インフルエンザ サブクレードKって大丈夫?今年の流行と不安との付き合い方

インフルエンザで体調不良の女性がマスクを着けて横になり、体温計で熱を測っている様子(インフルエンザ サブクレードKと今年の流行への不安イメージ)
目次

1. はじめに

ニュースやSNSで「インフルエンザ サブクレードK」という言葉を見かけて、
「なんか新しい危ないやつ出てきたの?」と不安になっている方も多いと思います。

2025年シーズンは、例年より早い段階からインフルエンザの報道が増え、
「インフルエンザ 症状 2025」「インフルエンザ 流行 いつまで」と検索する人もぐっと増えています。厚生労働省+1

現場でも、「今年のインフルエンザ、いつもと違うんですか?」「サブクレードKって何者なんですか?」という質問を受けることが増えてきました。
私自身も、医療従事者として情報を追いながら、「どう説明すれば、一番安心してもらえるかな」と考える日々です。

この記事では、

  • インフルエンザ サブクレードKとは何か
  • 2025年シーズンのインフルエンザの特徴(症状や流行の傾向)
  • からだの中で何が起きているのか
  • 日常生活で「今からできる小さな予防」と、不安との付き合い方

を、できるだけやさしい言葉で整理していきます。

読み終わるころには、ニュースに振り回されすぎず、
「じゃあ自分はこれとこれだけはやっておこう」と、静かに一歩踏み出せる状態を目指します。

2025年は、いわゆる“普通の風邪”も同時に流行していて、症状が紛らわしくなりがちです。
「今年の風邪の特徴」については、こちらの記事で詳しくまとめています。


2. いま話題の「インフルエンザ サブクレードK」って、結局なんなのか?

まず一番気になるのはここですよね。

「サブクレードK」は“新しい枝”のような存在

インフルエンザ サブクレードKは、
インフルエンザA型 H3N2系統から生まれた新しい“枝分かれ” の一つです。
専門的には「J.2.4.1」という系統に属するウイルスで、
ウイルス表面のタンパク質(抗原)が少し変化したタイプと報告されています。PMC+1

イメージとしては、

  • :インフルエンザA型
  • 太い枝:H1N1、H3N2といったサブタイプ(亜型)
  • 細い枝:その中でさらに分かれた「クレード」や「サブクレード」

といった感じです。

インフルエンザのサブタイプの違い

よく聞く「A型H1N1」「A型H3N2」「B型」などとの違いは、ざっくりこんな整理ができます。

種類ざっくりした特徴よく出る場面
A型 H1N1いわゆる「新型インフル」として話題になったタイプ。若い世代でも流行しやすい。パンデミックのニュースなど
A型 H3N2高齢者で重症化リスクが高まりやすいとされるタイプ。今季はこの中のサブクレードKが話題。TIME季節性インフルの流行期
B型A型よりやや穏やかと言われることもあるが、決して“軽い”わけではない。シーズン後半に増えることも

サブクレードKは、このうち「A型 H3N2」という枝の、さらに先の小さな枝 と考えてもらえると良いです。

なぜ2025年に急に名前が出てきたのか?

  • 2025/26シーズンのはじまりに、イギリスなどでH3N2サブクレードKが流行の中心になっていることが報告されました。PMC+1
  • 日本でもこのタイプが多く検出されており、「新しい変異株」としてニュースになっています。うめもとクリニック

その結果、

  • 「ワクチンが効きにくいのでは?」
  • 「症状が重くなるのでは?」

といった不安が一気に広がりました。

ワクチンは本当に意味がないのか?

ここは誤解がとても多いところです。

  • 今年のワクチンは、サブクレードKとは完全には一致していない(ミスマッチ気味) と報告されています。PMC+1
  • それでも、重症化や入院リスクを減らす効果は残っているとするデータがあります。
    例えば、海外の解析では、ミスマッチがある状況でも、子どもで入院リスクを最大75%程度減らせたとする報告もあります。SFGATE

つまり、

「サブクレードK=ワクチンがまったく効かない」
というわけではなく、
「かかる人は増えやすいけれど、重くならないための“最後の守り”としてワクチンはまだ大事」

というイメージに近いです。


3. からだの中で起きていること

ここからは少しだけ中身の話です。
難しい言葉は使いすぎないようにしながら、からだの中で何が起きているのかを整理してみます。

(1) 最初の入り口:鼻・のど・気道の「構造」の話

インフルエンザウイルスは、主に

  • 鼻の粘膜
  • のど
  • 気管や気管支

などの呼吸の通り道から入ってきます。

サブクレードKだからといって、「別の入り口から侵入してくる」わけではありません。
入り方そのものは、従来のインフルエンザと同じです。

ただし、

  • 人混みでマスクなしの時間が長い
  • 換気が悪い空間で長時間過ごす
  • 手洗い・うがいの頻度が減っている

といった状況が重なると、**ウイルスにとっては“入りやすい玄関が開いている家”**のような状態になります。

(2) 免疫・自律神経が「敵かどうか」を判断する

ウイルスが入ってくると、
からだの中では、免疫細胞が「これは敵だ」と判断し、炎症反応を起こします。

このとき、

  • 発熱
  • のどの痛み
  • 関節痛・筋肉痛
  • 強いだるさ

といったインフルエンザらしい症状が出ます。2025年シーズンの報告でも、サブクレードKを含むH3N2タイプでは、38〜39℃台の発熱や強い全身倦怠感など、典型的なインフルエンザの症状が主体とされています。医療法人社団 宗仁会 -+1

ここでポイントになるのが、

  • 免疫のはたらき具合
  • 自律神経のバランス(交感神経・副交感神経)

です。

睡眠不足やストレスが続いていると、自律神経のバランスが崩れやすく、
「免疫のオン/オフの切り替え」がうまくいかなくなります。
その結果、

  • 熱が長引きやすい
  • 回復しても、だるさや咳がしつこく残る

といったパターンになりがちです。

ちなみに、インフルエンザに加えて、コロナもまだ完全に消えたわけではありません。
「今のコロナの症状や流行状況」を知りたい方は、こちらも参考になると思います。

(3) サブクレードKがやっかいと言われる理由

サブクレードKが注目されているのは、

  1. ウイルスの表面が少し変わり、既存の免疫(過去の感染やワクチンで得た抗体)を一部すり抜けやすい 可能性があること。CLINIC FOR (クリニックフォア) 内科・アレルギー科・皮膚科+1
  2. その結果、シーズンの立ち上がりが早く、流行スピードが速いと報告されていること。CLINIC FOR (クリニックフォア) 内科・アレルギー科・皮膚科+1

ただし、「症状が極端に凶悪になった」というよりも、

免疫の“見覚え”が少し薄くなっているぶん、
かかる人の母数が増えやすい

というイメージに近いと考えられます。

(4) ワクチン・薬の「効き方」

世界的な解析では、

  • サブクレードKに対して、従来株に比べて中和抗体の効きが下がっている(=ワクチンとのミスマッチ)が示された一方で、PMC+1
  • 実際の現場レベルでは、重症化予防という点ではワクチン接種者の方が有利とみられるデータが集まりつつあります。SFGATE+1

また、抗インフルエンザ薬(タミフルなど)への耐性が特別に強いという情報は現時点では報告されていません。
発症早期に薬を使うことで、症状のピークを軽くしたり、肺炎などの合併症を減らす可能性は、これまでのインフルエンザと同様に期待できます。

私自身も、「ワクチンや薬が万能」とは思っていませんが、
「ゼロか100か」ではなく、「重症化リスクをどこまで下げられるか」という現実的な視点が大事だと感じています。


4. 日常のクセとインフルエンザ サブクレードKの関係

ここからは、「じゃあ結局、私たちの生活とどう関係するの?」という話です。

(1) 「疲れが溜まっている時期」に流行が重なりやすい

2025/26シーズンの日本では、
9月末ごろからインフルエンザの報告数が増え始め、11月時点でも高い水準が続いています。厚生労働省+1

この時期はちょうど、

  • 季節の変わり目で自律神経が揺らぎやすい
  • 仕事や学校のイベントが重なり、疲労が溜まりやすい
  • 日照時間が短くなり、メンタル面でも落ち込みやすい

といった要素が重なります。

つまり、“からだが弱りやすいタイミング”に、“広がりやすいウイルス”がやってきているわけです。

(2) 「こういうクセ」が感染リスクを上げやすい

ここで、日常生活の中でインフルエンザ サブクレードKを含めたウイルスが広がりやすくなるパターンをいくつか挙げてみます。

① 少し具合が悪くても、人に会う予定はキャンセルしない

  • なんとなくだるい
  • ちょっと喉がイガイガする
  • 微熱気味だけど、市販薬でごまかして出かける

こうした行動は、「自分のからだを守る」という意味でも、「周りにうつさない」という意味でも不利になります。

研究レベルでも、「発症初期〜発症後1〜2日のウイルス量」が最も多く、
この時期に人と長時間接触することが、クラスターの引き金になりやすいことが示されています。感染症情報提供サイト

② 休みの日に“寝だめ”して平日はずっと睡眠不足

  • 平日は睡眠5〜6時間
  • 休日に10時間寝て帳尻を合わせる

一見「うまくリセットしている」ように見えますが、
自律神経やホルモンのリズムは、「毎日のリズムの安定」が大切です。

慢性的な睡眠不足や不規則な生活は、
インフルエンザを含む呼吸器感染症の発症リスクを上げることが、いくつかの疫学研究で示されています。gavi.org+1

③ 情報を追いすぎて“頭だけが疲れている”状態

「インフルエンザ 不安 対策」と検索しながら、
一日中ニュースやSNSを見てしまうことも、実はからだに影響します。

  • 不安情報を浴び続ける → 交感神経(緊張モード)が優位になる
  • 眠りが浅くなる → 回復力が落ちる
  • 食欲が乱れる → 栄養状態がブレる

このループが続くと、
免疫のブレーキとアクセルのバランスが崩れやすくなります。

「情報を集める」のは大事ですが、
「今日はここまでにする」と、自分で情報の入口を閉める習慣も同じくらい大事です。

(3) 完璧じゃなくていい、“1〜2割の調整”でいい

大事なのは、

「全部気をつけなきゃ」と肩に力を入れすぎるのではなく、
「ここだけは意識しておこう」というポイントを1〜2個決めること

です。

例えば、

  • 人混みに長時間行く日はマスク+帰宅後のうがい手洗いだけは徹底する
  • 睡眠時間だけは、平日も休日も“±1時間以内”に揃えるよう意識する
  • 「不安になってきたら、情報を一旦閉じて深呼吸する」というマイルールを作る

など、「やろうと思えばできそうなこと」からで十分です。


5. おわりに 〜今日からできる小さな一歩たち〜

最後に、「インフルエンザ サブクレードKの時代に、私たちが現実的にできること」を整理して終わりにします。

(1) 今日から実践できること

ざっくり、こんなイメージで捉えてみてください。

行動のヒントからだのイメージ
ワクチンで「重症化の壁」をつくるかかる可能性はゼロじゃないけれど、奥まで攻め込まれにくい状態をつくる
睡眠・食事・休息を整える免疫や自律神経の“地力”を底上げする
手洗い・換気・マスク(必要な場面で)ウイルスを「玄関で追い返す」
情報との距離感を決める頭の中の不安のボリュームを下げ、からだの緊張を和らげる

全部を一度にやる必要はありません。
この中から「これならできそう」と思うものを、一つだけ選ぶところからで十分です。

(2) 不安と“ほどよく”付き合う

2025年シーズンのインフルエンザは、

  • サブクレードKという新しい枝が出てきた
  • 流行の立ち上がりが早く、ニュースに取り上げられやすい

という意味で、少し“目立つシーズン”かもしれません。

ただし、

  • ウイルスそのものが突然「別物」になったわけではない
  • ワクチンや薬も、重症化を減らすという意味ではまだ十分に役割がある
  • そして何より、「私たちの日常の整え方」も、しっかり効果を持っている

という点は、落ち着いて押さえておきたいところです。

私自身も、ときどきニュースに飲まれそうになりますが、
そんなときは 「よく眠る」「温かいものをゆっくり飲む」「スマホをいったん閉じる」 という
とてもシンプルなことに立ち返るようにしています。

あなたもどうか、必要以上に自分を責めたり、
「完璧な予防ができていない」と落ち込んだりしないでください。

できることを、できる範囲で。
それでも十分、からだはその努力を受け取ってくれます。

インフルエンザ サブクレードKのニュースを見ても、
「ああ、あれね。自分はこれとこれだけはもうやっているから大丈夫」と、
少しだけ肩の力を抜いて過ごせますように。🌙

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

からだトレンドラボを運営している、理学療法士のテラサワです。
病院やクリニックでのリハビリに長く関わる中で、
「もっと早く知っていれば楽になれたのに」という声を
何度も聞いてきました。

このブログでは、からだや健康にまつわる“トレンド情報”を、
医学的な視点でていねいに噛み砕いてお届けします。
難しいことはできるだけやさしく。
読み終わったときに、ちょっとだけ不安が軽くなっていたら嬉しいです。

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