朝起きた瞬間から、もう電池が残り20%みたいな感覚。寝たはずなのに、頭は霞がかって、体も重たい。そんな朝ほど「気合いでコーヒーを流し込む」になりがちです。
でも実は、疲れが残る朝こそ“コーヒーを急がない”ほうが、1日がラクに回りやすいことがあります☕️

1. 「朝から疲れてる」の相談、最近ほんとに増えました
季節の変わり目、忙しさ、スマホの刺激、寝る直前まで考えごと。どれも「朝の回復力」を削りやすい要素です。
臨床でも、「寝ても疲れが抜けない」「午前中が使い物にならない」「朝から首肩がガチガチ」という声は定番になっています。
ここでややこしいのが、朝のつらさって“睡眠時間が短い”だけで決まらないこと。
7時間寝ていても残る日があるし、5時間でも案外いける日もある。体は、時計と環境と気持ちにかなり左右されます。
そして、多くの人がやっているのがこの流れです。
- 起床
- 眠い
- とりあえずコーヒー
- 一瞬スイッチが入る
- その後、午前のどこかでガクッ(また眠い)
この「一瞬の点火」自体は悪ではありません。
ただ、疲れが残る朝ほど“点火の仕方”を変えるだけで、同じ1杯でも効果が変わります。
2. 朝のコーヒーが悪者じゃない。でも「タイミング」が落とし穴
「じゃあコーヒーやめろってこと?」と言われると、そうでもありません。
私もコーヒーは好きです。問題になりやすいのは、起床直後の一杯が“体の自然な立ち上がり”とぶつかるパターンです。
ここで要点を先にまとめます(短く、でも短すぎずに)。
- 起床直後の脳と体は、まだ“起動中”で、ぼーっとする時間がある。
- その間にコーヒーを入れると、一時的に上がるけど、後で落ちやすい人がいる。
- まず光・水分・軽い動きで土台を作り、コーヒーは60〜90分後に回すと安定しやすい。
豆知識をひとつ。
朝の眠気の正体は「根性不足」ではなく、睡眠慣性という生理現象が関わることが多いです。起きた直後は脳の処理速度が落ち、最初の15〜30分で回復していくとされます(研究レビュー/2019)。 PMC
朝のタイプ別「最初の一手」早見表
| 朝の状態 | よくある背景 | 最初の一手(1〜3分) |
|---|---|---|
| 眠い・ぼーっとする | 睡眠慣性が強い/光が足りない | カーテン全開+窓際で深呼吸 |
| 体が重い・だるい | 循環が上がりにくい/脱水ぎみ | 常温の水を数口+足首回し |
| 不安っぽい・焦る | 頭のスイッチが先に入る | 目を閉じて「吐く息長め」×5回 |
ここで大事なのは、“全部やる”じゃなくていいこと。
あなたの朝が「重い」タイプなら、水と足首。
「不安」タイプなら、吐く息。
これだけでも十分、土台が変わります。
3. 体の中で起きていること:朝は「ホルモン×脳×自律神経」の引っ越し作業
朝の体は、夜の部屋から昼の部屋へ引っ越ししている最中みたいなものです。
段ボール(眠気)も残ってるし、照明(覚醒)もまだ暗い。そこにコーヒーという強めの照明をいきなり当てると、整う人もいれば、眩しさで疲れる人もいます。
1) 起床後30分は、体が勝手に“立ち上がる”時間
起床後、体内ではコルチゾール(覚醒に関わるホルモン)がぐっと上がります。健康な成人では、起床後30分で50〜160%程度上昇するという報告があります(生理学レビュー/2004)。 PubMed
この上昇は、悪いものではなく“朝のエンジン始動”です。
つまり、起床直後はすでに体が「起きるための波」を作っている。
ここにすぐカフェインを足すと、相性がいい人もいますが、上がり方が急になって後で反動が出やすい人もいます。
2) 眠気の燃料「アデノシン」と、コーヒーの関係
眠気にはアデノシンという物質が関わります。ざっくり言うと、起きている時間が長いほど溜まり、眠気として感じやすい。
カフェインは、このアデノシンの“受け取り口”を一時的に塞いで、眠気を感じにくくします。
ただし、カフェインは体からすぐ消えません。成人では半減期が3〜7時間とされます(研究レビュー/2017)。 PMC
夕方以降の摂り方だけでなく、朝の早すぎる摂取でも「夜の眠り」を薄くして、翌朝の疲労感を増やすループに入りやすい人がいます。
3) 「光」が入らない朝は、体内時計が寝ぼけやすい
朝日や明るい光は、体内時計の調整役です。朝にしっかり光が入ると、夜に眠くなるリズムも作りやすい。
朝の明るい光を使って体内時計を前に進める(早める)アプローチは研究でも扱われています(研究/2014)。 PMC
ここ、意外と盲点です。
「朝しんどい」人ほど、家の中が暗いまま準備していることが多い。
光が入らないと、脳は“まだ夜”のつもりで動きます。
4) 朝のだるさを悪化させやすい「逆効果ムーブ」
責めたいわけじゃないです。むしろ、普通にやりがち。
- 起床直後にスマホで刺激強めの情報を浴びる
- いきなり熱いシャワーで交感神経を急加速
- 眠いから動かない(結果、循環が上がらない)
睡眠慣性は最初の15〜30分で回復しやすい一方、その間の過ごし方で“長引く”こともあります(研究レビュー/2019)。 PMC
朝の数分は、わりと繊細です。
4. 疲れが残る朝の「意外ルーティン」:コーヒーは60〜90分後でいい
じゃあ何をするのか。ここはシンプルにいきます。
疲れが残る朝ほど、強い刺激を先に入れるより、体の起動を手伝う順番が効きます。
ルーティンはこの順番が安定しやすい
- 光:カーテンを開けて、窓際で1分
- 水分:常温の水を数口(一気飲みじゃなくてOK)
- 小さい動き:足首10回+肩をすくめてストンを5回
- それからコーヒー:起床後60〜90分を目安に
「60〜90分も待てない…」という人へ。大丈夫。
“待つ”というより、先に1〜3分だけ別のことを入れて、体の起動を整えてから飲むイメージです。
豆知識をもうひとつ。
カフェイン量は「強ければ強いほど良い」ではありません。多くの健康な成人では、1日400mg程度が「一般的に大きな悪影響と関連しにくい量」として示されることがあります(米国FDA/2024)。 U.S. Food and Drug Administration
朝の一杯を“雑に増やす”より、タイミングと量を整えるほうが効率的です。
受診を考えたほうが安心な目安
| 状態 | 目安 | 行動の方向性 |
|---|---|---|
| 強い倦怠感が2週間以上続く | 休んでも戻らない | 早めに医療機関へ相談 |
| 息切れ・動悸・胸の違和感がある | 朝に限らず出る | 無理せず受診を優先 |
| いびきが大きい/呼吸が止まると言われる | 睡眠の質が疑わしい | 睡眠の検査も視野に |
「怖い話」ではなく、安心のための分岐です。
体の問題は、早めに切り分けられると心も軽くなります。
Q1. 起床直後にコーヒーを飲まないと仕事になりません。どうしたらいい?
無理に我慢しなくて大丈夫です。まず窓際で1分だけ光を入れて、水を数口。その後に小さな動き(足首回しなど)を挟んでから飲むと、ガクッと落ちる感じが減る人がいます。量を少なめにするのも手です。
Q2. 朝日を浴びるのが大事って聞くけど、雨の日や冬はどうすれば?
晴れの朝日ほどではなくても、暗い部屋にいるよりは“明るさ”が助けになります。室内でもカーテンを開けて窓際へ。可能なら照明を早めにつける。外に出られる日は、短時間でもOKです。
Q3. 朝に運動したほうがいい?それとも休んだほうがいい?
“運動”というより“起動”で考えるのが安全です。疲れが残る朝は、息が上がる運動より、足首や肩など小さな動きで循環を上げるくらいがちょうどいい。元気がある日にだけ散歩を足す、で十分です。
5. 今日からできる、いちばん現実的な一歩
最後に、私がいちばん推したいのは「朝の自分に、いきなり難題を出さない」ことです。
朝の体は、まだ起動中。そこに完璧主義を乗せると、だるさは増えます。
今日からの行動ヒントは、これで足ります。
- 起きたら窓際へ1分(光のスイッチ)
- 水を数口(体の潤滑)
- 足首10回だけ(循環の点火)
- コーヒーはその後(起床後60〜90分が目安)
全部やらなくていいです。
あなたが選ぶのは、1個でいい。今日は「窓際1分」だけでも、朝の景色が少し変わります。
朝の疲れって、気合いで殴り倒すより、順番を整えたほうが勝てる相手です。
ゆっくり、でも確実に。大丈夫、体はちゃんと戻る力を持っています☺️
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事があなたのより良い生活のための一助になりますように。
