降圧薬を飲んでいても血圧が安定しない冬に ~冬場の冷え・ストレスと上手につき合うセルフケアのヒント~

冬の朝、自宅で血圧を測りながら「薬を飲んでいるのに数字が高い」と不安を感じている中高年代の人の様子

冬になると、「ちゃんと降圧薬を飲んでいるのに、家庭血圧が高め」「朝と夜で数字がバラバラ」とモヤモヤする方が少なくありません。この記事では、冬に血圧が揺れやすくなる理由と、冷えやストレスと付き合いながら血圧を守るための“現実的な工夫”をまとめました。全部を完璧にやる必要はありません。できそうな一つから、一緒に整えていきましょう。


目次

1. 「薬を飲んでいるのに不安になる冬」

寒くなってくると、こんな声が増えてきます。

  • 「病院では『薬は効いていますよ』と言われたけれど、冬は家庭血圧が高い」
  • 「朝はまあまあなのに、夜になると急に150を超える日がある」
  • 「暖房代も気になって、部屋を温めるのをつい我慢してしまう」

実際、大規模な家庭血圧データの解析では、冬の朝の血圧は夏より平均で4mmHgほど高くなるという報告があります。オムロンヘルスケア
さらに、冬は脳卒中や心筋梗塞で亡くなる方が増えるシーズンでもあり、「血圧の揺れ」をできるだけ穏やかにしておく意味は小さくありません。米沢市の消化器・内視鏡内科なら、きだ内科クリニック+1

「薬が効いていないのかな」「この先、心臓や脳に何か起こるんじゃないか」と心配になると、それ自体がストレスになり、交感神経が高ぶって血圧を押し上げてしまうこともあります。

だからこそ冬は、
「薬を飲んでいる自分」+「生活と環境の整え方」
の両方をセットで見直すことが、安心感につながってきます。


2. 冬に血圧が上がりやすいのはなぜ?よくある誤解も整理しておく

「寒いと血圧が上がる」とはよく聞きますが、少し具体的に整理しておきます。

冬の血圧に起きている大まかなこと

  • 外気温が下がると、熱を逃がさないように血管がきゅっと細くなる
  • その際、交感神経が活性化して、心拍数や血管の収縮が強くなる
  • 室温が10℃下がると、上の血圧が平均8〜10mmHg上がる、とするデータもあります 丹野内科
  • 冬は運動量が減り、鍋物やしょっぱい料理が増えやすいので、塩分と体重がじわじわ増える

これらが重なると、薬を飲んでいても「いつもより高めに出る日」が増えやすくなります。花野井クリニック+1

よくある誤解

  • 誤解①:冬に少し高い=薬が全く効いていない
    → 実際は「ベースの負担が増えた分だけ、数字も押し上げられている」ケースが多いです。
  • 誤解②:1回でも140を超えたら即アウト
    → 高血圧の診断や治療目標は、単発の数字ではなく“平均値”や“パターン”で判断します。診察室血圧で130/80mmHg未満(75歳以上は140/90mmHg未満)を目標とするガイドラインが多く、家庭血圧の目標はそれより少し低めに設定されます。comado.co.jp+1
  • 誤解③:薬さえ強くすれば安心
    → 服薬・生活習慣・二次性高血圧(別の病気が原因の高血圧)など、背景を整理せずに薬だけ増やしても、うまくコントロールできないことがあります。本宮市 上遠野内科医院+1

ざっくり言うと、
「冬は、からだ側の条件が“血圧高めモード”に傾きやすい」
そのうえで、「薬・生活・測り方」の三つを整えていくイメージです。


3. 冷え・自律神経・血管の“チームプレー”で血圧は揺れる

ここからは、からだの中で何が起きているかを、少しだけ深掘りしてみます。

3-1. 冷えが血管と心臓にかける負担

寒さを感じると、体温を守るために皮膚の血管がギュッと細くなります。血管というホースの径が急に細くなると、同じ量の水(血液)を流すために、ポンプ役の心臓はより強い圧力をかけなければいけません。
この「抵抗が増えたぶん頑張らされる状態」が、冬の高血圧のベースにあります。丹野内科+1

さらに、冷えは手足だけでなく、深部体温の変化としてもからだに伝わり、自律神経のうち“アクセル役”の交感神経を刺激します。交感神経が優位になると、心拍数が上がり、血管を収縮させるホルモン(ノルアドレナリンなど)の分泌が増えます。

3-2. 「冬の朝」が特に危険と言われる理由

冬の朝に血圧が急上昇する「モーニングサージ」は、日本高血圧学会などでも注意喚起が続いています。オムロンヘルスケア+1

冬の朝に起きていることを並べてみると…

  • 夜のあいだに体温と血圧が下がっている
  • 起床と同時に交感神経が一気にオンになる
  • 室温が低い場合、布団から出た瞬間に急な寒冷刺激を受ける
  • トイレや浴室など、家の中でも特に冷えやすい場所に移動する

これらが重なると、「低いところから一気に血圧を押し上げる」必要が生じ、その変動幅が大きい人ほど、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まるとされています。日本高血圧学会+1

3-3. ストレスと睡眠不足も、冬の血圧をじわじわ押し上げる

冬は、年末の忙しさや人間関係のストレスが重なりやすい時期でもあります。ストレスを受けると、脳は「からだを守らなきゃ」と判断し、交感神経とストレスホルモンを通じて“戦闘モード”に傾けます。

  • 寝不足や浅い眠りが続く
  • 夜遅い時間にスマホや仕事をして交感神経が切り替わりにくい
  • 「また明日も血圧が高かったらどうしよう」と不安を抱えたまま眠る

こうした状態が続くと、からだは一日中うっすら緊張モードになり、血圧も“下がりきれない”傾向が出てきます。

3-4. 「薬が効きにくい状態」を作ってしまう要因

降圧薬を飲んでいるのに血圧が安定しない背景には、こんな要素が重なりがちです。本宮市 上遠野内科医院+1

  • 塩分が多い食事が続き、体内の水分量が増えている
  • 体重がじわじわ増加し、血管への負担が増している
  • 服薬の飲み忘れ・飲む時間がバラバラになっている
  • 別の病気や薬の影響で血圧が上がりやすくなっている(二次性高血圧)

「薬が合っていない」の一言で片づけてしまうと、大事なヒントを見落とします。
逆に言えば、生活やからだの状態を整えていくほど、今飲んでいる薬が“本来の力”を発揮しやすくなるイメージです。

私自身、臨床の現場で「生活を2〜3割整えたら、同じ薬でも血圧が落ち着いてきた」という方を何度も見てきました。


4. よくある生活パターンと、冬の血圧の揺れ方

ここでは、典型的なパターンをいくつか挙げながら、冬の血圧と生活とのつながりを見ていきます。

4-1. 「暖房代がもったいなくて、家の中で厚着でしのぐ」タイプ

経済的な不安から暖房を控えめにする方も多いですが、室温が低すぎると血管の収縮が強くなり、血圧が上がりやすくなります。室温が低いほど冬季の血圧が高いという報告もあり、エビデンスとしても「最低限の暖かさを確保すること」は推奨されています。丹野内科+1

  • 室温は18〜20℃前後を一つの目安に
  • 厚着だけでなく、「足元・首元」を冷やさない工夫も大切

「暖房ゼロ」ではなく、「少しだけ上げて、服装で微調整する」のが現実的です。

4-2. 「夕食が遅くて、つい濃い味・お酒に頼りがち」タイプ

冬は鍋やおでんなど、塩分が多くなりがちな料理が増える時期です。塩分の摂り過ぎは、体内の水分量増加を通じて血圧を押し上げます。sendai.miyagi.med.or.jp+1

  • だしの味を活かして、しょうゆや塩を“あとひと振り”減らす
  • スープを飲み干さず、「3分の1くらいは残す」を習慣にする
  • アルコールは「ほろ酔いまで」を意識し、休肝日をつくる

完璧な減塩より、「昨日より少し薄味」を目指す方が長続きします。

4-3. 「寝る直前までスマホ・PCで頭がフル回転」タイプ

交感神経をオフに切り替える前に眠ってしまうと、夜の血圧が下がりきらず、翌朝のモーニングサージも大きくなりがちです。ニチョコ+1

  • 就寝前30〜60分は、画面から離れて“ゆるい時間”をつくる
  • 寝る前のストレッチや深呼吸で、「からだにおやすみサイン」を送る
  • 布団の中でのニュースチェックは必要最低限に

「今日は5分だけでもスマホを早く置く」くらいの小さな一歩からで十分です。


Q&A:冬の血圧と服薬にまつわる疑問

Q1. 冬だけ家庭血圧が135/85を少し超える日があります。薬を増やすべきでしょうか?

単発の数字だけで「薬を増やす・変える」と判断するのはおすすめできません。
まずは、起床後1時間以内と就寝前の、落ち着いたタイミングで1〜2週間ほど測り、その平均値と変動パターンをメモにまとめておきましょう。ニチョコ+1

そのうえで、「冬場だけ高めになるのか」「一年を通して高いのか」を、かかりつけ医と一緒に確認してもらうと安心です。自己判断で薬を増減させることは控えてください。

Q2. 暖房をしっかりつけると、むしろ血圧が下がりすぎたりしませんか?

適度な室温を保つことで、冷えによる血管の過度な収縮を防ぎ、血圧の“急な上がり過ぎ”を抑える効果が期待できます。冬の心血管イベントは、暖かい部屋から寒いトイレ・浴室への移動時など、急激な温度差が一因になることも多いとされています。川崎幸病院+1

「暑くて汗ばむほど」まで暖房を上げる必要はありませんが、少なくとも息が白くなるような室温は避けた方が安全です。

Q3. どのくらいの状態になったら、すぐ受診した方がいいですか?

次のような場合は、我慢せず医療機関に相談してください。

  • 家庭血圧で、上が180・下が110を超える値が何度も続く
  • 頭痛・胸の痛み・息苦しさ・突然の手足のしびれや脱力を伴う
  • 視界が急にかすむ・しゃべりづらいといった症状が出る

「少し高い日が続くな…」という段階でも、定期受診の際に必ず家庭血圧の記録を見せて相談することをおすすめします。早めの軌道修正が、将来の大きなトラブルを防ぐ力になります。


5. 今日からできる「冬の血圧セルフケア」小さな3ステップ

最後に、薬を飲みながら冬の血圧と付き合うための、現実的な一歩を3つに絞ってみます。全部でなくて構いません。ピンとくるところからで大丈夫です。

ステップ行動のヒントイメージ
① 測り方を整える起床後1時間以内と就寝前、同じ姿勢・同じ腕で記録する「からだの成績表」を正しくつけ直す感覚
② 冷えの“急変”を減らす室温を急に下げない・トイレや浴室に小さな暖房を血管をびっくりさせない環境づくり
③ 味とリズムを1〜2割だけ見直す塩分を“あとひと振り”減らし、就寝前スマホ時間を少し短くする「完璧」より「続けられるゆるい工夫」

薬を飲み続けている自分を、どうか責めないでください。
それはすでに、大事な一歩を踏み出しているということでもあります。

そこに、

  • 冷えからからだを守る小さな工夫
  • 塩分と生活リズムを少しだけ整える意識
  • 家庭血圧の“パターン”を医師と共有する習慣

この3つが加わるだけでも、冬の血圧はかなり穏やかになりやすいと感じています。

「全部やらなきゃ」ではなく、「今日は室温と測り方だけ意識してみよう」くらいで充分です。あなたのからだは、少しのサポートでちゃんと応えてくれます。焦らず、一緒に整えていきましょう。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事があなたのより良い生活のための一助になりますように。

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この記事を書いた人

からだトレンドラボを運営している、理学療法士のテラサワです。
病院やクリニックでのリハビリに長く関わる中で、
「もっと早く知っていれば楽になれたのに」という声を
何度も聞いてきました。

このブログでは、からだや健康にまつわる“トレンド情報”を、
医学的な視点でていねいに噛み砕いてお届けします。
難しいことはできるだけやさしく。
読み終わったときに、ちょっとだけ不安が軽くなっていたら嬉しいです。

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