「ついスマホを見ていたら、気づけば23時半」「寝不足ってほどでもないのに、常に本調子じゃない」。そんな感覚が続いているとしたら、それは“ゆるい夜ふかし”が積み重なったサインかもしれません。ここでは、23時過ぎの就寝が続くと、からだの中で何が起きるのか、そしてリズムを無理なくリセットするコツをお話ししていきます。


1. 気づかないうちに積もる「ゆるい夜ふかし疲れ」
「毎日0時過ぎまで起きているわけじゃないし」「6時間くらいは寝ているから大丈夫」と思いながら、なんとなく寝るのが23時〜24時台にズレ続けている方は少なくありません。
相談の中でも、こんな声がよく出てきます。
- 朝起きられないほどではないけれど、常にエネルギーが7割くらいな感覚
- 休日にしっかり寝てもスッキリ感が戻りきらない
- 頭がぼんやりして判断力や集中力が落ちた気がする
一見すると「忙しいから仕方ない」で片付けてしまいがちな状態ですが、からだ側から見ると、
- 睡眠時間そのものが少し足りていない
- 寝るタイミングが体内時計とズレている
この2つがじわじわと積もっているケースが多いです。
特に、日本の成人では6時間未満の睡眠が続くと、心臓病や糖尿病、死亡リスクが高くなるという報告がいくつも出ています。PubMed+1
「一晩くらいなら平気」でも、それが“ほぼ毎晩少しずつ”になると、からだにとっては長期戦。疲れやすさやメンタルの揺れとしてにじみ出てきます。
この記事では、23時過ぎ就寝が続くときにからだの中で何が起きているのかを整理しつつ、「全部は変えられないけれど、ここだけなら変えられるかも」というポイントを一緒に見つけていきましょう。

2. 夜ふかしと「単なる睡眠不足」は少し違う話
「夜ふかし=睡眠時間が短いこと」と思われがちですが、本当はもう少し複雑です。
ポイントは大きく3つあります。
- トータルの睡眠時間
- “寝始める時間”そのもの
- 毎日のリズムのバラつき
睡眠時間だけでは説明しきれない
研究の世界では、「7時間前後」が成人の健康にとって一つの目安とされています。短すぎても長すぎても、心血管疾患や死亡リスクが高くなるという“U字カーブ”の結果が多く報告されています。Nature+1
ただ、最近は**「何時間寝たか」だけでなく、「いつ寝ているか」「日によってどれくらいズレるか」**も、心臓病やメタボリックシンドロームのリスクと関係していると分かってきました。AHA Journals+1
つまり、
- 6.5〜7時間寝ているつもりでも
- 寝るのが毎日24時〜1時にズレていたり
- 平日と休日で就寝時間が2〜3時間違っていたり
こうした「リズムの乱れ」自体が、からだにとってはストレスになる、ということです。
「夜ふかし×光」が体内時計をずらしていく
夜ふかしをすると、多くの人はスマホやテレビの光を浴びています。明るい光は、本来なら夜になると出てくるはずの睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌を遅らせ、体内時計を夜側に押しやります。PMC+1
その結果、
- 寝つきが悪くなる
- 眠り始めが浅くなりやすい
- 朝すっきり起きづらくなる
「睡眠時間は一応確保しているのに、疲れが取れた感じがしない」という方は、この**“体内時計ごと夜型に寄ってしまっている”**可能性があります。
「夜ふかし体質」だから仕方ない?
もともと夜型寄りの体質(クロノタイプ)の人もいますが、最近の研究では、夜型の人ほど心血管系のリスクが高くなりやすいという報告も出ています。UCnet+1
生まれつきのリズムはありますが、
- 就寝時間を30分〜1時間だけ早めてみる
- 朝にきちんと光を浴びる
といった行動で、体内時計は少しずつ“社会側”に寄せていくことができます。完全に朝型になる必要はなく、「今よりちょっとマシな位置に寄せる」だけでも、からだの感覚は変わっていきます。

3. 夜ふかしが自律神経・ホルモン・からだのリズムに与える影響
ここからは、「構造」「神経」「感覚」の3つのレイヤーに分けて、夜ふかしがどんなふうにからだに響くのかを見ていきます。
神経・ホルモンのレイヤー:24時間の“指揮者”がバタバタする
私たちのからだには、24時間のリズムを刻む体内時計があります。脳の中枢(視交叉上核)が“指揮者”のような役割を担い、
- 自律神経(交感神経・副交感神経)
- ホルモンの分泌(メラトニン、コルチゾールなど)
- 体温や血圧の変動
を、時間帯ごとに微妙に変化させています。
本来は、
- 夜:副交感神経優位、心拍や血圧が下がり、メラトニンが増える
- 朝〜日中:交感神経優位、血圧・体温が上がり、活動モードへ
といった流れになります。
ところが、23時を過ぎても明るい光を浴び続け、スマホで情報を見続けていると、
- 「まだ昼間かな?」と脳が勘違いする
- 副交感神経モードへの切り替えが遅れる
- 眠り始めても、交感神経がなかなか静まらない
こうして、「眠っているつもりなのに、からだはちゃんと休息モードに入りきれていない」状態が生まれます。
短時間睡眠や夜ふかしが続くと、インスリンの働きや血糖コントロールが乱れ、2型糖尿病のリスクを約30%高めるという報告もあります。PLOS+1

構造のレイヤー:筋肉・関節も“夜ふかし姿勢”に引きずられる
夜ふかしの多くは、
- ベッドに入る前のソファでのスマホ
- 布団に入ってからのうつ伏せ・横向きスマホ
- 仕事や作業をしている前のめり姿勢
とセットになっていることが少なくありません。
このとき、
- 頭が前に出た姿勢
- 胸が丸まった猫背
- 肩から首にかけての筋肉の緊張
が長時間続きます。
本来なら、夜は「からだを投げ出して休める時間」です。ところが、寝る直前まで前かがみ姿勢が続くと、筋肉や関節にも“活動モードのクセ”が残ったまま眠りに入ることになります。
すると、
- 寝返りのたびに首や肩に負担がかかる
- 朝起きたときに、背中や腰のこわばりが強い
- 「寝ても疲れが抜けない」感覚が続く
という状態になりやすいです。これは単なる睡眠時間の問題というより、**「休む時間帯に、休める姿勢を取れていない」**ことが大きく関係しています。

感覚のレイヤー:からだの“調子の基準”がじわじわズレる
ゆるい夜ふかしが続くと、多くの方がこう言います。
「これが自分の普通だと思っていた」
- 朝からエンジンがかかるまで時間がかかる
- 仕事の後半にガクッと集中力が落ちる
- 休日も“積極的に動きたい”感じにはなりにくい
この状態が長く続くと、からだの中で
- 「今のこの状態が標準」という誤った“基準”
- 疲れやすさやイライラを「性格」と勘違いする感覚
が徐々に固まっていきます。
研究レベルでも、睡眠不足や夜型の生活は、うつや不安のリスクを高めることが指摘されています。vzinfo.nl+1
つまり、“夜ふかし疲れ”は、からだだけでなく心の元気にも少しずつ影響するということです。
ここまで読むと不安になるかもしれませんが、良いニュースもあります。体内時計は「変えられないもの」ではなく、少しの習慣の変更で、じわじわと“戻っていく力”を持っているという点です。
4. 23時過ぎ就寝になりやすい生活パターンと、その積み重ね
ここからは、「つい23時過ぎまで起きてしまう人」に多いパターンをいくつか挙げてみます。
当てはまるものがあれば、「ダメな生活」ではなく**“からだが夜ふかし方向に引っ張られる要因”**として眺めてみてください。
パターン1:仕事・家事が22時以降まで食い込む
- 夕方〜夜にかけてやることが多く、21〜22時が一日のピーク
- 夕食が遅く、片づけや家事が終わると22時過ぎ
- そこから「やっと自分時間」とスマホや動画に手が伸びる
からだとしては、21〜22時頃にはそろそろ副交感神経にバトンを渡したい時間帯です。そこに「一日のハイライト」が重なると、交感神経モードのまま23時を越えやすくなります。
パターン2:入浴が遅く、寝る直前までスマホ
- 帰宅が遅く、入浴が23時近く
- お風呂から上がったあと、SNSやニュースをチェック
- 気づけば24時前後
入浴直後は体温が上がり、その後ゆっくり下がることで眠気が出てきます。本来は「就寝の1〜2時間前入浴」が理想とされていますが、入浴が遅いと、体温のリズムと寝る時間が合わなくなるため、寝つきが悪くなりやすいです。vzinfo.nl
さらに、湯上がりに明るい画面を見続けると、メラトニン分泌が遅れ、睡眠リズムはさらに夜側へ寄っていきます。
パターン3:寝る前の「脳のご褒美時間」が長くなりすぎる
- ベッドに入ったのは22時半だけれど、そこから動画・漫画・SNS
- 「あと1本だけ」が「気づいたら1時間以上」に変わっている
- 頭の中は情報でパンパンのまま眠りに落ちる
脳にとって寝る前の刺激は、“今日一日の情報の上乗せ”のようなものです。楽しいコンテンツでも、
- 感情が揺さぶられる
- 画面の光で覚醒度が上がる
といった形で、交感神経にスイッチを入れ直してしまいます。

少し視点を変えると見えてくるもの
これらのパターンは、どれも「意志が弱いから夜ふかししている」のではなく、
- 生活の時間割
- 夕方以降のタスクの詰め込み方
- 1日の中での“自分の時間”の置き場所
が、たまたま“夜ふかし側”に寄っているだけとも言えます。
「23時過ぎ就寝をやめる」というゴールから逆算して、
- 1日のどこに“自分時間”を少しだけ前倒しできるか
- どのタスクを翌日に回しても大丈夫か
を整理していくことで、少しずつリズムを戻していくことができます。
Q1. 23時過ぎ就寝でも、7時間寝ていれば問題ないですか?
「23時半に寝て7時半に起きているから、睡眠時間は足りている」と感じる方もいると思います。
確かに、トータルの睡眠時間としては悪くありません。ただ、研究では**「睡眠時間は足りていても、就寝時間が遅い人は血糖や代謝に悪影響が出やすい」**という報告もあります。EatingWell+1
また、朝に十分な光を浴びられない生活(出勤が遅い・カーテンを閉めたままなど)の場合、体内時計がどんどん夜側へ寄ってしまうことも。
できれば「23時台前半までに布団に入る日を少し増やす」ことを、一つの目安にしてみてください。
Q2. 平日は23時過ぎ就寝でも、休日に寝だめすれば大丈夫?
休日に少し長めに寝ることで、短期的には疲れが取れた感覚は出ると思います。
ただ、「平日と休日で就寝・起床時間が2〜3時間以上ズレる」状態は、いわゆる**“社会的時差ボケ(ソーシャルジェットラグ)”**と呼ばれ、肥満や糖代謝の乱れ、心血管リスクとの関連が指摘されています。AHA Journals+1
休日の寝だめは、
- 「平日より1時間長く寝る」くらい
- 起床時間を大きくズラさない
といった範囲にして、リズム全体を壊しすぎないことがポイントです。

Q3. どのくらいつらくなったら、受診を考えた方がいいですか?
目安としては、
- 日中の強い眠気で仕事・運転に支障が出ている
- いびきがひどく、呼吸が止まっていると言われる
- 夜の不眠とともに、不安感や気分の落ち込みが強い
といった場合は、一度医療機関で相談する価値があります。
特に、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害が隠れているケースでは、自己流の対策だけでは限界があります。「なんとなく夜ふかし」と思っていたら、実は別の問題が絡んでいた、ということもあるからです。
そのうえで、「検査で大きな異常はないけれど、なんとなく本調子じゃない」というゾーンにいる方は、生活リズムの微調整が大きな意味を持ってきます。
5. いきなり完璧を目指さない“リズムリセット”のヒント
最後に、「全部は無理だけれど、これくらいならできそう」という現実的なポイントをいくつか挙げてみます。
ヒント1:まずは「23時をまたがない日」を週2〜3日つくる
毎日いきなり22時就寝に変えようとすると、ほぼ間違いなく挫折します。
代わりに、
- 週に2〜3日だけ「23時前には布団に入る」日を決める
- その日は、21時以降に新しいタスクを増やさない
といったルールから始めてみてください。「からだにリズムのサンプルを覚えさせる」イメージです。
ヒント2:寝る1時間前を「脳のクールダウン時間」にする
就寝前1時間は、
- 画面を見る時間を減らす(通知オフ・ブルーライトカットも一案)
- 本を読む・ストレッチをする・温かい飲み物を飲む
など、刺激が少ない行動に置き換えてみます。
この“クールダウン時間”をつくるだけで、寝つきが良くなったり、翌朝の頭の重さが和らいだりする方は多いです。
ヒント3:朝の光とからだの動きをセットにする
体内時計は「光」と「からだの動き」によってリセットされます。
- 朝起きたらカーテンを開けて、顔に日光を当てる
- 5〜10分でいいので、背伸びや簡単な体操でからだを動かす
これだけでも、「今日のスタート時間」が脳に刻まれ、夜の眠気が少し早くやってきやすくなります。明るい朝の光が、夜ふかしで後ろにズレた体内時計をゆっくり前に引き戻してくれます。The Times of India+1
「ちゃんとしなきゃ」と思うほど、夜の自分時間にしがみつきたくなることもあると思います。
それでも、23時過ぎの“ゆるい夜ふかし”を、週に数回だけでも短くすることは、からだにとってかなり大きなプレゼントです。
完璧な朝型を目指す必要はありません。
「昨日より5分だけ早く布団に入る」「今日は23時前にスマホを置いてみる」
そんな小さな選択の積み重ねが、数週間後の“本調子に近い自分”につながっていきます。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事があなたのより良い生活のための一助になりますように。
