勝手に追加する

といったことをすると、思わぬ低血圧や副作用につながるリスクがあります。

「朝だけ血圧が高い日が続いている」「早朝の数値が気になる」と感じたら、測定記録をもって主治医に相談し、薬の種類や時間を一緒に検討するのが安全です。日本高血圧協会


5. 今日からできる「朝だけ血圧が高い」ケアの小さな工夫

最後に、「これなら続けられそう」という現実的な一歩をいくつかまとめます。

① 朝の測定ルールを“いつも同じ”にする

モーニングサージをきちんと把握するには、測り方を揃えることがとても大事です。

  • 起床後1時間以内
  • 排尿後・朝食前・血圧の薬を飲む前
  • 背もたれのある椅子に座り、1〜2分安静にしてから測る

というルールを、日本高血圧学会も推奨しています。日本高血圧学会+2オムロンヘルスケア+2

短期間の一発勝負ではなく、1〜2週間の平均値を見るイメージで、気楽にコツコツ記録してみてください。

② 睡眠と「寝る前1〜2時間」の過ごし方を少し整える

モーニングサージは、前の晩の過ごし方の影響を強く受けます。

  • 深夜までスマホ・仕事を引きずらない
  • 寝る直前のアルコール量を控える
  • 夜食や塩分の濃い食事を、「寝る3時間前まで」にしておく

など、「完璧」ではなく2〜3割の修正を目標にしてみてください。

睡眠時間が少し整うだけでも、交感神経の暴走が落ち着き、朝の血圧が穏やかになりやすいことが分かっています。AHA Journals+1

③ 冬の朝は“ウォーミングアップタイム”を作る

寒い季節は、朝の行動をほんの少しスローモーションにしてあげると、血圧の急上昇を和らげやすくなります。

  • 目が覚めたら、布団の中で足首や指先をゆっくり動かす
  • いきなり寒い場所に行かず、部屋を暖めてからトイレや脱衣所に向かう
  • 起きてすぐ全力家事ではなく、1杯の白湯や軽いストレッチからスタート

こうした工夫でも、早朝高血圧によるリスクを減らせる可能性があると考えられています。オムロンヘルスケア+1


「朝だけ血圧が高い」というサインは、からだが「少し負担が増えているよ」と教えてくれている状態とも言えます。
数字に振り回されすぎず、でも見て見ぬふりもしない。その中間地点を、一緒に探していけたらと思います。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事があなたのより良い生活のための一助になりますように。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

からだトレンドラボを運営している、理学療法士のテラサワです。
病院やクリニックでのリハビリに長く関わる中で、
「もっと早く知っていれば楽になれたのに」という声を
何度も聞いてきました。

このブログでは、からだや健康にまつわる“トレンド情報”を、
医学的な視点でていねいに噛み砕いてお届けします。
難しいことはできるだけやさしく。
読み終わったときに、ちょっとだけ不安が軽くなっていたら嬉しいです。

目次