“医師監修”“専門家推奨”ってどこまで信用していい?~サプリ広告の読み方~

「医師監修・専門家推奨」と書かれたサプリ広告を前に、信頼性について考えている男女のイメージイラスト
目次

1. はじめに

ドラッグストアやネット通販を眺めていると、サプリのパッケージに
「医師監修」「専門家推奨」「〇〇大学教授もおすすめ」
そんな言葉がずらっと並んでいます。

疲れが抜けない、眠りが浅い、なんとなく体調が不安定…。
そう感じているときほど、こうしたコピーは心強く見えてしまいますよね。
私自身も、忙しいときほど「これ1粒で安心」という言葉に惹かれてしまうことがあります。

一方で、紅麹サプリの健康被害のニュース以降、
「サプリって本当に安全なの?」「医師監修って、どこまで信じていいの?」
という声が増えた印象もあります。実際、サプリ市場は拡大する一方で、
安全性・信頼性に対して社会全体の目が厳しくなってきている、というのが今の流れです。厚生労働省+1

この記事では、サプリの医師監修の信頼性や「専門家推奨」という言葉を、
必要以上に怖がりすぎず、でも都合よく信じすぎないための「ちょうどいい距離感」を一緒に整えていきます。
読み終わる頃には、広告を見るときに「ここだけはチェックしよう」という自分なりの基準が、少しクリアになっているはずです。


2. いま話題の「サプリの医師監修の信頼性」って、結局なんなのか?

まず、「医師監修」「専門家推奨」「機能性表示食品」など、似た言葉が混ざりやすいので、ざっくり整理してみます。

表現ざっくりした意味・イメージ法的な位置づけのイメージ
医師監修医師が内容をチェック・助言したという意味で使われることが多い表示の定義やルールはなく、広告表現としてはグレーゾーンも多いfcd-lawoffice.com+1
専門家推奨医師以外の栄養士・トレーナーなどが「おすすめ」とされる表示効能を保証するような推薦は薬機法上問題になる可能性ありfcd-lawoffice.com+1
機能性表示食品事業者が科学的根拠をそろえて、販売前に消費者庁へ届出した食品国の審査はなく、あくまで「事業者の責任で表示」消費者庁
いわゆるサプリ(健康食品)ビタミン・ミネラル・ハーブなどを含む一般食品多くは機能性を詳細に表示できず、安全・品質はメーカー任せ厚生労働省eJIM「統合医療」情報発信サイト+1

ポイントは、「医師監修」「専門家推奨」という言葉そのものには、
明確な公的基準や統一ルールがあるわけではない、ということです。

薬機法や各種ガイドラインでは、「医師の推薦」「学会お墨付き」など、
権威を使って効果を保証するような広告表現は原則禁止とされていますが、
「監修」や「推奨」という言葉そのものは、使い方によってグレーな領域にもなり得ます。fcd-lawoffice.com+1

つまり、

  • 医師監修=国が安全性・有効性を保証している
  • 専門家推奨=確実に効いて副作用も少ない

とは言えない、ということです。

一方で、「機能性表示食品」は、事業者が自ら科学的根拠を集め、
安全性・機能性について消費者庁へ届出をした商品という位置づけです。
ただし、トクホのように国が審査して許可しているわけではなく、
「事業者の責任で根拠を示している」という制度です。消費者庁+1

ですから、「機能性表示食品だから絶対安全」でも、「医師監修がないから危険」でもありません。
大事なのは、ラベルの言葉そのものよりも、「どんな根拠と背景がある商品なのか」を一歩引いて見る姿勢です。


3. からだの中で起きていること

ここからは、少し身体の中の話をしてみます。
サプリメントは、飲んだ瞬間に魔法のように効くものではなく、
私たちの臓器・神経・感覚の働きの上に、そっと乗ってくる“追加の素材”のような存在です。

構造:肝臓や腎臓が「後片づけ」をしてくれている

ビタミン類・ミネラル・ハーブ成分など、多くのサプリは口から入って、
胃腸で吸収され、血液に乗って全身へ運ばれます。
その後、不要な分は肝臓・腎臓などで分解・排泄されていきます。

日本緩和医療学会などの資料では、
「通常の食事をしていれば、ビタミン・ミネラルの欠乏症はまれであり、
サプリで追加する必要性を示すデータは乏しい。むしろサプリからの過剰摂取により、
ビタミンAやD、鉄などで健康被害が起こりうる」といった指摘がされています。jspm.ne.jp

つまり、足りないから足す、というよりも、
「本来の器(肝臓・腎臓など)の働きに、どれだけ負担をかけずにすむか」が大事になります。

紅麹サプリの問題では、一部の製品で腎臓のトラブルなどが報告され、
厚生労働省や消費者庁が回収情報や健康被害のまとめを公表しました。厚生労働省+2消費者庁+2
このケースでは、特定の成分や不純物が腎臓に負担をかけた可能性が指摘されていますが、
教訓としては「からだの構造には限界があり、良さそうな成分でも、
とり方や量によっては負担になることがある」ということです。

神経:期待やストレスが「効き方の感じ方」を左右する

サプリを飲んだとき、「なんだか元気になった気がする」という感覚には、
自律神経や脳の働きも大きく関わります。

  • 「医師が監修している」「専門家が推奨している」というラベルを見る
  • 「これはきっと効くはずだ」と期待する
  • 期待そのものが安心感につながり、自律神経が少し落ち着く

この流れ自体は、決して悪いことではありません。
安心感が高まることで、睡眠や消化が整いやすくなり、結果として体調が良く感じられることもあります。
ただ、それを「成分の効果だけ」と思い込んでしまうと、
「飲まないと不安」「効いていない気がするから増やそう」と、
神経レベルで依存に近い状態になってしまうリスクがあります。

感覚:からだのサインを“サプリ任せ”にしない

身体感覚の面で言うと、
本来は「疲れた」「眠い」「お腹の調子が悪い」といったサインを手がかりに、
生活リズムや食事、動き方を微調整していく機能が備わっています。

ところが、

  • 眠れない → まず睡眠サプリ
  • 疲れた → まず疲労回復系サプリ
  • なんとなく不安 → まず自律神経に良さそうなサプリ

という流れが習慣になると、「自分の感覚を整える」「生活を見直す」という
本来の調整機能が働く前に、“外側の答え”を探すクセがついてしまいます。

国の情報サイトでも、いわゆる健康食品・サプリは医薬品ではなく、
品質や成分量は製造者に任されている、健康被害の報告も少なくない、といった注意喚起が続いています。厚生労働省eJIM「統合医療」情報発信サイト+2「 健康食品 」の安全性・有効性情報 -+2

サプリを完全に否定する必要はありませんが、
「自分の感覚を取り戻すための補助」なのか
「感覚をごまかしてしまう道具」になっているのか。
このあたりをときどき立ち止まって見直すことが大切だと感じています。


4. 日常のクセとサプリ選びの関係

では、ふだんの生活のどんなクセが、「サプリ 医師監修 信頼性」というテーマと結びつきやすいのでしょうか。
いくつかパターンを挙げてみます。

パターン1:ネット広告を“スクロールしながら判断”してしまう

スマホでSNSやニュースを見ているときに出てくるサプリ広告は、
・強めのビフォーアフター画像
・「医師監修」「〇万人が体感」
・期間限定の割引
など、感情を揺さぶる要素が詰め込まれています。

そうした環境では、冷静な判断よりも、
「今すぐ何とかしたい」という気持ちが優先されがちです。
実際、オンライン広告経由の健康食品購入では、
衝動的な購買や、十分な情報を読まないままの申込みが問題になるという指摘もあります。厚生労働省eJIM「統合医療」情報発信サイト

ここで少し立ち止まって、

  • 成分名で検索してみる
  • 機能性表示食品なら届出情報データベースを一度確認してみる消費者庁
    といった「ワンクッション」を挟むだけでも、だいぶ見え方が変わります。

パターン2:「食事の穴埋め=サプリ」と思いこんでいる

忙しい日々のなかで、
「ちゃんと食べられていないから、とりあえずマルチビタミンでカバー」という考え方もよく聞きます。
もちろん、明らかな欠乏症を防ぐためにサプリが役立つ場面もありますが、
公的な資料では「通常の食事をしていれば、ビタミン・ミネラル不足が問題になることはまれ」とされており、
むしろサプリによる過剰摂取のリスクが指摘されています。jspm.ne.jp

「足りているところにさらに足す」よりも、

  • 食事のタイミング
  • 噛む回数
  • コンビニでもいいので、タンパク源と野菜を一品増やす

といった、小さな生活の工夫のほうが、長い目で見ると体調に効いてきます。

パターン3:「医師監修=何も考えなくていい」と感じてしまう

「医師監修」「専門家推奨」と書かれていると、
つい「自分で調べなくていい」「任せておけば大丈夫」という気持ちになりがちです。

ただ、法律面を見ても、医薬品や医療機器の広告では
“医師や学会による推薦広告”は原則禁止とされており、
医療関係者の名前を前面に出して効果を保証するような表現には、厳しい制限があります。fcd-lawoffice.com+1

このことは、逆に言えば
「医師の名前が書いてある=国が保障したわけではない」
ということでもあります。

完璧さを求める必要はありませんが、

  • 本当に今の自分に必要なサプリか
  • すでに飲んでいる薬やサプリとの飲み合わせは大丈夫か
  • 体調に変化があったとき、誰に相談できるか

このあたりを1〜2割だけでも意識しておくと、ずいぶん安全度が上がります。


Q1. 「医師監修」と書いてあれば、安全性は心配しなくていいですか?

残念ながら、「医師監修=完全に安全」とは言い切れません。
そもそもサプリは医薬品ではなく、多くが一般食品の扱いです。厚生労働省eJIM「統合医療」情報発信サイト+1

監修医師が成分や表示をチェックしている可能性はありますが、

  • 製造ロットごとの品質管理
  • 長期使用での安全性
  • 他の薬との飲み合わせ

まで含めて保証しているとは限りません。
「医師の名前があるから大丈夫」と思考停止せず、成分表や注意書き、
公的な情報源もあわせて確認してみることをおすすめします。

Q2. 紅麹サプリの問題があってから、サプリは全部やめた方がいいのでしょうか?

紅麹を含む一部の機能性表示食品で健康被害が報告され、回収や注意喚起が行われたのは事実です。厚生労働省+2消費者庁+2
一方で、すべてのサプリが危険というわけでもありません。

大切なのは、

  • 「なんとなく不安だから全部やめる」
  • 「ニュースになったのはレアケースだから気にしない」

のどちらか極端ではなく、
「必要性を見直しつつ、信頼できる情報と相談先を持つ」という中間点です。
持病がある方、複数の薬を飲んでいる方は、自己判断せず主治医や薬剤師に相談するのが安全です。

Q3. どんなサプリなら、飲んでもいい“候補”になりやすいですか?

「絶対に安心なサプリ」というものはありませんが、
候補にしやすい条件としては、

  • 医薬品との飲み合わせについて、商品ページや相談窓口で情報提供がある
  • 成分の根拠が、公的機関や学術論文などをもとに説明されている
  • 機能性表示食品であれば、消費者庁の届出情報で安全性・機能性の要約が確認できる消費者庁+1

といった点が挙げられます。
そして何より、「サプリを飲む前に、生活を1ミリだけ整える余地はないか?」
という視点をセットにしておくと、依存しづらくなります。


5. おわりに

ここまで、「サプリ 医師監修 信頼性」というテーマを、
からだの構造・神経・感覚と、日常のクセの両方から眺めてきました。

最後に、今日からできる“小さな一歩”をいくつかまとめます。

行動のヒントイメージ
気になるサプリは、成分名で一度検索する「広告の言葉」ではなく、「成分そのもの」を調べてみる
機能性表示食品なら、届出情報を一度のぞく消費者庁のデータベースで、安全性・機能性の要約を読む消費者庁
新しくサプリを足す前に、生活を1つだけ整える睡眠時間、食事の回数、軽い運動など、無理のない範囲で

全部を一気に変える必要はありません。
この中から「これならできそうだな」と感じるものを、ひとつだけ選ぶだけでも十分です。

サプリメントは、うまく付き合えば「自分のからだを見つめなおすきっかけ」にもなります。
医師監修や専門家推奨という言葉も、怖がるためではなく、
「じゃあ自分はどう選ぼうか?」と考えるための材料として使っていけると良いですね。

読んでくださったあなたの中に、
広告との距離感を少しだけ整える“新しいメガネ”が生まれていたら嬉しいです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

からだトレンドラボを運営している、理学療法士のテラサワです。
病院やクリニックでのリハビリに長く関わる中で、
「もっと早く知っていれば楽になれたのに」という声を
何度も聞いてきました。

このブログでは、からだや健康にまつわる“トレンド情報”を、
医学的な視点でていねいに噛み砕いてお届けします。
難しいことはできるだけやさしく。
読み終わったときに、ちょっとだけ不安が軽くなっていたら嬉しいです。

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