夜、ふと血圧を測ってみたら「え、さっきより高い…?」とドキッとする。
お酒を飲んだあとや、スマホをいじりながらベッドに入ったあとに数字が上がっていると、「このまま寝て大丈夫なんだろうか」と不安になりますよね。
この記事では、「夜に血圧が高い」ときにからだの中で何が起きているのか、そしてアルコール・スマホ・睡眠不足とどうつながるのかを、できるだけ生活目線で整理していきます。完璧を目指す必要はありません。できそうなところから、小さく整えていきましょう。

1. 「夜に測ると血圧が高い」という人
ここ数年、
「朝はそこまで高くないのに、夜に測ると血圧が高い」
「寝る前の数字が高くて、布団に入るのが怖い」
という声がとても増えています。
背景には、
- 家庭用血圧計が当たり前になり、いつでも測れるようになった
- スマホやSNSで“夜の血圧は危険”という情報だけが切り取られて届きやすい
- お酒・仕事・スマホで、夜の交感神経が休みにくい生活リズムになっている
といった要素が重なっているように感じます。
医療ガイドラインでも、自宅での血圧は「朝と夜の両方を測る」ことが推奨されるようになってきました。J-STAGE+1
そのぶん「数字の揺れ」に気づきやすくなり、不安も増えがちです。
この記事では、「夜だけ血圧が高い」状態を必要以上に怖がりすぎないようにしつつ、
- どんなときに様子見でよいか
- どんなパターンなら早めに相談したほうが安心か
- 生活習慣として、どこから手をつけると効きやすいか
を、現実的なラインで整理していきます。
2. 「夜の血圧」をどう捉えるか|家庭血圧の基本と、よくある誤解
夜の血圧は「一回の数字」よりも「パターン」で見る
まず大事なのは、
「一度だけ高い数字が出たか」
「何日も続けて高めなのか」
を分けて考えることです。
日本高血圧学会などのガイドラインでは、家庭血圧は朝・晩それぞれ数日分を平均して評価することが推奨されています。朝・晩それぞれ1回ずつ測っても、1か月で60回分のデータが得られ、その「傾向」を見ることで、より正確に状態をつかめるとされています。J-STAGE+1
- たまたま仕事や家事でバタバタしていた日
- 家族のことで感情的に揺れた日
- たまたま飲み会が重なった日
こうした「特殊な日」に一時的に上がること自体は、誰にでも起こりうる反応です。
家庭血圧の目安と「夜だけ高い」場合
家庭での血圧の目安として、
上(収縮期血圧):135mmHg以上
下(拡張期血圧):85mmHg以上
あたりから「高め」と評価する基準がよく使われます(診察室より少し厳しめです)。PubMed
ここでポイントなのは、
- 朝も夜も平均して高い
- 朝はそれほどでもないが、「夜だけ」平均して高い
では意味合いが少し違う、ということです。
夜だけ高いケースは、
- 飲酒量が多い
- 夕食の塩分や量が多い
- 残業やスマホで夜の交感神経が高ぶりやすい
といった「生活パターン」が影響している場合が多く、まずは生活習慣を一緒に見直していくことが大切になります。

「夜の血圧=すぐ危険」ではない
「夜に血圧が高い=すぐに重大な病気」というわけではありません。
ただし、
- 数週間〜1か月ほど記録してみても、夜の平均値がずっと高い
- 頭痛・胸の痛み・息苦しさ・片側のしびれなどの症状を伴う
- もともと高血圧や心臓・腎臓の持病がある
といった場合は、自己判断で様子を見すぎず、早めに医療機関で相談しておくほうが安心です。
3. 夜に血圧が上がりやすくなる仕組み|アルコール・スマホ・睡眠不足と自律神経
ここからは、「夜に血圧が高い」とき、からだの中で何が起きているかを見ていきます。
キーワードは「交感神経」「体内時計」「睡眠」です。
アルコールと夜の血圧
アルコールには、少量なら血管を広げて一時的に血圧を下げるような作用もありますが、量が増えると話が変わってきます。
- 夕方〜夜に繰り返し飲酒する生活を続けると、日中の血圧が上がり、夜間の血圧パターンも乱れやすくなる
- アルコールによるナトリウム排泄の変化や、交感神経の活動亢進が関わっている
といったことが、国内外の研究で示されています。Nature+1
さらに、2020年前後の研究では、「夜の多量飲酒が翌朝の交感神経活動を強め、血圧の上がりやすさに影響しうる」といった報告もあります。PMC+1
つまり、
- 寝る前の血圧が高い
- そのうえ翌朝も高めが続く
というパターンの背景に、「夜の飲酒習慣」が潜んでいることが少なくありません。
寝る前スマホとブルーライト・“頭の覚醒”
スマホやタブレットの画面から出るブルーライトは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑え、体内時計を後ろにずらしやすいことが多くの研究で示されてきました。UCLA Health+2サイエンスダイレクト+2
最近の研究では、「光そのものより、スマホで触れる情報の内容が脳を興奮させる」という指摘もあります。TIME
- SNSで刺激的なニュースや他人の投稿を眺め続ける
- 仕事のメールやチャットを寝る直前までチェックする
- オンラインゲームや動画で、感情が大きく揺さぶられる
こうした行動が続くと、寝る時間になっても交感神経が休みにくくなります。
その結果として、「寝る前に測ると血圧が高い」「布団に入っても脈が速くて眠れない」という状態につながりやすいのです。
睡眠不足と高血圧リスク
「夜遅くまで起きている」「睡眠時間が短い」という状態も、血圧と深く関係しています。
大規模なメタ解析では、睡眠時間が短い人ほど高血圧になりやすいことが報告されており、特に5時間未満の短時間睡眠は高血圧の発症リスクを2倍近く高めうるという結果もあります。PubMed+2J-STAGE+2
2024年の最新のレビューでも、短時間睡眠と高血圧の発症リスクの関連が再確認されています。PLOS+1
理由としては、
- 交感神経が休む時間が削られ、24時間トータルで「興奮モード」が続く
- 血圧や心拍数が下がるはずの深い睡眠の時間が減る
- 睡眠不足によるストレスやホルモンバランスの変化で、塩分や糖質をとりやすくなる
などが考えられています。
自律神経と「からだの夜時間」
本来、夜は「副交感神経優位」で血圧も少しずつ下がっていく時間帯です。
ところが、
- 夜に飲酒が続く
- ベッドの中までスマホを持ち込む
- 寝る時間が毎晩遅く、睡眠時間も短い
こうした生活パターンが重なると、からだは「夜なのに昼モード」のままになりやすくなります。
その結果として、
- 寝る前の血圧が高い
- 夜中に目が覚めたときもドキドキしている
- 朝起きた瞬間から疲れている
という「夜の血圧の揺れ」が起こりやすくなってしまうのです。
4. よくある生活パターンと、夜の血圧とのつながり
ここからは、典型的な生活パターンをいくつか取り上げて、「夜に血圧が高い」とのつながりを見ていきます。
パターン1:晩酌+つまみ+スマホの“トリプルコンボ”
仕事や家事を終えてほっと一息。
晩酌をしながらテレビや動画を見て、気づけばスマホでSNSをチェックし続けている。
この「晩酌+しょっぱいつまみ+スマホ」の組み合わせは、夜の血圧を上げやすいトリプルコンボです。
- アルコール:交感神経を刺激し、塩分の排泄バランスも変えやすい
- つまみ:塩分・脂肪が多いと、血圧を引き上げる要因になる
- スマホ:感情や思考が休まず、脳が“仕事モード”のままになる
「寝る前に測ったらいつも高い」という人は、まずこの時間帯の過ごし方を、ほんの少し変えるだけでも変化が出ることがあります。
パターン2:残業や家事で遅くなり、夕食・入浴・就寝がすべて遅い
- 夕食が21〜22時以降になる
- 食後すぐにシャワーだけ浴びて、バタバタと寝る準備
- 寝る直前に血圧を測ると高い数字が出る
この場合、消化中の内臓に血液が集まり、自律神経も落ちきらないタイミングで測っていることが多いです。
本来なら、食後や入浴直後は血圧が変動しやすい時間帯です。
測るタイミングをずらすだけでも、数字の印象は大きく変わります。
パターン3:睡眠時間を削って、夜が“自分時間”になっている
- 子どもの寝かしつけのあとにようやく自分時間
- そこから動画やSNSを楽しみ、気づけば日付が変わっている
- 朝は早起きで、毎日5〜6時間睡眠
一見「リラックスしている時間」に見えますが、実際には睡眠時間が削られ、自律神経はフル稼働し続けています。
短時間睡眠と高血圧リスクの関連は、先ほど紹介した通りです。PLOS+1
「夜の血圧が高い」「朝もなんとなくだるい」という人は、
“夜の気晴らし”と“睡眠”のバランスを少しだけ見直すタイミングかもしれません。
Q&A:夜の血圧に関する、よくある疑問
Q1. 夜だけ血圧が高い場合も、すぐに病院へ行くべきですか?
一度・数回だけ高い数字が出た程度なら、慌てて夜間受診する必要はないことが多いです。
ただし、
- 1〜2週間以上、夜の平均が135/85mmHgを超えて続く
- 頭痛・胸の痛み・息苦しさ・顔や腕の片側のしびれなどを伴う
- もともと高血圧や心臓・腎臓の持病がある
といった場合は、早めにかかりつけ医などで相談しておくほうが安心です。
「記録した血圧手帳」を持っていくと、診察の役に立ちます。
Q2. お酒を減らせば、夜の血圧はすぐ下がりますか?
個人差はありますが、
飲酒量を減らしたり“休肝日”を増やしたりすることで、数週間〜数か月のスパンで血圧が落ち着いてくるケースは多く報告されています。Nature+1
ただ、「飲んだ翌日は必ず高い」「休肝日がほとんどない」など、長く続いた習慣ほど変化にも時間がかかることがあります。
いきなりゼロにするのが難しければ、「量を半分に」「週に1〜2日はノンアルの日に」といった小さな一歩からでも、十分意味があります。
Q3. 血圧は寝る直前に測るのが正解ですか?
寝る直前は、
- 入浴直後だったり
- 食後すぐだったり
- スマホやテレビで気持ちが高ぶっていたり
と、血圧が揺れやすい条件が重なりがちです。
家庭血圧のガイドラインでは、夕方〜就寝前の比較的落ち着いた時間帯に、座って1〜2分安静にしてから測ることが推奨されています。J-STAGE+1
「寝る直前」よりも「少し早い時間」に測るほうが、状態を落ち着いて把握しやすくなります。
5. 今日からできる、小さな「夜の血圧ケア」のヒント
最後に、「全部は無理でも、このあたりならやれそうかも」という現実的なポイントをまとめます。
全部やる必要はありません。できそうなものを1つだけ選ぶだけでも、からだには十分なメッセージになります。
ヒント1:晩酌の“幅”を決めておく
- 「平日は1杯まで、週末は2杯まで」
- 「週に2日はお酒を飲まない日をつくる」
といった“マイルール”をあらかじめ決めておくと、ダラダラ飲みの暴走を防ぎやすくなります。
量を減らすだけで、夜の血圧の揺れが少し落ち着いてくる人も少なくありません。
ヒント2:スマホはベッドの中に持ち込まない
ブルーライトよりも、「内容」と「時間の長さ」が問題になりやすいとする研究も増えてきました。TIME+1
- 充電ケーブルをベッドから離れた場所に置く
- 寝室に持ち込むのは、目覚まし用のシンプルな時計だけにする
といった“物理的な工夫”は、意外と効きます。
ベッドに入ったら深呼吸やストレッチに切り替えるだけでも、夜の血圧が落ち着きやすくなります。
ヒント3:睡眠時間を「15分」だけ前倒ししてみる
短時間睡眠は、それだけで高血圧リスクを押し上げる要因になります。PLOS+1
いきなり1時間早く寝るのは難しくても、「15分だけ前倒し」を習慣にしていくと、1か月後・3か月後には、交感神経の休む時間がじわじわ増えていきます。
ヒント4:血圧は「敵」ではなく、「からだからのメモ」
夜に血圧が高いと、不安でいっぱいになりますが、
血圧の数字は「あなたを脅かすため」ではなく、「今の生活リズムを見直したほうがいいよ」というサインとして出てきている側面もあります。
- お酒との付き合い方
- 夜のスマホとの距離感
- 睡眠の扱い方
どれも、いきなり完璧にする必要はありません。
「今日はいつもより1杯少なめにしてみた」「ベッドにスマホを持ち込まなかった」
そんな小さな変化でも、積み重なればからだの“夜時間”は、少しずつ本来のリズムを取り戻していきます。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事があなたのより良い生活のための一助になりますように。
