寝つきはいいのに、朝スッキリしない」人の落とし穴~アルコール・深夜スマホ・寝る前ルーティンの整え方~

寝る前のスマホとお酒をテーブルに置き、照明を落としたベッドで静かに眠ろうとしている人のイメージイラスト(朝スッキリ起きるための寝る前ルーティンの象徴)
目次

1. 寝つきは良いのに、朝がつらい…よく聞くパターンです

布団に入るとわりとすぐ寝てしまう。
それなのに、朝の目覚めは重くて、頭も体もシャキッとしない。日中も「なんとなくボーッとする」「コーヒーがないと動けない」。こうした相談は、ここ数年とても増えています。

面白いのは、こうした人の多くが「自分は寝つきが良いほうだから、睡眠はそこまで問題ない」と思っていることです。
むしろ「寝つきだけは自慢なんです」と言いながら、朝のしんどさには半ばあきらめているケースも少なくありません。

ただ、からだのしくみを見ていくと、

  • 「すぐ寝られる」ことと
  • 「質の良い睡眠がとれている」こと

は、似ているようで別の話です。

特に、

  • 夜遅い時間のアルコール
  • ベッドに入ってからの深夜スマホ
  • 寝る直前まで頭がフル回転している生活リズム

こういった要素が重なると、「寝つきは悪くないのに、朝の回復感がない」という状態になりやすくなります。

この記事では、からだの中で起きていることを整理しつつ、「全部やめるのは無理でも、ここだけ変えるとラクになりやすい」というポイントを一緒に見ていきます。

2. 「寝つきがいい=睡眠の質がいい」とは限らない

まず整理しておきたいのが、「寝つき」と「睡眠の質」の違いです。

寝つきがいい、の正体

一般的に「寝つきがいい」とは、

  • 布団に入ってから短時間で眠れる
  • 横になったらすぐ意識が途切れる

といった状態を指します。

一見、とても良いことのように思えますが、医学的には

  • 過度な睡眠不足がたまっていて、倒れ込むように眠っている
  • アルコールなど、鎮静作用のあるものに頼って入眠している

可能性も含まれます。

睡眠の質とは何か

一方で「睡眠の質」は、

  • 途中で何度も目が覚めないか
  • 深い眠りと浅い眠りのリズムが保たれているか
  • 朝起きたときに「回復した感じ」があるか

といった要素で決まります。

多くのガイドラインでは、成人は1晩7〜9時間の睡眠が推奨されています。PubMed+1
時間が極端に足りなかったり、途中で細切れになっていたりすると、トータルの「質」はどうしても下がってしまいます。

「秒で寝る=良い睡眠」とは限らない

布団に入って数分で落ちるように眠ってしまう人は、むしろ「慢性的な睡眠不足」が隠れていることもあります。
本来は、ベッドに入ってから10〜20分ほどかけてゆっくりと眠りに落ちていくのが自然な流れとされています。

つまり、

寝つきが良いかどうかだけで、睡眠の良し悪しは判断できない

ということです。

ここに、

  • 寝る前のお酒(アルコール)
  • ベッドの中でのスマホ習慣
  • バラバラな就寝・起床リズム

が加わると、「朝スッキリしない」落とし穴にはまりやすくなっていきます。

3. アルコール・スマホ・体内時計…からだの中では何が起きている?

ここからは、少しだけからだの内側をのぞいてみましょう。
キーワードは「脳」「神経」「感覚」です。

アルコール:眠りを深くするどころか、分断させてしまう

寝酒をすると、たしかに「コトン」と寝つきが良くなることがあります。
アルコールには一時的に脳を鎮静させる作用があり、入眠までの時間を短くすることが知られています。Nature+1

ただし、そのあとに続く睡眠の質は別問題です。

研究では、アルコールは

  • 夢を見る睡眠(REM睡眠)を減らす
  • 夜の後半ほど眠りが浅くなり、目が覚めやすくなる

といった影響を与えることが報告されています。www.elsevier.com+1

REM睡眠は、感情の整理や記憶の整理に深く関わっているステージです。ここが削られると、睡眠時間は足りていても「脳が回復しきらない」感覚につながりやすくなります。

「寝つきはいいのに、夜中にちょこちょこ目が覚める」
「朝方に眠りが浅くなって、起きたときにはすでにぐったりしている」

こうしたパターンは、夜のアルコール量や飲むタイミングと関係していることが少なくありません。

深夜スマホとブルーライト:体内時計のずれを生む

次に、深夜のスマホです。

スマホやタブレットなどの画面からは「ブルーライト」と呼ばれる光が多く出ています。この光は、脳にとって「朝の光」に近い刺激となり、眠気を誘うホルモン(メラトニン)の分泌を抑えることがわかっています。chronobiologyinmedicine.org+1

その結果として、

  • 眠りに入るタイミングがずれやすくなる
  • 深い眠りの割合が減り、浅い眠りが増える
  • 体内時計が「夜型」に寄っていき、朝が余計につらくなる

といった変化が起こりやすくなります。

しかも実際のところ、影響を与えているのは光だけではありません。

  • SNSの刺激的な情報
  • 明日の仕事や人間関係を思い出させるメールやニュース
  • ゲームや動画の「続きが見たくなる仕組み」

こうした内容の刺激が、脳を「戦闘モード」にしてしまいます。
表面的には眠れていても、自律神経のスイッチが完全に休息側に切り替わらないため、「寝ているのに疲れが抜けない」という感覚につながります。

寝る前ルーティンと自律神経の切り替え

睡眠は、スイッチのオン・オフというより「段階的なギアチェンジ」に近いものです。

  • 日中は、交感神経(アクティブモード)がしっかり働く
  • 夜に向けて少しずつ副交感神経(リラックスモード)が強まっていく

この流れがあることで、深い眠りにスムーズに入れるようになります。

ところが、

  • 就寝直前まで仕事のメール・資料に触れている
  • 気持ちを落ち着かせる時間を取らないまま、スマホを握ったまま寝落ちする
  • 寝る直前までアルコールや食事が続く

といった習慣が続くと、この「ギアチェンジ」の時間が削られてしまいます。

結果として、

  • 一見すぐ寝られるけれど、眠りが浅くてほどけきらない
  • 朝起きた瞬間からすでに肩や首がこわばっている
  • 起き抜けから心拍や呼吸が早く、落ち着かない

といった状態が起きやすくなります。

私自身も、忙しい日が続いたときに寝る直前までPCやスマホをいじってしまうと、翌朝の体の重さがまったく違うな…と感じることがあります。

4. ありがちな夜のクセと、「朝スッキリしない」のつながり

ここからは、日常でよく見られるパターンを、生活の流れと合わせて整理してみます。

パターン1:夕食後の「なんとなく一杯」が、いつの間にか寝酒になっている

仕事終わりの1杯は、リラックスタイムとして大事な人も多いと思います。
ただ、量や時間帯によっては、翌朝の眠気やだるさに直結します。

  • 21〜22時以降まで飲んでいる
  • スマホやテレビを見ながらダラダラ飲み続けてしまう
  • 「眠れないから」と一杯足してから寝る

こうしたパターンでは、夜の後半ほど眠りが浅くなり、睡眠の連続性が損なわれやすくなります。www.elsevier.com+1

「寝付きは良くなった気がするのに、朝はとにかく重い」という場合、量だけでなく「飲む時刻」を見直すことがとても大切です。

パターン2:ベッドの中が「第二のスマホタイム」になっている

ベッドに入ってから、

  • 動画を2〜3本見る
  • SNSやニュースをひと通りチェックする
  • ゲームやマンガの「続き」を読んでしまう

気づけば30分〜1時間は過ぎている、という方も少なくないはずです。

この時間帯は、光の刺激とコンテンツの刺激が重なることで、

  • 体内時計が「まだ起きていよう」と判断する
  • メラトニン分泌が遅れ、深い眠りに入るタイミングがずれる
  • 眠れていても、浅い睡眠が増える

という流れが生まれます。PNAS+1

「夜のスマホ時間=頭の整理時間」になっているケースもありますが、そのぶん脳はずっと働きっぱなしになってしまいます。

パターン3:寝る直前まで全力モードで走り続けている

もうひとつ多いのが、

  • ギリギリまで家事・育児・仕事を詰め込む
  • 気づいたら日付が変わりそうで、慌てて布団に飛び込む
  • ほっとした瞬間に電源が落ちるように寝てしまう

というパターンです。

この場合、「寝つきが良い」というよりも、

心身のエネルギーを使い切っての“強制シャットダウン”

に近い状態になっていることもあります。

脳や神経にとっては、
「よし、そろそろ休もう」とスピードを落としていく時間が必要です。
この「減速ゾーン」がないまま急ブレーキをかけ続けていると、翌朝も体はどこか戦闘モードの名残を抱えたままスタートすることになります。


ここまで読んで、「まさに自分だ…」と感じた方もいるかもしれません。
ここで、一度よくある疑問も整理しておきます。

Q1. 寝つきがいいなら、睡眠時間が短くても大丈夫ですか?

「短い睡眠時間でも平気」という人も確かに存在しますが、かなり少数派と考えられています。
多くの大規模な調査では、成人の多くは7〜9時間程度の睡眠が心身の健康に望ましいとされています。PubMed+1

朝のだるさ・日中の強い眠気・集中力低下が続く場合、「自分は短時間睡眠タイプだから」と決めつけず、一度睡眠時間そのものを見直してみる価値があります。

Q2. お酒を少し飲むくらいなら、睡眠には良い影響があるのでしょうか?

少量のアルコールでも、睡眠の質に影響する可能性はあります。
とくに、毎晩のように寝る直前まで飲んでいる場合は、REM睡眠の減少や夜間の覚醒回数の増加が起きやすいと報告されています。Nature+1

「量」だけでなく「飲むタイミング」を、就寝の3時間前くらいまでにずらすだけでも、翌朝の感覚が変わる方は多い印象です。

Q3. 深夜スマホを完全にやめるのは難しいです。どこから変えたらいいですか?

いきなりゼロにする必要はありません。
例えば、

  • 「日付が変わる前には画面を閉じる」
  • 「ベッドに入ってからは“見ない”」
  • 「動画は1本だけ、SNSは5分だけ」などルールを決める

といった“マイルドな制限”からでも十分意味があります。

スクリーンを見る時間を少しずつ前倒しし、寝る直前は紙の本や音声コンテンツに切り替えるなど、「脳のギアを落とす」時間を確保していくイメージです。

5. 今日から試せる「寝る前ルーティン」の小さなチューニング

最後に、今日から取り入れやすい工夫をいくつかまとめます。
全部いっぺんにやる必要はないので、「できそうなものを1つ選ぶ」ところからで十分です。

ヒント1:アルコールと食事は“3時間前まで”を目安にする

海外の専門家の間では、
「寝る3時間前には食事とアルコールを終える」
というシンプルなルールがよく紹介されています。Real Simple

消化やアルコール代謝が落ち着いた状態で眠りに入れると、夜中の覚醒や胃もたれ感が減り、深い眠りが入りやすくなります。

  • 平日は難しくても、週に2〜3日だけでも「3時間前ルール」を試してみる
  • どうしても飲みたい日は、量を減らし、時間を早める

といった形でも十分意味があります。

ヒント2:寝る前1時間は「ゆるめの時間」にする

スマホやPCを完全に手放せなくても、「寝る前1時間だけはゆるめる時間」と決めてみるのもひとつの手です。

例えば、

  • 温かい飲み物をゆっくり飲む(ノンカフェイン)
  • 軽くストレッチをする
  • 好きな音楽やラジオを小さめの音で流す
  • 紙の本や雑誌をパラパラ眺める

など、神経のテンションを下げていく行動を選んでみてください。

ヒント3:起きる時間を先に固定する

「寝る時間を早くしよう」と頑張るより、
まずは「起きる時間をなるべく一定にする」ほうがうまくいきやすいことも多いです。

毎日バラバラな時刻に寝起きしていると、体内時計が乱れ、どれだけ長く寝てもスッキリしない状態に傾きやすくなります。
起床時刻をそろえることで、自然と夜の眠気が訪れるタイミングも整ってきます。

ヒント4:完璧を目指さず「1〜2割よくなればOK」と考える

睡眠習慣は、がらりと変えようとすると続きません。
ポイントは、

「朝のスッキリ感が1〜2割でも上がれば成功」

くらいのイメージで、少しずつ調整していくことです。

  • 「寝酒の量を毎晩1杯減らしてみる」
  • 「ベッドの中スマホを“週3日はやめてみる”」
  • 「週末だけでも起きる時間を揃えてみる」

こうした小さな積み重ねでも、数週間〜数か月単位で見れば、体の感覚は変わってきます。


「寝つきはいいのに、朝スッキリしない」の裏側には、からだの構造や神経の働き、体内時計のリズムが複雑に関わっています。
すべてを一気に変えなくても、寝る前の“ちょっとしたクセ”を見直すことで、朝の世界の見え方は少しずつ変わっていきます。

無理なく続けられそうなところから、一緒に整えていきましょう。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

からだトレンドラボを運営している、理学療法士のテラサワです。
病院やクリニックでのリハビリに長く関わる中で、
「もっと早く知っていれば楽になれたのに」という声を
何度も聞いてきました。

このブログでは、からだや健康にまつわる“トレンド情報”を、
医学的な視点でていねいに噛み砕いてお届けします。
難しいことはできるだけやさしく。
読み終わったときに、ちょっとだけ不安が軽くなっていたら嬉しいです。

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