マンジャロで“空腹を忘れた”あとに 〜食欲が戻ったときの戸惑い・だるさ・罪悪感との付き合い方〜

マンジャロを卒業して食欲が戻り、体重の増え方やだるさに戸惑いながらも、これからの付き合い方を考えている大人の人のイメージ

「マンジャロを打っている間は、お腹が空く感覚をほとんど忘れていたのに、やめたら急に“普通以上の食欲”が戻ってきて怖い」。
そんな声が、ここ最近とても増えています。食欲が戻ると、体重の数字も少しずつ動き始めて、「せっかく頑張ったのに」「自分はやっぱりダメなんだ」と落ち込んでしまいやすいところ。この記事では、マンジャロ卒業後の食欲の変化やだるさ、罪悪感との付き合い方を、からだと心の両方の視点から整理していきます。


目次

1. 「マンジャロをやめたら食欲が戻った…」という戸惑い

マンジャロや他のGLP-1系の薬を使った方から、よくこんな話を聞きます。

  • 打っているあいだは「食べたい」気持ちそのものが弱まっていた
  • 食事量を意識しなくても体重がするする落ちていった
  • やめた途端、空腹感が一気に戻ってきて不安になった

特に、「マンジャロ 食欲 戻った」という検索をする方の多くは、

  • 前よりも食欲が強く感じられる
  • 食べたあとに強い後悔や罪悪感が出る
  • 体重計に乗るのが怖くなり、現実から目をそらしたくなる

こうした状態でひとり悩んでいることが少なくありません。

実際、チルゼパチド(マンジャロの有効成分)を途中でやめた人の多くが、1年以内に減量した体重のかなりの部分を取り戻してしまう、という臨床試験の結果も報告されています。PubMed+1
GLP-1受容体作動薬全体をまとめた解析でも、休薬後1年ほどで失った体重の半分以上を回復してしまうパターンが多いとされています。ランセット+2PMC+2

こう聞くと落ち込んでしまうかもしれませんが、ここで大事なのは「自分だけが意思が弱いわけではない」ということ。
薬をやめたあとに食欲が戻りやすいのは、からだの仕組みとして“ごく自然な反応”でもあるのです。

この記事では、

  • なぜマンジャロ卒業後に食欲が戻りやすいのか
  • だるさやメンタルの揺れとどう付き合うか
  • リバウンドを「ゼロ」にできなくても、自分を守るためにできること

を、一つずつ整理していきます。


2. マンジャロと「卒業後」のイメージのギャップ

まず、世の中で語られがちなイメージを少し整えます。

「一度痩せたらそのまま」が期待されやすい

SNSや広告では、

  • 「○kg減りました!」というビフォーアフター写真
  • 「空腹感がなくなってラクに痩せた」という体験談

が目に入りやすく、どうしても「一度痩せれば、そのあとはなんとかなるのでは」という期待が生まれます。

一方で、実際の大規模試験では、

  • チルゼパチドを約36週間続けると、平均で体重の2割前後が減る
  • そのあと薬を継続したグループは、さらに体重が減り続けた
  • 途中で中止したグループは、1年のあいだに減った体重の多くを再び増やした

といった結果が報告されています。PubMed+2ジャーナルネットワーク+2

つまり「効いているあいだは強力に食欲を抑えるが、やめるとからだは元の状態に戻ろうとする」というのが、現実に近い姿です。

日本でのマンジャロの位置づけ

日本では、マンジャロはもともと「2型糖尿病の治療薬」として承認されています。肥満症や美容目的での使用は保険適用外で、自費診療として扱われるのが現状です。《公式》品川イーストクリニック〖品川駅港南口直結徒歩5分〗+3CLINIC FOR (クリニックフォア) 内科・アレルギー科・皮膚科+3丹野内科+3

海外では肥満症の治療薬として承認されている国もありますが、いずれにしても「慢性疾患に使う長期薬」という発想がベースにあります。
アメリカ糖尿病学会などのガイドラインでも、GLP-1系の薬は生活習慣の見直しとセットで、長期的な体重管理に用いる薬として位置づけられています。糖尿病ジャーナル+1

「短期で痩せる魔法の薬」というより、「糖尿病や肥満という慢性の病気と付き合い続けるためのツール」。
この前提を知っておくと、「やめたら食欲が戻った自分」を責めすぎずに済みます。

ざっくり言うと

  • マンジャロを含むGLP-1系の薬は、“飲んでいるあいだ”に強く効く
  • やめたときに食欲や体重が戻りやすいことは、研究でも確認されている
  • 「自分の意思が弱いから」だけで起きている現象ではない

ここを押さえたうえで、からだの中で何が起きているのかを見ていきましょう。


3. マンジャロ卒業後、からだの中で何が起きているのか

GLP-1/GIPが効いているときのからだ

マンジャロ(チルゼパチド)は、GLP-1とGIPという2種類のホルモンに似た働きをする薬です。
これらは腸から分泌される「インクレチン」と呼ばれるホルモンで、主に次のような作用があります。NCBI+1

  • 血糖が上がったときにインスリンの分泌を助ける
  • 胃の動きをゆっくりにして、満腹感を長持ちさせる
  • 脳に働きかけて、「もう十分食べた」という感覚を強める

イメージとしては、
「お腹の中のごはんをゆっくり送り出しつつ、脳の“満腹メーター”を上げる薬」
のような働きをしています。

そのため、使用中は

  • そもそもの食欲が弱まる
  • 量を食べなくても満足しやすくなる
  • 食べもののことを考える時間が減る

といった変化が起こりやすいのです。

やめたあとの“反動”は、からだの防御反応でもある

マンジャロを中止すると、この「満腹メーターを底上げする仕組み」がスッと外れます。
すると今度は、

  • 胃の動きが元のスピードに戻る
  • GLP-1の作用が弱まり、「満腹の持続時間」が短くなる
  • 逆に、空腹を促すグレリンなどのホルモンが目立ちやすくなる

といった変化が起きます。

体重が大きく減ったあと、からだは「エネルギーが足りない状態だ」と判断しやすくなります。
いくつかの研究では、GLP-1系の薬を中止したあと、平均5〜6kg程度の体重増加が数カ月〜1年のうちに起こった、というデータも報告されています。ランセット+2PMC+2

これは「意思が弱いから」というより、

からだが“元の自分”に戻ろうとする、防御反応の一種

と考える方が、実態には近いです。

脳の「報酬系」は、しばらく混乱する

もうひとつポイントになるのが、「食べることの快感」と関係する脳の仕組みです。

  • マンジャロ使用中は、食べものに対する“ときめき”のボリュームが下がる
  • 高カロリーなものを見ても、「まあいらないかな」と思いやすくなる

そんな状態が続くと、脳は「食べ物から得られる快感」が小さい世界に慣れていきます。

ここで急に薬をやめると、

  • 本来の味覚や香りへの感受性が、ぐっと戻る
  • 少し食べただけで、「うわ、すごくおいしい」と感じる
  • 「もっと食べたい」という欲求が、一気に強く出ることがある

このギャップが、「食欲が爆発してしまった」「スイッチが入った感じがする」という体験につながります。

だるさやメンタルの揺れも、“からだが慣れようとしている途中”のサイン

マンジャロ卒業後に多い訴えとして、

  • 前よりもだるくなった気がする
  • 眠気や倦怠感が増えた
  • 食べたあとに自己嫌悪が強まり、メンタルが不安定になる

といったものがあります。

これは、

  • 体重や血糖が短期間で大きく動いたこと
  • 食事量・血糖の変動パターンが変わったこと
  • 「痩せていた自分」を基準にしてしまい、今の自分を受け入れにくいこと

などが重なって起きやすい状態です。
とくに、体重が再び増えてくると、血圧・血糖・脂質などの値も、治療前に近づいてしまうことが報告されています。ジャーナルネットワーク+2PMC+2

ただ、これは「リバウンドしたから健康がすべて台無し」という意味ではありません。
ここから生活習慣や心の持ち方を少しずつ整えることで、「全部戻らないライン」をつくることはじゅうぶん可能です。


4. 生活パターンと“戻ってきた食欲”の付き合い方

ここからは、よくある生活パターンと、マンジャロ卒業後のからだ・心の反応を重ねてみます。

パターン1:マンジャロ中「食べない+動かない」で痩せたケース

薬がよく効いているときは、

  • 食べる量が減る
  • それだけで体重が落ちていく
  • 「運動は苦手だから、今はいいか」と後回しにしがち

という状態になりやすいです。

このまま卒業を迎えると、

  • 以前と同じような食事量に戻る
  • でも活動量は増えていない
  • 結果として、体重が増えやすい土台が残ってしまう

という流れになりやすくなります。

パターン2:ストレスが強い時期にマンジャロを始めたケース

仕事や家庭のストレスが強いときに薬を始めると、
「食べて発散する」ルートがたまたま塞がれているだけ、ということもあります。

卒業後、

  • ストレスはあまり変わっていない
  • 食欲だけが元に戻る
  • 以前よりも“やけ食い”に近いパターンが出てくる

という形で、「ストレス×戻ってきた食欲」が掛け算になってしまうこともあります。

パターン3:数字だけを見て、からだの感覚を置き去りにしてきたケース

減量中は、

  • 体重グラフ
  • 服のサイズ
  • 人からの「痩せたね」という言葉

など、外側の指標ばかりに意識が向きがちです。

この状態で卒業すると、

  • 体重が少し戻るだけで、「失敗した」と感じやすい
  • お腹の空き具合や、「今日はよく歩けた」などの感覚に意識を向けづらい
  • 「どうせ全部戻るんだ」というあきらめに近い感情が強くなる

そんなサイクルに入りやすくなります。

少し視点を変えると、行動も変えやすい

行動を大きく変える前に、まず「ものの見方」を一段やわらかくするだけでも、からだの負担は減らせます。

  • 体重は「直線」ではなく「波」を描くもの
  • マンジャロ中の“最低体重”を、一生の基準にしなくていい
  • 「太った/痩せた」の白黒ではなく、「前よりからだが楽になっているところ」も探す

このような見方に切り替えるだけでも、「どうせ全部戻る」という絶望感は少し薄くなります。

生活習慣と体重の関係を示した研究から言えること

生活習慣と体重の関係を追いかけた研究では、「完璧な食事・完璧な運動」よりも、

  • 夜更かしを少し減らす
  • 歩く時間を1日10〜15分増やす
  • 清涼飲料水を“毎日”から“2日に1本”に減らす

といった“小さな変化”を積み上げた人の方が、長期的に体重や血圧を安定させやすい、という報告もあります。糖尿病ジャーナル+1

「戻ってきた食欲」をゼロに抑え込むより、

“前より少しからだにやさしい選択”を、できる範囲で積み重ねる

ことの方が、結果としてリバウンドをゆるやかにしてくれます。


Q&A:マンジャロ卒業後によくある疑問

Q1. マンジャロをやめたら食欲が戻るのは「失敗」なのでしょうか?

失敗というより、「薬が効いていたあいだのブレーキが外れた結果」と考えた方が実態に近いです。
GLP-1系の薬をやめたあと、多くの人が体重の一部を取り戻してしまうことは、複数の臨床試験や解析で示されています。ジャーナルネットワーク+2ランセット+2
大切なのは、「全部戻さないために、ここから何を積み上げるか」という視点です。

Q2. 体重がどのくらい戻ったら、医師に相談した方がいいですか?

目安のひとつとして、

  • 元の体重に近づいてきた
  • 血糖値・血圧・コレステロールなどの検査値が悪化してきた
  • だるさや息切れが強くなって、日常生活に支障が出ている

といった変化がある場合は、一度かかりつけ医に相談してほしいところです。
特に糖尿病や高血圧がある場合は、「体重」だけでなく血糖・血圧のコントロールも含めて、もう一度治療計画を整理してもらうのがおすすめです。

Q3. もう一度マンジャロを使うかどうか、どう考えればよいですか?

再び使うかどうかは、「体重」と「健康リスク」と「費用・負担」のバランスを、担当医と一緒に考える必要があります。
海外のガイドラインでは、GLP-1系の薬は長期的に使い続ける前提で検討されることが多くなっていますが、費用や副作用の問題もあります。糖尿病ジャーナル+2ScienceDirect+2
「薬を再開すべきか/別の方法を優先すべきか」は、検査値や持病、生活環境によってかなり変わるので、自己判断で決めてしまわず、必ず医師と相談してください。


5. 今日からできる、小さな「付き合い方」の工夫

最後に、「全部を変えなくてもできること」をいくつか挙げてみます。
完璧にこなす必要はありません。気になったものを一つだけ選ぶところからで十分です。

① 「食べた量」より「食べた流れ」をメモしてみる

食事記録というと、カロリーやグラム数を細かく書くイメージが強いですが、マンジャロ卒業後のタイミングでは、

  • どんな気分のときに
  • どこで
  • 何を食べたか

といった「流れ」をざっくりメモするだけでも、かなりヒントが見えてきます。

例:
「仕事で嫌なことがあった→コンビニに寄る→甘い飲み物+お菓子」
このパターンに気づくだけでも、「じゃあ、寄る前に一度深呼吸を挟んでみようかな」といった工夫を考えやすくなります。

② からだの“しんどさ指標”を、体重以外にも増やす

体重だけが指標だと、数字が少し動くたびに感情も大きく揺れてしまいます。
そこで、

  • 朝の目覚めのスッキリ感
  • 階段を上がったときの息切れ
  • 1日の総歩数(スマホの歩数計でOK)

など、「からだの楽さ・暮らしやすさ」に関わる指標も一緒に見てみてください。

体重が少し戻っても、「前より階段がラクになっている」「以前よりよく眠れている」といった変化に気づければ、自分を責めすぎずに済みます。

③ 「やってはいけないこと」ではなく、「足してみたいこと」を決める

食事や生活の見直しは、「〜してはいけない」と考えるほど苦しくなります。
そこで、禁止事項ではなく、「足してみたい行動」を一つだけ決めるのがおすすめです。

小さな一歩イメージする感覚
夜ごはんの前に白湯を1杯足す胃腸が少し温まって落ち着く
1日1回、外の空気を5分吸う頭のモヤモヤが少し晴れる
甘い飲み物を「毎日→平日のみ」に週末は“ちょっとしたご褒美”にできる感覚

「マンジャロをやめたから、全部自分で頑張らなきゃ」と力を入れすぎると、長く続けるのが難しくなります。
むしろ、“からだの感覚を取り戻す練習期間”くらいのつもりで、小さな工夫を積み重ねていく方が、結果としてリバウンドをゆるやかにしてくれます。


マンジャロで空腹を忘れていた時間は、決して無駄ではありません。
「あの期間があったからこそ、自分のからだや気持ちと向き合うきっかけになった」と受け止め直せたとき、薬に頼らない時間の過ごし方も、少しずつ見えてくるはずです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事があなたのより良い生活のための一助になりますように。

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この記事を書いた人

からだトレンドラボを運営している、理学療法士のテラサワです。
病院やクリニックでのリハビリに長く関わる中で、
「もっと早く知っていれば楽になれたのに」という声を
何度も聞いてきました。

このブログでは、からだや健康にまつわる“トレンド情報”を、
医学的な視点でていねいに噛み砕いてお届けします。
難しいことはできるだけやさしく。
読み終わったときに、ちょっとだけ不安が軽くなっていたら嬉しいです。

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