朝起きた瞬間の「のどのヒリヒリ」や、熱は下がったのに続くだるさ。今年の冬も、「いつもの風邪と少し違う気がする」という声をよく耳にします。この記事では、2025年シーズンに多い風邪の症状の傾向と、インフルエンザや他の感染症との違い、日常で意識したいセルフケアのポイントを一度整理していきます。
「どこまで様子を見てよくて、どこから受診したらいいのか」が少しクリアになるだけでも、体も心もふっと力が抜けやすくなります。

1. 「今年の風邪、しんどくない?」という相談が増えています
この冬、「のどがとにかく痛い」「熱はそこまで高くないのに、ぐったりする」という相談がとても増えています。家族の中で順番に体調を崩したり、子どもは一度良くなっても別の風邪をもらってきたり、長期戦になりがちな季節です。
外来や相談では、こんなパターンが目立ちます。
- 発熱は37〜38℃台で数日で落ち着いたが、のど・咳・だるさがしぶとく続く
- インフルエンザやコロナ検査は陰性だが、「ただの風邪」にしては辛く感じる
- 子どもは鼻水メインで元気そうだが、ときどきゼーゼーしたり、眠りが浅くなっている
一方で、ニュースやSNSでは「インフルエンザAが大流行」「新しい変異株」「RSウイルス」など、いろいろな言葉が飛び交っています。
その結果、「自分や家族の症状が、今どこに位置しているのか」が分かりにくくなり、不安を大きくしやすい状況でもあります。
ここでは、今年の風邪に多い傾向をざっくりつかみながら、
- 普通の風邪
- インフルエンザ
- コロナやRSウイルスなど他の感染症
との違いを整理しつつ、「様子見でよいライン」と「受診したいライン」のイメージを一緒に整えていきます。
2. 「今年の風邪」とインフルエンザ・コロナの違いをざっくり整理
まずは、世の中でよく話題になる3つのグループを、ざっくり整理します。
2-1. いわゆる「風邪」に多いパターン
いわゆる「かぜ」は、ライノウイルスやコロナウイルスなど複数のウイルスによる上気道感染の総称です。のどの痛み・鼻水・くしゃみ・軽い咳といった「首から上」の症状が中心で、全身の強い倦怠感や高熱はそれほど目立たないことが多いとされています。厚生労働省
2025年シーズンは、
- のどの痛みが強め
- 痰を伴う咳がしつこく続く
- 微熱〜平熱でも、妙なだるさが残る
といった訴えが目立ちます。
これは、上気道に炎症を起こすタイプのウイルスが、粘膜の「ヒリヒリ感」や咳を長引かせやすいこと、乾燥した空気で気道が敏感になっていることなどが重なっていると考えられます。
2-2. インフルエンザは「全身のしんどさ」が前面に出やすい
インフルエンザは、38℃以上の急な高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、強い全身倦怠感が比較的急速に出るのが特徴です。そこに、のどの痛みや咳、鼻水などの呼吸器症状も加わります。厚生労働省+1
2025年は、A型のなかでも「サブクレードK」と呼ばれるタイプが話題になっています。このタイプでは、
- 38℃以上の発熱
- 鼻水・咳
- のどの痛み
の頻度がとても高く、従来イメージされる「激しい関節痛」は比較的少なめ、という報告も出ています。医療法人社団 宗仁会 –
インフルエンザが疑われるときは、
- 高熱+全身のしんどさが強い
- 発症から12〜48時間以内の受診で、抗インフルエンザ薬の効果が期待できることが多い
といったポイントも、検査・受診判断の材料になります。CLINIC FOR (クリニックフォア) 内科・アレルギー科・皮膚科
2-3. コロナやRSウイルスなど、他の感染症の顔ぶれ
2025年時点では、新型コロナも「急性呼吸器感染症(ARI)」というグループの1つとして扱われ、発症日を0日目として5日間程度は外出を控えることが推奨されています。息苦しさ・ぐったり感・水分がとれない・顔色不良・けいれんなどは、救急受診の目安に挙げられています。マルイシセイヤク+1
乳幼児では、RSウイルスも大切な存在です。日本では毎年およそ12〜14万人の2歳未満の乳幼児がRSウイルス感染症と診断され、約4分の1が入院を必要とすると推定されています。粉瘤・ワキガ・赤ら顔・形成外科美容皮膚科|アイシークリニック大宮院+1
多くは「強めの風邪症状」で治りますが、
- 生後数か月の赤ちゃん
- 早産・心疾患など基礎疾患のある子
では、細気管支炎・肺炎に進行することもあり、呼吸の速さや胸のへこみ、哺乳量の低下などに注意が必要です。
3. からだの中で起きていることを、「構造」「神経」「感覚」から眺める
ここからは、今年の風邪でよく見られる「のどの痛み」「咳」「だるさ」「味や匂いの変化」を、からだの中で起きている変化と重ねてイメージしてみます。
3-1. のどの痛みが強い理由
ウイルスは、鼻やのどの粘膜に付着し、そこで増えながら炎症を起こします。
- 粘膜にある神経終末が刺激される
- 炎症によって血管が広がり、むくみと発赤が出る
- 飲み込む動作や空気の出入りで、常にこすられる
これらが重なって、「ツバを飲むだけで痛い」「冷たい飲み物がしみる」と感じやすくなります。室内が乾燥していると、粘膜のバリア機能が低下しやすく、痛みが強くなったり長引いたりしやすいのも、この季節ならではです。
3-2. 咳だけ長引くのは、「過敏になった気道」のサイン
風邪のあと、3週間前後咳が続く「遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)」は珍しくありません。気道の粘膜が一度炎症を起こすと、その後しばらくは「少しの刺激でも咳反射が起きやすい状態=気道過敏」の期間が続きます。Healthline+1
- 冷たい空気
- 乾燥したオフィス
- 会話の量が多い日
こうした日常の刺激でも、気道が「咳で守ろう」と反応しやすくなり、「夜になると咳き込む」「日中は平気なのに、布団に入ると出る」といったパターンが生まれます。
咳が長引く背景には、
- 気道の炎症が完全には引き切っていない
- もともと喘息・アレルギー体質で、気道が敏感
- 胃酸の逆流や鼻水の後ろ流れ(後鼻漏)が、咳を誘発している
といった複数の要素が重なっていることも多いです。

3-3. だるさや倦怠感は、「免疫」と「自律神経」の共同作業
発熱やだるさは、ウイルスと戦うためにからだが「省エネモード」に切り替わっているサインでもあります。
炎症が起きると、サイトカインと呼ばれる物質が分泌され、
- 体温を上げる
- 筋肉や関節の痛みを増やす
- 眠気や倦怠感を強くする
ことで、「動き回らずに休んでほしい」という指令を出してきます。
一方、睡眠不足や強いストレスが続いているときは、免疫の働きが落ちやすくなります。睡眠時間が6時間未満の人は、7時間以上眠れている人に比べて、風邪ウイルスに感染した後に実際に発症するリスクが4倍前後高かった、という実験研究も報告されています。Home+1
「今年の風邪は長引く」と感じる背景には、
- ウイルスそのものの特徴
- 寒暖差・乾燥といった環境ストレス
- 睡眠や生活リズムの乱れ
が重なって、自律神経や免疫が揺さぶられていることも関係していそうです。
3-4. 味や匂いの変化は、「粘膜+神経」のコンビの問題
コロナ流行初期のような「何も味がしない」というケースは減ってきている一方、
- 味がぼんやりする
- 匂いが分かりにくい
- いつもの料理が「変な味」に感じる
といった相談は、今も続いています。
これは、
- 鼻粘膜のむくみや鼻づまりで、香りの情報が届きにくくなる
- のどや舌の粘膜炎症で、「温度」「痛み」「触覚」の情報が変化する
ことが組み合わさることで起きやすくなります。
味覚・嗅覚の変化自体は、風邪やインフルエンザ、コロナなど多くの呼吸器感染症で起こり得るため、「味がおかしい=必ず特定の病気」というわけではありません。ただ、
- 長期間まったく味がしない
- 体重減少や強い食欲低下を伴う
場合は、栄養状態を守る意味でも一度医療機関で相談をしておきたいラインです。

4. よくある生活パターンと「今年の風邪」の響き方
生活の中の小さなクセが、今年の風邪を「長引く風邪」に変えてしまうことがあります。典型的なパターンをいくつか挙げてみます。
4-1. 「熱が下がったから全開で動く」パターン
熱が下がった瞬間に、
- たまった家事・仕事を一気に片付ける
- 子どもの付き添いで、長時間の外出を再開する
- 「軽くのつもり」で激しめの運動をする
こうして免疫・自律神経が回復しきる前に負荷を上げてしまうと、
- だるさがぶり返す
- 咳がまた強くなる
- 夜になると熱がぶり返す
といった「行ったり来たり」のパターンにはまりやすくなります。
今後、病み上がりの運動再開については別の記事で詳しく整理していく予定ですが、ここでは
- 解熱後すぐは「散歩・家事レベル」を上限にする
- 息が弾む運動や筋トレは、数日単位でゆっくり戻す
といったイメージを持っておくと安心です。

4-2. 室内の乾燥&長時間デスクワークで、気道がカラカラ
エアコンで暖められた部屋で、
- 水分をあまり摂らず
- ずっと口呼吸ぎみで
- 前かがみ姿勢のまま仕事やスマホに向かう
この状態は、
- のどに風が当たりやすくなる
- 背中や肋骨まわりの動きが小さくなり、浅い呼吸になりやすい
- 咳をすると、すでにこわばっている筋肉に負担がかかる
といった理由で、「咳が止まりにくい身体」をつくってしまいます。
4-3. 情報に振り回されて、心もからだも休まらない
症状が出ると、ついスマホで検索したくなります。
- 「今年の風邪 しんどい」
- 「インフルエンザ 何日で治る」
- 「咳 長引く 癌」
と検索を重ねていくうちに、不安ばかり増えて、実際に必要な休息や水分補給がおろそかになってしまうこともあります。
情報は大切ですが、
- 「公的機関や信頼できる医療サイトを1〜2つ決めておく」
- 「検索は1回5〜10分まで」と時間を区切る
といったルールを決めておくと、メンタルの消耗を少し減らせます。

Q1. どのくらいの症状なら「自宅で様子見」で大丈夫ですか?
一般的には、
- 37〜38℃前後までの発熱
- のどの痛み・鼻水・咳はあるが、会話ができる程度
- 水分や少量の食事がとれている
- 横になっていれば、なんとか過ごせる
といった状態であれば、まずは自宅での安静とセルフケアを優先してよいことが多いです。
一方で、
- 症状が強く不安が大きい
- 基礎疾患がある
- 妊娠中、高齢、乳幼児
などの場合は、「様子見で大丈夫かな」と迷った時点で、かかりつけや相談窓口に一度電話で確認するのがおすすめです。
Q2. どの程度つらくなったら、受診したほうがよいですか?
次のようなサインがあるときは、「時間帯に関わらず早めの受診」が勧められています。ひろつ内科クリニック+2シンクヘルスクリニック – シンクヘルスクリニック公式サイト+2
- 息苦しさ、呼吸が速い、胸の痛み
- 水分がとれず、尿の量が明らかに少ない
- 顔色が悪い、ぐったりして反応が乏しい
- 強い頭痛、意識がおかしい、けいれん
- 3か月未満の赤ちゃんで38℃以上の発熱
また、
- 高熱が3日以上続く
- 咳やだるさが強くなり続けている
- 持病(喘息・心疾患・糖尿病など)が悪化している
といった場合も、早めに医療機関に相談するラインです。

Q3. 咳だけ続く場合、どのくらいで受診を考えたらいいですか?
風邪やインフルエンザのあと、2〜3週間程度の咳が続くことは決して珍しくありません。
ただ、
- 3週間以上ほとんど改善がない
- 横になると息苦しい、ヒューヒュー音がする
- 血の混じった痰が出る
- 体重減少や、夜間の大量の寝汗を伴う
といった場合は、肺炎や喘息悪化など、別の病気が隠れていないか確認するためにも、受診を検討したいところです。
5. 今日からできる「今年の風邪」との付き合い方のコツ
最後に、「すべてを完璧に変える」のではなく、今日からでも取り入れやすいポイントをいくつか挙げておきます。
| やってみたいこと | イメージ |
|---|---|
| 解熱後も1〜2日は「7〜8割の出力」で動く | いきなり全力で家事・仕事・運動に戻さず、「散歩+軽い家事」くらいから様子を見る |
| 水分+塩分をこまめに補う | 常温の水、お茶、経口補水液、味噌汁などを少しずつ。氷たっぷりの冷たい飲み物は、のどの負担になる時は控えめに |
| 室内の「乾燥」と「姿勢」をセットで見直す | 加湿や洗濯物干しに加えて、背もたれにもたれて肋骨周りが動きやすい姿勢を意識する |
| 睡眠時間を「+30分」から増やしてみる | いきなり理想を目指すより、就寝時間を少しだけ前倒しするところからスタートする |
大切なのは、
- 「今の自分の体力・回復具合に見合った過ごし方」を選ぶこと
- 不安になりすぎたときは、一人で抱え込まずに相談先を持っておくこと
です。
今年の風邪は、「はっきり良くなった」と感じるまでに時間がかかるケースが多い印象があります。それでも、からだは毎日少しずつ回復に向かっています。
完璧なセルフケアを目指す必要はありません。今日できそうなことを1つだけ選んで、すこし丁寧に自分の体を扱ってみる。それだけでも、回復のカーブはゆるやかに変わっていきます。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事があなたのより良い生活のための一助になりますように。
