仕事中ずっと眠い・集中できない… ~デスクワーク世代の“脳と自律神経の疲れ方”整理帳~

パソコン作業中にあくびをしながら頭を抱えているデスクワーカーが、仕事中の眠気と集中力低下に悩んでいる場面

「朝からエンジンがかからない」「オンライン会議の途中で意識が遠のく」「夕方には頭がまったく回らない」。
そんな“仕事中ずっと眠いモード”が続くと、自分の根性や性格のせいにしたくなりますよね。この記事では、在宅勤務・オンライン会議・マルチタスク・通知の多さなど、今の働き方ならではの要素が、脳と自律神経・目・血流にどう影響しているのかを、やさしく整理していきます。読み終わる頃には、「だから眠くなるのか」と少し仕組みが見えて、「とりあえずここから変えてみよう」が見つかるはずです。


目次

1. 「一日じゅう眠い・頭が回らない」という相談が本当に増えている

ここ数年でよく耳にするのが、こんな声です。

  • 「デスクに座った瞬間から、もう眠い」
  • 「オンライン会議のあと、しばらく何も考えられない」
  • 「夕方になると、資料の文字を追っているだけで精一杯」

在宅勤務やハイブリッド勤務が定着し、パソコンやスマホの画面と向き合う時間は、じわじわと長くなりました。通勤が減ってラクになったはずなのに、日中の眠気や集中力の続かなさは、むしろ強くなっている人も多い印象です。

現場の感覚としては、

  • 睡眠時間はそこまで短くないのに、とにかく日中ずっとぼんやりする
  • 検査をしても“病気”とまでは言われないが、仕事のパフォーマンスは落ちている
  • 休日もスマホや動画で脳を休ませる時間が少ない

といった、「はっきり“異常”とまでは言えないけれど、明らかにしんどい状態」が続く人が増えています。

こうした日中の眠気は、気合い不足や甘えだけでは説明がつきません。
脳・目・血流・自律神経、それぞれに小さな負担が重なっていき、気がつくと“眠気ループ”の中に入り込んでいることが少なくないのです。

この記事では、そのループの中身をいったん分解して、「どこから手をつけるとラクになりやすいか」を一緒に眺めていきます。


2. 「仕事中の眠気・集中できない」は根性の問題ではなく、からだのサイン

「社会人なんだから眠いなんて言っていられない」「昔は徹夜しても平気だったのに」と、自分にムチを入れ続けてしまう人は少なくありません。

けれども、脳や自律神経の視点で見ると、仕事中の眠気や集中力低下は「サボっている証拠」ではなく、「今の負荷に対して脳やからだがオーバーワーク気味ですよ」というサインに近いものです。

日中の眠気には、いくつかのレイヤーがあります。

  • 単純な睡眠不足(寝る時間が短い・浅い)
  • 単調な作業による「覚醒度」の低下
  • 脳への情報量が多すぎることによる脳疲労
  • 目や首・肩の疲れからくる頭の重さ
  • 座りっぱなし・血流低下によるぼんやり感

もちろん、「睡眠時無呼吸症候群」や「ナルコレプシー」など、専門的な診断が必要になる病気が隠れているケースもあります。ただ、多くのデスクワーカーは、病気というより「働き方とからだのバランスが崩れている」状態で悩んでいる印象です。

ざっくり言えば、
「脳と自律神経が、オンになりっぱなしの場所とオフになりっぱなしの場所に分断されている」
ようなイメージに近いかもしれません。

  • 脳は常に通知・情報・人間関係に反応してフル回転
  • 目とからだは、同じ姿勢・同じ画面のまま、動かずに固まっている

このアンバランスが一定期間続くと、「眠いのに、ちゃんと休めていない」という、やっかいな状態に入りがちです。


3. 脳・目・血流・自律神経で、実際に何が起きているのか

ここからは、「仕事中ずっと眠い・集中できない」とき、からだの中ではどんなことが起きているのかを少し具体的に見ていきます。

脳の「覚醒スイッチ」と睡眠負債

私たちの脳には、睡眠と覚醒を切り替えるスイッチのような仕組みがあります。視床下部や脳幹の一部が、眠りの神経と目覚めの神経を互いに制御していて、そのバランスで「今は寝るモードか、仕事モードか」が決まります。

覚醒を支える物質のひとつに「オレキシン」という神経伝達物質があり、これは交感神経を刺激して、注意力を高める役割を持つとされています。リクルートワークス研究所

ところが、睡眠時間が短かったり、睡眠の質が悪い状態が続くと、この覚醒システムがうまく働きません。
ある研究では、17時間連続で起きていると、アルコールを飲んで血中濃度が0.05%になっている時と同じ程度まで、判断力や注意力が落ちると報告されています。CDCブログ

さらに、中小企業庁の情報サイトでも「十分な睡眠は仕事の判断力や正確性と深く関わっている」とされ、睡眠不足が続くと業務のパフォーマンスが確実に落ちると指摘されています。J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

つまり「仕事中に眠い・ぼーっとする」は、性格ではなく、脳が物理的に“減速モード”に入ってしまっている可能性が高いのです。

画面を見続ける目と、そこからくる脳への負担

デスクワークでは、どうしてもパソコンやスマホを凝視する時間が増えます。
近い距離の画面を見続けると、ピントを調節する筋肉や、眼球を動かす筋肉が働きっぱなしになります。

日本産業衛生学会が作成した「自覚症しらべ」という尺度を使った研究では、VDT作業(パソコン作業など)が続くと、「ねむけ感」「だるさ感」「ぼやけ感」などの眼精疲労の自覚症状が高まることが示されています。J-Stage

また、画面作業が多い人に対して、目の周りを温める「蒸しタオル」などのケアを行うと、疲れ目の訴えや視機能の低下が軽くなったという報告もあります。JSOMT

目が疲れると、「目だけ」の問題では終わりません。
ピントが合いづらくなると脳は情報を処理するのに余計なエネルギーを使うため、同じ作業をしていても、どんどん消耗しやすくなります。結果として、頭の重さやぼんやり感、集中しづらさにつながっていきます。

座りっぱなしが血流と脳のクリアさを奪う

「座りすぎはよくない」と聞いたことがある方も多いと思います。

医療系のコラムでは、長時間座位が続くと、

  • 足の筋力低下 → 代謝の低下・疲れやすさ
  • ふくらはぎのポンプ機能低下 → 下半身の血流停滞・むくみ・血栓リスク
  • 大腿四頭筋が動かない → 糖や脂質の代謝が落ち、生活習慣病リスクの上昇

などが起こると説明されています。西生会

さらに、「テレビ視聴時間が長いほど死亡率が上がる」という大規模調査から、「1時間座ると平均余命が22分縮む」というショッキングな計算結果が導かれた報告もあります。公益財団法人老年病研究所附属病院

ここで大事なのは、「座ることそのものが悪」というより、
「動かない時間がずっと続くこと」が、血流や代謝にとって大きな負担になる
という点です。

足が動かないと、心臓に戻る血液の流れも落ちます。全身の循環が滞ると、脳に送られる酸素や栄養もやや不足ぎみになり、いっそう頭がボーッとしやすくなります。

情報量とストレスで、自律神経が“途切れなくオン”

現代のデスクワークでは、メール・チャット・SNS・社内ツールなど、さまざまな通知が一日じゅう鳴り続けています。
そのたびに注意が引きはがされ、マルチタスク状態が続くと、脳は「常に軽い警戒モード」のような状態になります。

この状態では、自律神経のうち「交感神経」が優位になりやすく、心拍が少し上がったり、筋肉の緊張が抜けにくかったりします。本来であれば、タスクがひと段落したところで「副交感神経」が働き、からだが緩んでくるはずなのに、次の通知・次の会議がすぐにやってくるため、オンとオフの切り替えがうまくいきません。

結果として、

  • 夜になっても脳が“仕事モード”を引きずる → 睡眠の質が下がる
  • 日中は眠いのに、いざ寝ようとすると頭が冴える
  • 寝不足 → 仕事中の眠気 → 集中できない → 残業や持ち帰り仕事 → さらに寝不足…

という、典型的な“眠気ループ”が完成してしまうわけです。


4. 在宅勤務・オンライン会議・マルチタスク…「ありがちな働き方」と眠気ループのつながり

ここからは、よくある働き方のパターンをいくつか取り上げて、「どこで脳と自律神経に負担がかかっているのか」をつなげてみます。

パターンA:朝から夕方まで、座りっぱなし&画面を見っぱなし

  • 朝イチからオンライン会議
  • その後は資料作り・メール返信・チャット対応
  • 気がついたら、ほとんど立ち上がっていない

このパターンでは、

  • 目:近い距離の画面にピントを合わせ続ける → 眼精疲労
  • 足・骨盤周り:筋肉がほぼ動かない → 血流停滞・むくみ
  • 腰・首:同じ姿勢の固定 → コリ・痛み → さらに集中しづらい

という「じわじわ型の疲れ」が重なります。
頭が重い・体がだるい状態で仕事を続けるため、脳は余計なエネルギーを使い、眠気も強くなりがちです。

パターンB:在宅勤務で、オン・オフの境目があいまい

  • 朝起きてすぐPCを開く
  • 仕事の合間に家事やSNSを挟む
  • 夜もダラダラとメールやチャットを確認し続ける

一見すると、すき間時間をうまく使えているように見えますが、脳にとっては「仕事モードが終わるタイミング」が見つけづらい働き方です。

自律神経のリズムは、ある程度“パターン”で動いています。
毎日バラバラな時間に仕事を始め・終え、終業後も通知をチェックし続けると、交感神経がじわじわ優位な時間が長くなり、夜になっても頭が静まりにくくなります。

その結果、

  • 寝つきが悪い
  • 夜中に何度も目が覚める
  • 休日もぐっすり寝た感覚がない

という、睡眠の質の低下につながりやすくなります。睡眠の質が下がれば、そのツケは日中の眠気・集中力低下として返ってきます。

パターンC:通知とマルチタスクで、脳が常に“フル回転”

  • メール・チャット・電話・タスク管理ツールが一日じゅう鳴る
  • 作業中に、ついSNSやニュースもチェックしてしまう
  • 会議中も別の資料やチャットを見ている

このパターンでは、「今、何に集中しているのか」が自分でも分かりづらくなっていきます。

脳は、タスクを切り替えるたびに「今どこまでやっていたか」を思い出す必要があり、切り替えコストがかかります。これが何十回・何百回と積み重なると、単純に時間を使った以上に疲れやすくなり、結果として「何もしていないのに疲れた」と感じやすくなります。

私自身も、作業中に通知を切っているつもりが、ついブラウザのタブを増やしすぎて頭がパンパンになることがあります。人間の脳は、そんなにたくさんのことを同時にさばけるようにはできていない、という前提に立ったほうがラクです。


Q&A:仕事中の眠気・集中力低下について、よくある疑問

Q1. どのくらいの眠気が続いたら、医療機関の受診を考えたほうがいいですか?

「前日かなり遅くまで起きていた」「一時的に忙しい時期」など、理由がはっきりしている眠さは、生活リズムを整えつつ様子を見ることも多いです。

一方で、

  • きちんと7時間前後寝ているのに、日中に何度も意識が飛びそうになる
  • 車の運転中や会議中など、危険な場面で強い眠気に襲われる
  • いびきがひどい・夜間に何度も息が止まっていると言われる

といった場合は、「睡眠時無呼吸症候群」などが隠れていないか、一度専門の医療機関に相談したほうが安心です。目安として、2〜3週間以上、原因が思い当たらない強い眠気が続く場合には、受診を検討してみてください。

Q2. コーヒーやエナジードリンクで眠気をごまかすのは、やっぱり良くないですか?

カフェインは、短期的には眠気を軽くして集中力をサポートしてくれる頼もしい存在です。
ただし、

  • 夕方以降のカフェイン → 夜の寝つきを妨げる
  • 何杯も“重ね飲み”する → 心拍数の増加・不安感の悪化

といったデメリットもあります。

個人的には、午前中に1〜2杯まで、午後はデカフェやお茶に切り替える、といった使い方がおすすめです。眠気をごまかすために量を増やすのではなく、「カフェイン以外のリセット行動(立ち上がる・外の空気を吸う・目を休める)」もセットにするイメージを持てると、悪循環に入りにくくなります。

Q3. 昼寝をすると夜眠れなくなりそうで不安です。日中の仮眠はしても大丈夫でしょうか?

**20〜30分程度の短い仮眠(パワーナップ)**であれば、多くの研究で「眠気の軽減」「作業効率アップ」にプラスの影響があるとされています。

ポイントは、

  • 長く寝すぎない(30分以内を目安にする)
  • 夕方遅い時間は避け、できれば15時ごろまでにする
  • 横になれなくても、目を閉じて静かに休むだけでもOK

という3つです。
「しっかり寝よう」と力むより、「目と脳をいったんオフラインにする時間」と考えたほうがうまくいきやすいです。


5. 今日から試せる「脳と自律神経」のリセット習慣

最後に、仕事中の眠気ループから少し抜け出すために、今日からでも取り入れやすい行動のヒントをいくつかまとめます。全部やろうとしなくて大丈夫です。できそうなものから1つずつ試してみてください。

行動のヒントイメージ・ポイント
60〜90分ごとに「2分だけ立ち上がる」トイレや給湯スペースに行くついでに、かかとの上げ下げや軽いストレッチを行う。ふくらはぎや太ももを動かすことで、血流がリセットされ、頭のぼんやり感も軽くなりやすい。長時間座位が血流や代謝に悪影響を与えることは、さまざまな報告でも指摘されています。西生会
タスクを「今はこれだけ」に絞る時間をつくる通知をいったんオフにして、15〜25分ほど「この作業だけに向き合う時間」を確保する。マルチタスク状態から抜けるだけでも、脳の切り替えコストが減り、終わったあとの疲労感が違ってくる。
目のピントを遠くに飛ばす習慣仕事の切れ目に、窓の外の遠くの景色や天井の角など、3〜5m以上先のポイントをぼんやり眺める。近くの画面に固定されていたピントをリセットすることで、眼精疲労からくる頭重感が少し軽くなりやすい。必要に応じて、蒸しタオルやホットアイマスクで目を温めるのも良い。JSOMT
退勤後1時間は「脳のクールダウンタイム」にする仕事が終わってすぐにSNSやニュースを追い続けるのではなく、あえて“情報を入れない時間”を意識的につくる。ストレッチ・お風呂・散歩など、からだの感覚に意識を向ける時間を挟むことで、交感神経から副交感神経へ切り替わりやすくなり、夜の睡眠の質にもつながる。

どれも劇的な裏ワザではありませんが、「座りっぱなし・見っぱなし・考えっぱなし」の時間を、ところどころで断ち切ってあげることが、脳と自律神経にとってはとても大きな意味を持ちます。

仕事の量をいきなり減らすことは難しくても、

  • 座りっぱなしを、ちょっと分断する
  • 画面を見っぱなしを、ちょっと分断する
  • 考えっぱなしを、ちょっと分断する

この3つが少しずつ積み重なっていくと、「仕事中ずっと眠い」「何をしても頭がクリアにならない」という状態から、じわじわと抜け出しやすくなります。

完璧にできなくても大丈夫です。今日は「いつもより一回多く立ち上がってみた」「退勤後30分はスマホを触らなかった」など、小さな変化を自分で認めてあげることも、からだと心にとって大事な栄養になります。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事があなたのより良い生活のための一助になりますように。

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この記事を書いた人

からだトレンドラボを運営している、理学療法士のテラサワです。
病院やクリニックでのリハビリに長く関わる中で、
「もっと早く知っていれば楽になれたのに」という声を
何度も聞いてきました。

このブログでは、からだや健康にまつわる“トレンド情報”を、
医学的な視点でていねいに噛み砕いてお届けします。
難しいことはできるだけやさしく。
読み終わったときに、ちょっとだけ不安が軽くなっていたら嬉しいです。

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